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冒険者編
26km以上を一瞬で
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小麦村に行く人数は俺、ソウル、ザン、アイアス、イアの5人だ。
どう考えても多い。
唯一ソウルとザンを知っているミントでも知らない人が2人もいることになる。
でも女同士だし、友達になれるよね。
「3、2、1、転移!」
マッサルマッサルくらい言いたかったが我慢だ。
例のごとく青い光に飲み込まれ、空気が変わる。
藁の屋根に広大な畑。
俺の故郷と言っても過言ではない小麦村に到着だ。
「ここはいつ来ても変わらないなぁ」
イアは何回か来たことがあるらしい。
広場のど真ん中に転移したため村人の視線が俺たちにぶっ刺さってくる。
お、道具屋の場所教えてくれたおじさんいるじゃん。
「で、何をするんですか?」
「何って……観光じゃない?」
女性陣二人が話をしている。
ただ単に行ってみたいって気持ちで来たことになるので既に目的は達成されているのだ。
俺はミントとカラフル三人衆に会いに来たけどな。
「俺は道具屋行くけど、お前らはどうする?」
「暇だし、ついて行くよ」
「イアも行きます、それにしてもここおじさんばっかりですねぇ。イアおじさんは趣味じゃないです」
知るか、この面食い女め。
まさかレッドたちに手を出すつもりではあるまいな。
というわけで緑の道具屋に移動。
数日泊まった家に帰ってくるのって緊張するよね、普通の人がそんな経験するのかは別として。
とにかく扉を開けよう。
ドアノブを捻り、ドアに付いた鈴を鳴らす。
「いらっしゃ……ユウト!?」
「久しぶり、でもないか。数日ぶり?」
ほんの数日なのに久しぶりに会った感覚だ。
インフルエンザとかで休んじゃって数日ぶりに登校したら久しぶりって言われるよね、せいぜい5日程度なのに。
でもなんか久しぶりって感じだから使っちゃう。
どうでもいいな。
「ユウトさんも隅に置けないですなぁ」
アイアス、お前ちょっと黙れ。
「確か、ソウルとザンだったよね。その女は?」
その言い方なんか怖いからやめて。
浮気したみたいになってんじゃん、誰とも付き合ってないのに。
「アイアス、異世界から来た盾だ」
「盾です、よろしくー!」
「うん、まあユウトだしそうなんだろうね。よろしくね!」
さすがミントだ。
俺のことをわかっている。
多分呆れられてるが正しい、悲しい。
「そっちは?」
ミントの目が細くなる。
なぜそんなに警戒してるんだい?
見た目か、露出が高すぎるのか。
そりゃあ黒い下着みたいな格好に前ガンガン開いてるローブだからな、怪しむのも当然だ。
「イア=デュランダルです。可愛いですね、女同士って興味あります?」
「えっ……ってデュランダル!? あの大魔法使いの!?」
一瞬引いたな。
っていうか俺の時と反応違くない?
俺の方が明らかに上なのに反応薄かったよ?
「お前女もいけるのか」
「気に入れば身体を許せる。それが私です」
全然かっこよくない。
「そっかぁ……ユウトはもう英雄の子孫と知り合いになったんだね」
「おう、ザンもそうだぞ。ガラディン家だ」
「ザンも!?」
「ザン=ガラディンだぜ」
こいつがいるだけで店が狭く感じる。
体でけぇんだよお前よ。
高身長すぎるのも考えものだな。
「それで、何か用があってきたの?」
「いんや、特には……俺的にはお前に会うことと、レッドたちに会うことが目的だな」
「私に……なんか照れくさいね」
短い間とはいえ一緒に行動してきたからな、会いたくもなるさ。
無性に会いたくなったってのもある。
「ひっさしーぶり! 僕のことわかる?」
ザンの陰に隠れていたソウルがミントの前に飛び出した。
「誰?」
「さすがに酷すぎるでしょ!?」
「冗談冗談、ソウルは変わらないね」
「だな、いつもと変わらずに弄りがいがある」
「あんたら相変わらず仲良いっすね!?」
だって弄るの楽しいんだもの。
みつを。
「あれー? ユウトくんじゃん! 久しぶりぃ! お腹減ってない? ちゃんと寝てる? それより女の子増えてるね、浮気?」
「そういうんじゃないです」
「ありゃ、じゃあミントはそういう奴なの?」
「めんどくせぇ……」
騒ぎを聞きつけキウィさんが満を持して登場した。
あんたは俺のオカンか。
ていうか人口密度が高すぎる、狭い狭い狭い狭い。
「ちょっ、こっち来ないでください! 狭いからぁ! 外出ましょう、ね?」
「ユウトくん冷た~い」
冷たくて結構。
あったか~いユウトもあるかもしれんな。
俺は自動販売機じゃねぇ。
今はとにかく狭い、レッドたちにも会いたいし、ひとまず外に出よう。
ザンを入口に押し込み、なんとか脱出成功。
息苦しいのは苦手だ。
「それで、今日はどうしたの?」
「えーっと……そういえば、キウィさんに報告があるんです」
「お、なになに?」
小麦村に来た時に伝えようと思っていたことがあった。
そう、ミントのお父さんについてだ。
自分の意思で魔大陸に渡ったことを伝えなくては。
「実はですね、旦那さん、自分の意思で魔大陸に渡ったらしいんですよ」
「え!?」
「待ってユウト詳しく聞かせて」
ミントも食いついてきた。
こいつもこいつで心配してたからな、仕方ない。
「王様と話す機会があったんですけどね、そこでアイテムマスターの男について聞いたところ『自分が行きたいから魔大陸に行く』と言って出発したとかで……」
「つまり強制的に魔大陸に行かされたわけじゃないってこと?」
「そういうことになります」
真剣に聞いていた母娘が一瞬で呆れたような顔になる。
今までの心配はなんとやら、ということだろう。
わかるよ、俺も最初そうだった。
「じゃあさ、ユウトが魔大陸に行ったらたまには帰ってきてって伝えといてよ」
「まあそのつもりだが……レッドは?」
「剣の練習のために村の外に行ってるよ」
わざわざ郊外まで行ってるのか。
せっかくだしソウルとかと戦わせてみようかな。
「じゃ、俺レッドたちに会いに行くけど、来る?」
その場にいた全員が首を縦に降る。
俺やソウルたちとミント。そして何故かキウィさんも付いてくるようだ。
俺はミントに案内されながら練習しているという場所に向かった。
どう考えても多い。
唯一ソウルとザンを知っているミントでも知らない人が2人もいることになる。
でも女同士だし、友達になれるよね。
「3、2、1、転移!」
マッサルマッサルくらい言いたかったが我慢だ。
例のごとく青い光に飲み込まれ、空気が変わる。
藁の屋根に広大な畑。
俺の故郷と言っても過言ではない小麦村に到着だ。
「ここはいつ来ても変わらないなぁ」
イアは何回か来たことがあるらしい。
広場のど真ん中に転移したため村人の視線が俺たちにぶっ刺さってくる。
お、道具屋の場所教えてくれたおじさんいるじゃん。
「で、何をするんですか?」
「何って……観光じゃない?」
女性陣二人が話をしている。
ただ単に行ってみたいって気持ちで来たことになるので既に目的は達成されているのだ。
俺はミントとカラフル三人衆に会いに来たけどな。
「俺は道具屋行くけど、お前らはどうする?」
「暇だし、ついて行くよ」
「イアも行きます、それにしてもここおじさんばっかりですねぇ。イアおじさんは趣味じゃないです」
知るか、この面食い女め。
まさかレッドたちに手を出すつもりではあるまいな。
というわけで緑の道具屋に移動。
数日泊まった家に帰ってくるのって緊張するよね、普通の人がそんな経験するのかは別として。
とにかく扉を開けよう。
ドアノブを捻り、ドアに付いた鈴を鳴らす。
「いらっしゃ……ユウト!?」
「久しぶり、でもないか。数日ぶり?」
ほんの数日なのに久しぶりに会った感覚だ。
インフルエンザとかで休んじゃって数日ぶりに登校したら久しぶりって言われるよね、せいぜい5日程度なのに。
でもなんか久しぶりって感じだから使っちゃう。
どうでもいいな。
「ユウトさんも隅に置けないですなぁ」
アイアス、お前ちょっと黙れ。
「確か、ソウルとザンだったよね。その女は?」
その言い方なんか怖いからやめて。
浮気したみたいになってんじゃん、誰とも付き合ってないのに。
「アイアス、異世界から来た盾だ」
「盾です、よろしくー!」
「うん、まあユウトだしそうなんだろうね。よろしくね!」
さすがミントだ。
俺のことをわかっている。
多分呆れられてるが正しい、悲しい。
「そっちは?」
ミントの目が細くなる。
なぜそんなに警戒してるんだい?
見た目か、露出が高すぎるのか。
そりゃあ黒い下着みたいな格好に前ガンガン開いてるローブだからな、怪しむのも当然だ。
「イア=デュランダルです。可愛いですね、女同士って興味あります?」
「えっ……ってデュランダル!? あの大魔法使いの!?」
一瞬引いたな。
っていうか俺の時と反応違くない?
俺の方が明らかに上なのに反応薄かったよ?
「お前女もいけるのか」
「気に入れば身体を許せる。それが私です」
全然かっこよくない。
「そっかぁ……ユウトはもう英雄の子孫と知り合いになったんだね」
「おう、ザンもそうだぞ。ガラディン家だ」
「ザンも!?」
「ザン=ガラディンだぜ」
こいつがいるだけで店が狭く感じる。
体でけぇんだよお前よ。
高身長すぎるのも考えものだな。
「それで、何か用があってきたの?」
「いんや、特には……俺的にはお前に会うことと、レッドたちに会うことが目的だな」
「私に……なんか照れくさいね」
短い間とはいえ一緒に行動してきたからな、会いたくもなるさ。
無性に会いたくなったってのもある。
「ひっさしーぶり! 僕のことわかる?」
ザンの陰に隠れていたソウルがミントの前に飛び出した。
「誰?」
「さすがに酷すぎるでしょ!?」
「冗談冗談、ソウルは変わらないね」
「だな、いつもと変わらずに弄りがいがある」
「あんたら相変わらず仲良いっすね!?」
だって弄るの楽しいんだもの。
みつを。
「あれー? ユウトくんじゃん! 久しぶりぃ! お腹減ってない? ちゃんと寝てる? それより女の子増えてるね、浮気?」
「そういうんじゃないです」
「ありゃ、じゃあミントはそういう奴なの?」
「めんどくせぇ……」
騒ぎを聞きつけキウィさんが満を持して登場した。
あんたは俺のオカンか。
ていうか人口密度が高すぎる、狭い狭い狭い狭い。
「ちょっ、こっち来ないでください! 狭いからぁ! 外出ましょう、ね?」
「ユウトくん冷た~い」
冷たくて結構。
あったか~いユウトもあるかもしれんな。
俺は自動販売機じゃねぇ。
今はとにかく狭い、レッドたちにも会いたいし、ひとまず外に出よう。
ザンを入口に押し込み、なんとか脱出成功。
息苦しいのは苦手だ。
「それで、今日はどうしたの?」
「えーっと……そういえば、キウィさんに報告があるんです」
「お、なになに?」
小麦村に来た時に伝えようと思っていたことがあった。
そう、ミントのお父さんについてだ。
自分の意思で魔大陸に渡ったことを伝えなくては。
「実はですね、旦那さん、自分の意思で魔大陸に渡ったらしいんですよ」
「え!?」
「待ってユウト詳しく聞かせて」
ミントも食いついてきた。
こいつもこいつで心配してたからな、仕方ない。
「王様と話す機会があったんですけどね、そこでアイテムマスターの男について聞いたところ『自分が行きたいから魔大陸に行く』と言って出発したとかで……」
「つまり強制的に魔大陸に行かされたわけじゃないってこと?」
「そういうことになります」
真剣に聞いていた母娘が一瞬で呆れたような顔になる。
今までの心配はなんとやら、ということだろう。
わかるよ、俺も最初そうだった。
「じゃあさ、ユウトが魔大陸に行ったらたまには帰ってきてって伝えといてよ」
「まあそのつもりだが……レッドは?」
「剣の練習のために村の外に行ってるよ」
わざわざ郊外まで行ってるのか。
せっかくだしソウルとかと戦わせてみようかな。
「じゃ、俺レッドたちに会いに行くけど、来る?」
その場にいた全員が首を縦に降る。
俺やソウルたちとミント。そして何故かキウィさんも付いてくるようだ。
俺はミントに案内されながら練習しているという場所に向かった。
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