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第二章
VSフォボス(ダイモスアーマー)
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『神速』での移動により、あっという間にダークフェニックスは見えなくなってしまう。
ヴァリサさんに追いついた俺とフォトは、ヴァリサさんのスピードに合わせるため『神速』を切る。フォボスはどこだろうか。近くにいるのは『索敵』で分かるのだが、正確な位置はわからない。
ポーションをフォトに渡し、二人で飲み干す。うええ、まっず。魔力を即回復できるわけではないので、ゆっくりしていられない。
「二人共、大丈夫だった?」
「ええ。それよりナイアドを探したいんだけど…………おおっ!?」
遠くから炎が飛んできた。狙撃するように飛ばされた小さな炎の弾丸が地面に突き刺さる。
一発目の狙撃を躱したことにより、フォボスの位置が特定できる。
「…………あそこ、ですね」
「ああ。締まっていこう」
「行こう!」
皆それぞれ声を上げながら一直線に進んでいく。
隠れる場所があるとすれば、岩の陰だろうか。火口付近、その岩裏にフォボスはいる。
「どっせーーーーーーい!!」
ギリギリまで出てこなかった岩を、ヴァリサさんが叩き切る。
ええ…………岩ごと壊すのか。なんて思っている間に、フォボスは岩の陰から飛び出した。攻撃を見てからでも避けられるってか。相当な自信をお持ちで。
こちらも負けてはいられない。着地するや否やはなってきた炎を避けながら斬りかかる。ここまで熱があるとフロストソードの効果はあまり期待できないか。
ひょいっと、フォボスが俺の斬撃を軽々避ける。鎧である炎を噴出させ、一瞬で移動する技術を持っているのだ。隙を突かなければそもそも当たらない。
「おうおうおうおう、三人がかりかよキール!」
「お前はダイモス入れて実質二人なんだからいいだろっ!」
それも四天王のダイモスだ。ただの冒険者であるフォトとヴァリサさんに、勇者である俺を加えた三人ならば丁度いいんじゃねーか? まあ、言ってみたところで意味は無いが。
「よしっ、あたしも力になりたいからね。戦術を変えさせてもらおうかな」
「ヴァリサさん、何を?」
ヴァリサさんは持っていた大剣をギルドカードの中に収納すると、手に何かをはめた。グローブ? だろうか。それにしては指が出ている。
それにしても、戦術を変える? 困惑していると、ヴァリサさんはフォボスに一気に間合いを詰めると、拳でラッシュ攻撃をし始めた。なんだそれ!? まだそんなの隠し持ってたのか!
「なんだこいつは!?」
「そらそらそら!!」
突然の拳闘士スタイルに戸惑いを隠せないフォボスが反応に遅れる。
そうか、大剣だと動きが遅くなってしまう。俺とフォトが剣で戦っている今の戦闘に大剣は不利だ。だから、武器を捨てて速度を取った。
なるほど、リュートがいつも脳筋脳筋言っている理由がよく分かった。持ち前のパワーを活かせるようにこんな戦術まで用意している。つまり戦闘狂でもあるのだ。つよい。
「くっ、邪魔だァ!」
フォボスが炎を身体の前に噴出させ、下がりながら攻撃する。ヴァリサさんにそれを防ぐ手段はなく、なるべく当たらないように回避するという対応しかできなかった。
「うあっ!? くぅ、やるね」
なんとかジャンプして躱したヴァリサさんが頬の汗を拭う。ニヤッと笑っているが、フォボスとの戦闘は範囲攻撃を持っていないヴァリサさんには圧倒的に不利だ。
ヴァリサさんが攻撃をする時は、俺かフォトがすぐに入れ替われるようにしておく必要がある。いや、そもそもヴァリサさんとか関係なくピンチの時に入れ替われるようにしておくのがいいか。
「無理すんな! 俺が行く! だらあああああああああ!!!」
「へっ、当たるかよ!」
ヴァリサさんと入れ替わり、俺がフォボスの目の前に出る。
分かってはいたが、今のフォボスは最初に戦っていた時のフォボスの戦闘力とは桁が違う。ダイモスのアーマーを付けているだけでこんなにも違うのか。
攻撃面も、防御面も隙が無さすぎる。一気に倒したかったが、避けられてしまっては元も子もない。とにかく隙を作らなくては。
「ちっ、アーマーを着てやっとまともに斬り合えるとはな」
「デュラハンから聞いたぞ。戦闘の素質があるってな。もしかしたら、あの魔王を越えるかもな。お前」
そんな話ができるくらいには、フォボスの剣は遅かった。アーマーで加速しても、こちらが避けようと思えば簡単に避けられる。
それはフォボスも同じなのだろう。真正面から戦って、ここまで決着がつかないのは久しぶりだ。
「あったりめェだろ! オレ様は魔王になる男なんだ! ここで、テメーを殺して、人間界を手に入れる!」
「それは俺が困るから、やめてほしいんだけどなっ!」
強く剣を振り下ろすと、フォボスは剣で受け、後ずさった。
さてどうする。このまま隙ができるまで戦うか。俺のエクストラスキルを使うタイミングも考えなければならない。
魔力は本当に持つのだろうか。そんな不安に駆られながら攻撃を続けた。
ヴァリサさんに追いついた俺とフォトは、ヴァリサさんのスピードに合わせるため『神速』を切る。フォボスはどこだろうか。近くにいるのは『索敵』で分かるのだが、正確な位置はわからない。
ポーションをフォトに渡し、二人で飲み干す。うええ、まっず。魔力を即回復できるわけではないので、ゆっくりしていられない。
「二人共、大丈夫だった?」
「ええ。それよりナイアドを探したいんだけど…………おおっ!?」
遠くから炎が飛んできた。狙撃するように飛ばされた小さな炎の弾丸が地面に突き刺さる。
一発目の狙撃を躱したことにより、フォボスの位置が特定できる。
「…………あそこ、ですね」
「ああ。締まっていこう」
「行こう!」
皆それぞれ声を上げながら一直線に進んでいく。
隠れる場所があるとすれば、岩の陰だろうか。火口付近、その岩裏にフォボスはいる。
「どっせーーーーーーい!!」
ギリギリまで出てこなかった岩を、ヴァリサさんが叩き切る。
ええ…………岩ごと壊すのか。なんて思っている間に、フォボスは岩の陰から飛び出した。攻撃を見てからでも避けられるってか。相当な自信をお持ちで。
こちらも負けてはいられない。着地するや否やはなってきた炎を避けながら斬りかかる。ここまで熱があるとフロストソードの効果はあまり期待できないか。
ひょいっと、フォボスが俺の斬撃を軽々避ける。鎧である炎を噴出させ、一瞬で移動する技術を持っているのだ。隙を突かなければそもそも当たらない。
「おうおうおうおう、三人がかりかよキール!」
「お前はダイモス入れて実質二人なんだからいいだろっ!」
それも四天王のダイモスだ。ただの冒険者であるフォトとヴァリサさんに、勇者である俺を加えた三人ならば丁度いいんじゃねーか? まあ、言ってみたところで意味は無いが。
「よしっ、あたしも力になりたいからね。戦術を変えさせてもらおうかな」
「ヴァリサさん、何を?」
ヴァリサさんは持っていた大剣をギルドカードの中に収納すると、手に何かをはめた。グローブ? だろうか。それにしては指が出ている。
それにしても、戦術を変える? 困惑していると、ヴァリサさんはフォボスに一気に間合いを詰めると、拳でラッシュ攻撃をし始めた。なんだそれ!? まだそんなの隠し持ってたのか!
「なんだこいつは!?」
「そらそらそら!!」
突然の拳闘士スタイルに戸惑いを隠せないフォボスが反応に遅れる。
そうか、大剣だと動きが遅くなってしまう。俺とフォトが剣で戦っている今の戦闘に大剣は不利だ。だから、武器を捨てて速度を取った。
なるほど、リュートがいつも脳筋脳筋言っている理由がよく分かった。持ち前のパワーを活かせるようにこんな戦術まで用意している。つまり戦闘狂でもあるのだ。つよい。
「くっ、邪魔だァ!」
フォボスが炎を身体の前に噴出させ、下がりながら攻撃する。ヴァリサさんにそれを防ぐ手段はなく、なるべく当たらないように回避するという対応しかできなかった。
「うあっ!? くぅ、やるね」
なんとかジャンプして躱したヴァリサさんが頬の汗を拭う。ニヤッと笑っているが、フォボスとの戦闘は範囲攻撃を持っていないヴァリサさんには圧倒的に不利だ。
ヴァリサさんが攻撃をする時は、俺かフォトがすぐに入れ替われるようにしておく必要がある。いや、そもそもヴァリサさんとか関係なくピンチの時に入れ替われるようにしておくのがいいか。
「無理すんな! 俺が行く! だらあああああああああ!!!」
「へっ、当たるかよ!」
ヴァリサさんと入れ替わり、俺がフォボスの目の前に出る。
分かってはいたが、今のフォボスは最初に戦っていた時のフォボスの戦闘力とは桁が違う。ダイモスのアーマーを付けているだけでこんなにも違うのか。
攻撃面も、防御面も隙が無さすぎる。一気に倒したかったが、避けられてしまっては元も子もない。とにかく隙を作らなくては。
「ちっ、アーマーを着てやっとまともに斬り合えるとはな」
「デュラハンから聞いたぞ。戦闘の素質があるってな。もしかしたら、あの魔王を越えるかもな。お前」
そんな話ができるくらいには、フォボスの剣は遅かった。アーマーで加速しても、こちらが避けようと思えば簡単に避けられる。
それはフォボスも同じなのだろう。真正面から戦って、ここまで決着がつかないのは久しぶりだ。
「あったりめェだろ! オレ様は魔王になる男なんだ! ここで、テメーを殺して、人間界を手に入れる!」
「それは俺が困るから、やめてほしいんだけどなっ!」
強く剣を振り下ろすと、フォボスは剣で受け、後ずさった。
さてどうする。このまま隙ができるまで戦うか。俺のエクストラスキルを使うタイミングも考えなければならない。
魔力は本当に持つのだろうか。そんな不安に駆られながら攻撃を続けた。
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