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最終章『黄昏の約束編』

123 代表者、再び集まる

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 ミカゲがトワ村にやってきたその日に俺は各国の代表に声を掛けた。
 その結果、翌日に会議を行うことが決定。あらかじめロンテギアにゲートを繋げておいて本当に良かった。

「ふむ、敵の場所は分かっているのだろう? ならば攻め込むのみであろう!」
「まずは慎重に作戦を立てるべきです。シャムロットの魔法部隊で拠点を作り、防衛というのはどうでしょうか」
「あたしはどっちでもいいよ」

 のだが、見事に会議が上手くいかない。
 大王は精鋭を集めて戦わせればいいと考えており、女王は魔法で防衛するべきだと考えている。
 もうどっちでもいいと思う。というか両方やればいいんじゃないのそれ。

「とにかく! 作戦も大切だけど参加する人も決めないとだよ。強い人をみんな連れて行ったら、今度は暴れるモンスターが国に侵入しちゃう」
「ぐぬぅ、そうであったな」
「大人数は連れて行けませんものね……」

 俺の言葉でタランテさんとゴルドレッドが冷静に話し合いをし始める。

「ルイン、オルタガは大丈夫なの?」
「うちは国の悪魔が勝手に盛り上がってモンスター倒してるからしばらくは大丈夫だよー。ロンテギアからは誰を出すの?」
「まず俺たちと、騎士の中で特殊な力を使えるようになった人たちくらいかな。きっとかなり役に立つよ」

 騎士の中には、覚醒し特殊な力を使えるようになった人たちがいる。
 俺やカリウスとはまた違った力なので、困ったときの突破口になるかもしれない。
 連れていく人も大切だが、この戦いは国宝を奪い合う戦いだ。誰が持つのかも重要になってくるだろう。

「国宝は誰が持つの? 一つは俺が持つとしてあと二つ余るよ」
「ここは我が……と言いたいところだが、やはり戦力のある者に託すべきだろう。カリウスとドレイクが良いのではないか?」
「それでは国宝を持つ全員が前線に出てしまいますよ? 一人以上は自陣で守る人がいてもいいはずです」

 再び意見が飛び交う。ちなみに王様は何もしていない。ちょっと、もう少し仕事してよ。
 しかし誰に持たせるのか問題か……俺が代表として一つ持つとして、残り二つはどうするか。
 タランテさんの言う通り全員が前線に出てしまったら負ける可能性も高くなる。
 なので一人は後衛に回したい。

「相手は誰が持ってるか分からないんだからさ、予想してない人に持たせるとかいいんじゃない?」
「うぬ?」
「なるほど……予想ができず、尚且つ防衛中心で島に連れて行ける者ですか」
「そういうことです」
「でも、みんな強くてある程度有名なんでしょー? そこまで予想できない人っているかな?」

 そう、それが問題なのだ。
 今まで無名だった騎士も、強くなったことで名が知れ渡った。
 当然、ミカゲたちの耳にも入っているはずだ。その中から目星をつけて奪いに来ることもあるだろう。
 ふと、一人思い浮かぶ。

「――とか、どう?」

 俺の発言に、その場にいた全員が驚いた。

「守り切ればいいだけですものね……ええ、いいのではないでしょうか」
「ふむ、ならばそれでよいだろう。次は三つ目だぞ」

 しかし、改めて考え良い案だと判断され決定する。
 俺ともう一人は決定した。あと一人は……カリウスかドレイクかな。

「そうなると完全に前線での問題になるし、こっちで話し合うよ。じゃあ、改めて連れていく戦士を決めよう」
「シャムロットは数名の魔法使いを出します。国は魔法で守っているため、残す戦力も問題ありません」
「アルゲンダスクは当然獣戦士だ! 敵の召喚するモンスターの相手は任せてもらおう」

 アルゲンダスクが大国に残す戦力は言わずもがな、問題ないのだろう。

「で、オルタガは……」
「適当に強い悪魔を連れていこうかな。飛べるし、空中戦を引き受けるつもり」
「なるほどね」

 そうか、悪魔は飛べるから空中で戦えるのだ。
 召喚されるモンスターが空を飛べる場合、獣戦士たちは不利になってしまう。
 空から攻撃できる部隊は重要になるはずだ。

「ロンテギアからは、騎士を四人と、俺、カリウス、エリィ、ドレイクを出す予定だよ。騎士四人は獣戦士と一緒に戦わせれば戦力になると思う」

 覚醒した騎士の中でも属性剣を得意とする騎士を選んだ。
 カリウスのような鎧と違って、特殊な技を使えるため汎用性が高い。ただモンスターと戦うのならば一番使いやすい戦力だ。

「あれ? あたしは?」
「ルインはオルタガ陣営でしょ!?」
「あ、そっか」

 自分を人間側だと思い込んでいる魔王がいたが、一旦忘れておく。
 残りは六日。島は遠いので俺の〈空間移動テレポート〉で移動する予定だ。
 なのでギリギリまで修行を積むことができる。今日はこの後〈空間移動テレポート〉のために島に行ってみようかな。
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