21 / 21
レナリアお嬢様とお茶会
しおりを挟む
なんとかレナリアを落ち着かせると、二人ともテーブルについた。テーブルに並べられた目にも楽しいカップやお菓子、心地よい風と美しい庭は絶好のお茶日和だった。
美しいグラスに入れられているのはレナリアの配慮なのかどちらも子供用の赤みのあるベリー系のフレッシュジュースだ。手に取ったミシェイルはこくりと飲んで目を輝かせた。
「とても美味しいです!」
「よかった、わたくしのお気に入りなんです」
こうしてやっと和やかに始まったお茶会(お茶はない)は、二人が一息ついたところであらためて話し合うことになった。
「先ほどは取り乱してしまい申し訳ありません」
目を伏せて謝るレナリアにミシェイルは一応頷いた。
「お嬢様がそのように謝ることではないと思いますが、そのお気持ちは受け取っておきます」
そう言うと、レナリアはほっとしたような顔をしてなぜミシェイルに対しあのような対応になってしまったのかという経緯を話し始めた。
「わたくしは、奇妙に思われるかもしれませんが生まれたときからこの家がどういう状況下にあるのか人々の意見を聞いて理解しいたわ。そして、この先わたくしの人生が悲惨なものになることも……」
やはり、レナリアはなんらかの記憶を持っていて間違いなさそうだった。
(まあ対応が完全に大人だし当然か。それを言ったらわたしもなんだしきっと疑ってはいるんだろうけど、正直説明じづらいのよねぇ)
そんなことを考えながらミシェイルはまるで不思議なことを言われたかのような表情で問いかけた。
「先の人生が悲惨なものになる……?」
「ええ。ミシェイルにはそういった記憶はないのですか?」
「わたくしの先の未来はわかりません」
(嘘は言ってない、だって今世は本当にわからないんだもの)
きっぱりと言い切ったミシェイルにどこか納得がいかない表情を浮かべながらも、レナリアは周りにいた侍女たちを下がらせ、目くばせをされたのでミシェイルもシェーナを下がらせると、ついに自身の秘密について語り始めた。
「この世界でのわたくしが辿る人生の夢を見たことがある、と言ったらお分かりになる?」
「この先の人生を夢で?」
「はい、公爵家で家族から大事にされることなく捨て置かれていたわたくしは、弱い者を虐げてもなんとも思わない残忍な性格に。高い身分ゆえに王太子殿下の婚約者となりますが、王太子殿下はわたくしのような者を厭われて、ほとんど会おうとせずに成長します。12歳で入る学園でわたくしはやっと殿下と共にあれると喜ぶのですが、殿下はそこで出会う少女を愛するようになるのです」
(オーソドックスな内容の漫画ね。わたしの時と似たような感じなのかしら)
「その少女にわたくしは辛く当たるようになるのですが、そのようなことを繰り返しては殿下の気持ちは離れるばかり。もうあとはわたくしを排除して平民という身分の差を越え両想いになる……というときに」
「いうときに?」
「その少女が実は王家の生まれであり、血筋が近すぎることから結婚をすることはおろか周囲が両陣営にわかれていがみ合いがはじまり、しかも王太子殿下より血筋が良い少女は王位継承のただなかに立たされることになるのです」
「……は?」
「そしてわたくしは王族を害した者として修道院へ送られました」
(あら、これわたしの立身出世物語の可能性がある?)
美しいグラスに入れられているのはレナリアの配慮なのかどちらも子供用の赤みのあるベリー系のフレッシュジュースだ。手に取ったミシェイルはこくりと飲んで目を輝かせた。
「とても美味しいです!」
「よかった、わたくしのお気に入りなんです」
こうしてやっと和やかに始まったお茶会(お茶はない)は、二人が一息ついたところであらためて話し合うことになった。
「先ほどは取り乱してしまい申し訳ありません」
目を伏せて謝るレナリアにミシェイルは一応頷いた。
「お嬢様がそのように謝ることではないと思いますが、そのお気持ちは受け取っておきます」
そう言うと、レナリアはほっとしたような顔をしてなぜミシェイルに対しあのような対応になってしまったのかという経緯を話し始めた。
「わたくしは、奇妙に思われるかもしれませんが生まれたときからこの家がどういう状況下にあるのか人々の意見を聞いて理解しいたわ。そして、この先わたくしの人生が悲惨なものになることも……」
やはり、レナリアはなんらかの記憶を持っていて間違いなさそうだった。
(まあ対応が完全に大人だし当然か。それを言ったらわたしもなんだしきっと疑ってはいるんだろうけど、正直説明じづらいのよねぇ)
そんなことを考えながらミシェイルはまるで不思議なことを言われたかのような表情で問いかけた。
「先の人生が悲惨なものになる……?」
「ええ。ミシェイルにはそういった記憶はないのですか?」
「わたくしの先の未来はわかりません」
(嘘は言ってない、だって今世は本当にわからないんだもの)
きっぱりと言い切ったミシェイルにどこか納得がいかない表情を浮かべながらも、レナリアは周りにいた侍女たちを下がらせ、目くばせをされたのでミシェイルもシェーナを下がらせると、ついに自身の秘密について語り始めた。
「この世界でのわたくしが辿る人生の夢を見たことがある、と言ったらお分かりになる?」
「この先の人生を夢で?」
「はい、公爵家で家族から大事にされることなく捨て置かれていたわたくしは、弱い者を虐げてもなんとも思わない残忍な性格に。高い身分ゆえに王太子殿下の婚約者となりますが、王太子殿下はわたくしのような者を厭われて、ほとんど会おうとせずに成長します。12歳で入る学園でわたくしはやっと殿下と共にあれると喜ぶのですが、殿下はそこで出会う少女を愛するようになるのです」
(オーソドックスな内容の漫画ね。わたしの時と似たような感じなのかしら)
「その少女にわたくしは辛く当たるようになるのですが、そのようなことを繰り返しては殿下の気持ちは離れるばかり。もうあとはわたくしを排除して平民という身分の差を越え両想いになる……というときに」
「いうときに?」
「その少女が実は王家の生まれであり、血筋が近すぎることから結婚をすることはおろか周囲が両陣営にわかれていがみ合いがはじまり、しかも王太子殿下より血筋が良い少女は王位継承のただなかに立たされることになるのです」
「……は?」
「そしてわたくしは王族を害した者として修道院へ送られました」
(あら、これわたしの立身出世物語の可能性がある?)
0
お気に入りに追加
40
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
私はヒロインを辞められなかった……。
くーねるでぶる(戒め)
恋愛
私、砂川明は乙女ゲームのヒロインに転生した。どうせなら、逆ハーレムルートを攻略してやろうとするものの、この世界の常識を知れば知る程……これ、無理じゃない?
でもでも、そうも言ってられない事情もあって…。ああ、私はいったいどうすればいいの?!
変な転入生が現れましたので色々ご指摘さしあげたら、悪役令嬢呼ばわりされましたわ
奏音 美都
恋愛
上流階級の貴族子息や令嬢が通うロイヤル学院に、庶民階級からの特待生が転入してきましたの。
スチュワートやロナルド、アリアにジョセフィーンといった名前が並ぶ中……ハルコだなんて、おかしな
処刑される未来をなんとか回避したい公爵令嬢と、その公爵令嬢を絶対に処刑したい男爵令嬢のお話
真理亜
恋愛
公爵令嬢のイライザには夢という形で未来を予知する能力があった。その夢の中でイライザは冤罪を着せられ処刑されてしまう。そんな未来を絶対に回避したいイライザは、予知能力を使って未来を変えようと奮闘する。それに対して、男爵令嬢であるエミリアは絶対にイライザを処刑しようと画策する。実は彼女にも譲れない理由があって...
妹が連れてきた婚約者は私の男でした。譲った私は美形眼鏡に襲われます(完)
みかん畑
恋愛
愛想の良い妹に婚約者を奪われた姉が、その弟の眼鏡に求められる話です。R15程度の性描写ありです。ご注意を。
沢山の方に読んでいただいて感謝。要望のあった父母視点も追加しました。
アルト視点書いてなかったので追加してます。短編にまとめました。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
金貨三枚で買った性奴隷が俺を溺愛している ~平凡冒険者の迷宮スローライフ~
結城絡繰
ファンタジー
平凡な冒険者である俺は、手頃に抱きたい女が欲しいので獣人奴隷を買った。
ただ性欲が解消できればよかったのに、俺はその奴隷に溺愛されてしまう。
爛れた日々を送りながら俺達は迷宮に潜る。
二人で協力できるようになったことで、冒険者としての稼ぎは抜群に良くなった。
その金で贅沢をしつつ、やはり俺達は愛し合う。
大きな冒険はせず、楽な仕事と美味い酒と食事を満喫する。
主従ではなく恋人関係に近い俺達は毎日を楽しむ。
これは何の取り柄もない俺が、奴隷との出会いをきっかけに幸せを掴み取る物語である。
【近々再開予定】ピンク頭と呼ばないで―攻略対象者がお花畑で萌えない為スルーして良いですか―
咲桜りおな
恋愛
前世で散々遊び尽くした乙女ゲームの世界にどうやらヒロイン転生したらしい主人公・パフィット・カルベロス。この目で攻略対象者たちを拝めると楽しみに学園に入学してみたら、軒並み恋愛お馬鹿なお花畑や攻略対象者自らイベント拒否して来たりと、おかしな相手ばかりでガッカリしてしまう。
あんなのに萌えれない。ゲーム画面で見たキラキラ輝かしい彼らは何処へいったのよ! ヒロインだけど、恋愛イベントスルーして良いですかね? 王子? どうぞ、お好きに持って行って下さい。
ん? イベントスルー出来ないってどういう事!? ゲーム補正? そんなの知らないわよ!
攻略対象者を避けたいのに避けさせて貰えない「矯正力」に翻弄される毎日。
それでもポジティブモットー!な元気ヒロインちゃんは、今日も自分の思った道を突き進むのだ!
◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆
ちょっとお口と態度の悪い突っ込みヒロインちゃんです。
「小説家になろう」でも公開しています。
R18 はるかかなた〜催眠の愛〜
冬愛Labo
恋愛
突然神様の悪戯で異世界に召喚された主人公。
そこで拾われた男性に催眠を掛けられて部下に調教をされる。
従順になった主人公の催眠生活。
♡喘ぎ、モロ語、オノマトペ、催眠、調教、青姦、触手複数プレイ等が有りますのでご注意下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる