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レナリアお嬢様とお茶会

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なんとかレナリアを落ち着かせると、二人ともテーブルについた。テーブルに並べられた目にも楽しいカップやお菓子、心地よい風と美しい庭は絶好のお茶日和だった。
美しいグラスに入れられているのはレナリアの配慮なのかどちらも子供用の赤みのあるベリー系のフレッシュジュースだ。手に取ったミシェイルはこくりと飲んで目を輝かせた。

「とても美味しいです!」
「よかった、わたくしのお気に入りなんです」

こうしてやっと和やかに始まったお茶会(お茶はない)は、二人が一息ついたところであらためて話し合うことになった。

「先ほどは取り乱してしまい申し訳ありません」

目を伏せて謝るレナリアにミシェイルは一応頷いた。

「お嬢様がそのように謝ることではないと思いますが、そのお気持ちは受け取っておきます」

そう言うと、レナリアはほっとしたような顔をしてなぜミシェイルに対しあのような対応になってしまったのかという経緯を話し始めた。

「わたくしは、奇妙に思われるかもしれませんが生まれたときからこの家がどういう状況下にあるのか人々の意見を聞いて理解しいたわ。そして、この先わたくしの人生が悲惨なものになることも……」

やはり、レナリアはなんらかの記憶を持っていて間違いなさそうだった。

(まあ対応が完全に大人だし当然か。それを言ったらわたしもなんだしきっと疑ってはいるんだろうけど、正直説明じづらいのよねぇ)

そんなことを考えながらミシェイルはまるで不思議なことを言われたかのような表情で問いかけた。

「先の人生が悲惨なものになる……?」
「ええ。ミシェイルにはそういった記憶はないのですか?」
「わたくしの先の未来はわかりません」

(嘘は言ってない、だって今世は本当にわからないんだもの)

きっぱりと言い切ったミシェイルにどこか納得がいかない表情を浮かべながらも、レナリアは周りにいた侍女たちを下がらせ、目くばせをされたのでミシェイルもシェーナを下がらせると、ついに自身の秘密について語り始めた。

「この世界でのわたくしが辿る人生の夢を見たことがある、と言ったらお分かりになる?」
「この先の人生を夢で?」
「はい、公爵家で家族から大事にされることなく捨て置かれていたわたくしは、弱い者を虐げてもなんとも思わない残忍な性格に。高い身分ゆえに王太子殿下の婚約者となりますが、王太子殿下はわたくしのような者を厭われて、ほとんど会おうとせずに成長します。12歳で入る学園でわたくしはやっと殿下と共にあれると喜ぶのですが、殿下はそこで出会う少女を愛するようになるのです」

(オーソドックスな内容の漫画ね。わたしの時と似たような感じなのかしら)

「その少女にわたくしは辛く当たるようになるのですが、そのようなことを繰り返しては殿下の気持ちは離れるばかり。もうあとはわたくしを排除して平民という身分の差を越え両想いになる……というときに」
「いうときに?」
「その少女が実は王家の生まれであり、血筋が近すぎることから結婚をすることはおろか周囲が両陣営にわかれていがみ合いがはじまり、しかも王太子殿下より血筋が良い少女は王位継承のただなかに立たされることになるのです」
「……は?」
「そしてわたくしは王族を害した者として修道院へ送られました」

(あら、これわたしの立身出世物語の可能性がある?)
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