友人になりたかったのに

Koko

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最後かもしれないから

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「…知ってたんだ」
「2人とも」

コーディさんの自室で、コーディさんとアレク、そして俺の3人で話をしている。アレクが魔法道具は展開しているから、安心して話すことができる。

「…リシュカル、」

「いい。言い訳なんて聞きたくない」
「俺、ずっと両親なんていないって、捨てられたんだって思ってた」
「コーディさんのことをほんとのお父さんみたいに思って、コーディさんのために今まで働いて来てたのに、なのにほんとは…」

「シュカ、コーディさんは」

「わかってるよ。何か理由があったんでしょ?」
「でも、俺が孤児院に居た時何をされたのか2人は知らないでしょう?」
「知っていても、虐待を受けていたことと、領主様に性虐待を受けそうになったこと」
「でも詳しくは知らないはず」
「冬には冷水をかけられるし、ご飯は少ない。それだけなら別いいんだよ。まだ耐えられた」
「でも、まだまだ2人には言えないようなことを沢山された」
「殺されかけたことだってあったよ」

「アレクはともかく、なんでコーディさんは黙ってたの?」
「両親がいることを知っていたのに、どうしてずっと黙ってたの」

ーディさんは淡々と話し始めた。俺が精霊王の祝福を受けていて、その力が幼子の手には負えない力であったこと、もうすぐ国に送り出すつもりであったことなど、様々なことを。

「…俺に、国に、あの人たちの元に帰って欲しい?」

コーディさんはすぐに頷いた。

「……ごめん、少し、1人になりたい」

少しだけ急ぎ足で自室に戻った。自室に戻ると、今までの事を思い出した。コーディさんが俺に部屋をくれたこと、毎年誕生日にはプレゼントをくれたこと。お客さんからの暴力や暴言で傷ついていた時に一緒にいてくれたこと。

「…ぅ…うぅ…」
「ぅわあああああん」

自分でも国には戻るべきだとわかっている。でも、コーディさんは全く悲しそうな表情をしていなかった。それが少しだけ、俺はただのお荷物だったのだと言っているように感じて、そんなこと絶対にありえないのに…
それに、国に帰ったら俺はどうなるのだろう。リリレアに干渉しちゃダメなのならば、絶対にアレクにもコーディさんにも、公爵邸のみんなにも会えなくなる。せっかく友達ができたと言うのに。すぐに国をでなければならないわけではないけれど、コーディさんのなんとも思っていないような表情を思い出して胸が苦しくなる。
コンコン、と部屋のノックがなり、泣き叫ぶのをやめた。そのノックの音には馴染みがある。アレクだ。
そうだ、アレクにもう会えないのなら今想いを伝えてもいいのではないか。一生の別れになるかもしれないから、これくらいのことは許してくれるだろう。

「……どうぞ」

アレクがゆっくりと扉を開き、中に入ってくる。
最初出会った時を思い出す。あの時はすごくびっくりしたな。抱かないって言うんだもん。アレクとの出会いを思い出すと、また胸が苦しくなってくる。

もう、いいよね?俺、頑張ったはずだよ。

心のどこかではダメだとわかっていても、何故かこの時は止められなかった。
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