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着いた場所は
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「...すまないシュカ、間違って違う場所に来てしまったみたいだ」
辺りを見渡すとそこには赤いカーペットの先にある大きな椅子に座っている2人の人物と、その道に並ぶ騎士のような人々がいた。
「侵入者だ!」
そう叫ばれた直後、俺たちの周りを騎士に囲まれた。
「誰だ。なんの目的があってここに来た」
「申し訳ございません、私が移動魔法で来る場所を間違えたようです」
「私はリリエラ王国のライリー公爵です」
「以前ここに王と共に謁見しに参りました」
そうアレクが言うと、騎士たちが顔を見合わせたあと、とある人物が奥からでてきた。
「...間違いないぞ、こいつはアレクセイ・ライリーだ」
「師匠!」
「久しぶりだな、アレク」
奥からでてきたその人物はアレクに師匠と呼ばれていた。
「アレク、お前の身元は俺が保証する」
「だがそいつは誰だ?」
師匠と呼ばれた人は俺を指さして聞いた。
「あ...俺は、リシュカルです。姓はありません」
「この人の身分は俺が保証します」
「...ねえアレク、ここどこなの?」
「...ここはフィンツェル帝国だ」
そう言われ改めて辺りを見渡す。騎士に囲まれた奥にいるのは、黒髪に、青い瞳を持つ男性と、金色の髪を持つ女性だった。
その男性の色味に見覚えがあり、よく見ようと目をこらすがベールが邪魔でよく見えない。
ベールを頭から取ろうとするとアレクから制止する声が聞こえた。でももう遅かった。
男性の瞳をよく見ると、日差しがあたると金色に輝いていた。
「...俺と、同じ」
「...第3皇子様と同じ名前に、黒髪に金色に輝く瞳...」
「まさか...!」
「...道を開けなさい」
奥に座っていた人達がそういうと騎士たちが一斉にどけ、道ができた。2人はゆっくりとこちらに向かってきており、アレクに促され腰をおり頭を下げる。
「顔をあげて」
そう許可があり頭をあげて目の前にいる人の瞳を見る。
「...リシュカルと、言ったわね」
「額を見せて」
不思議には思ったが、言われた通り前髪をあげて額を見せる。
「...やはり」
「フィンツェルの主、リオンが命ず。汝、我らの前に」
急にそう言った後、額にキスされた。
途端、当たりに突風が吹き光が消えた。だがすぐに光は戻り、そこには6人の人物が居た。
「え...?」
「やっと会えたわね!」
「待ちくたびれたぞ」
「遅い」
「...」
「何してたんだよ!」
「ほんとに、何してたの!」
「え?え?」
急に話しかけられ考えがまとまらない。
「ちょっと待て精霊王、何も知らなかったんだ」
「勘弁してやれ」
そう男の人が言うと6人の人物はしぶしぶした感じで話すのをやめた。
「すまないリシュカル、困らせたな」
「私はフィンツェル帝国の皇帝、リオン・マキア・フィンツェルだ」
「私はフィンツェル帝国の皇妃、シシリー・リア・フィンツェルです」
「...そしてあなたは、私たちの愛し子、帝国の失われた第3皇子」
「リシュカル・ラウラ・フィンツェル」
「...俺が、帝国の...?」
言われたことに頭が追いついていかない。
私たちの愛し子?第3皇子?ラウラって何、なんで苗字もあって両親も居るんだ。アレクもさほど驚いた様子を見せていないし。あの6人の綺麗な人達は何?
「俺が、あなたたちの子供で、しかも皇子だったとして、どうして今まで迎えに来なかったんですか?」
孤児院で過ごしたあの時間は、どうしても忘れられない。迎えに来てくれていたらあんな日々は過ごさないで良かったし、領主にあんなことをされなくてすんでいたはずだ。
「...行けなかったのよ」
「精霊に探させたけど、精霊が活動できるのは帝国内だけ」
「それに、リリエラ王国とは特殊な関係なのよ」
「ずっと昔、フィンツェルとリリエラが戦争をしていて、終戦後に約束したの」
「フィンツェル帝国はリリエラ王国へ国王の許可なしに干渉しないって」
「国王には何度も許可を求めたけれど、1回も返事はなかったわ」
「何度か秘密裏に探してくれる人を探したけれど、何者かがずっと邪魔をしていてどうしても探せなかったの」
そう言われてもすぐに納得出来るわけじゃない。
「...言い訳にしかならないが、本当に私たちはお前をずっと探し続けていたんだ」
「できることなら一緒に暮らして欲しいけけど、その判断はリシュカルに任せる」
「また今度、どうするのか会いに来てくれ」
複雑な気持ちのまま、その日は帝国を後にした。
辺りを見渡すとそこには赤いカーペットの先にある大きな椅子に座っている2人の人物と、その道に並ぶ騎士のような人々がいた。
「侵入者だ!」
そう叫ばれた直後、俺たちの周りを騎士に囲まれた。
「誰だ。なんの目的があってここに来た」
「申し訳ございません、私が移動魔法で来る場所を間違えたようです」
「私はリリエラ王国のライリー公爵です」
「以前ここに王と共に謁見しに参りました」
そうアレクが言うと、騎士たちが顔を見合わせたあと、とある人物が奥からでてきた。
「...間違いないぞ、こいつはアレクセイ・ライリーだ」
「師匠!」
「久しぶりだな、アレク」
奥からでてきたその人物はアレクに師匠と呼ばれていた。
「アレク、お前の身元は俺が保証する」
「だがそいつは誰だ?」
師匠と呼ばれた人は俺を指さして聞いた。
「あ...俺は、リシュカルです。姓はありません」
「この人の身分は俺が保証します」
「...ねえアレク、ここどこなの?」
「...ここはフィンツェル帝国だ」
そう言われ改めて辺りを見渡す。騎士に囲まれた奥にいるのは、黒髪に、青い瞳を持つ男性と、金色の髪を持つ女性だった。
その男性の色味に見覚えがあり、よく見ようと目をこらすがベールが邪魔でよく見えない。
ベールを頭から取ろうとするとアレクから制止する声が聞こえた。でももう遅かった。
男性の瞳をよく見ると、日差しがあたると金色に輝いていた。
「...俺と、同じ」
「...第3皇子様と同じ名前に、黒髪に金色に輝く瞳...」
「まさか...!」
「...道を開けなさい」
奥に座っていた人達がそういうと騎士たちが一斉にどけ、道ができた。2人はゆっくりとこちらに向かってきており、アレクに促され腰をおり頭を下げる。
「顔をあげて」
そう許可があり頭をあげて目の前にいる人の瞳を見る。
「...リシュカルと、言ったわね」
「額を見せて」
不思議には思ったが、言われた通り前髪をあげて額を見せる。
「...やはり」
「フィンツェルの主、リオンが命ず。汝、我らの前に」
急にそう言った後、額にキスされた。
途端、当たりに突風が吹き光が消えた。だがすぐに光は戻り、そこには6人の人物が居た。
「え...?」
「やっと会えたわね!」
「待ちくたびれたぞ」
「遅い」
「...」
「何してたんだよ!」
「ほんとに、何してたの!」
「え?え?」
急に話しかけられ考えがまとまらない。
「ちょっと待て精霊王、何も知らなかったんだ」
「勘弁してやれ」
そう男の人が言うと6人の人物はしぶしぶした感じで話すのをやめた。
「すまないリシュカル、困らせたな」
「私はフィンツェル帝国の皇帝、リオン・マキア・フィンツェルだ」
「私はフィンツェル帝国の皇妃、シシリー・リア・フィンツェルです」
「...そしてあなたは、私たちの愛し子、帝国の失われた第3皇子」
「リシュカル・ラウラ・フィンツェル」
「...俺が、帝国の...?」
言われたことに頭が追いついていかない。
私たちの愛し子?第3皇子?ラウラって何、なんで苗字もあって両親も居るんだ。アレクもさほど驚いた様子を見せていないし。あの6人の綺麗な人達は何?
「俺が、あなたたちの子供で、しかも皇子だったとして、どうして今まで迎えに来なかったんですか?」
孤児院で過ごしたあの時間は、どうしても忘れられない。迎えに来てくれていたらあんな日々は過ごさないで良かったし、領主にあんなことをされなくてすんでいたはずだ。
「...行けなかったのよ」
「精霊に探させたけど、精霊が活動できるのは帝国内だけ」
「それに、リリエラ王国とは特殊な関係なのよ」
「ずっと昔、フィンツェルとリリエラが戦争をしていて、終戦後に約束したの」
「フィンツェル帝国はリリエラ王国へ国王の許可なしに干渉しないって」
「国王には何度も許可を求めたけれど、1回も返事はなかったわ」
「何度か秘密裏に探してくれる人を探したけれど、何者かがずっと邪魔をしていてどうしても探せなかったの」
そう言われてもすぐに納得出来るわけじゃない。
「...言い訳にしかならないが、本当に私たちはお前をずっと探し続けていたんだ」
「できることなら一緒に暮らして欲しいけけど、その判断はリシュカルに任せる」
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