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会議2
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「私は、オメガでもつける職を増やして欲しいです」
平民のΩ、新聞売りとして働いているらしいアメリアさんがそういった。
「分かりますわ!私は貴族ですが家は継げないし縁談だって正妻ではなく側室の誘いなんですの」
「わかります、俺には縁談すら来ないし、Ωとはいえ一応貴族ということで一般職にはつけないし魔法省とかそういった組織にも入れないし...」
貴族の女性と男性のΩの方たちもそう共感する。
「俺は、店主のおかげで今の職につけていますが、もしそれがなかったら仕事につけず路頭をさまよっていたはずです」
「だが、Ωが職場にいるというのは色々な面で迷惑なんだ」
平民の男性アルファが言う。この人は魔法道具の開発会社で働いているらしい。
「私はβですが、特にΩの方とαの方で仕事の差を感じたことがありません」
この人の職場ではΩもαも一緒に働いているらしい。
「それに最近はΩとαの事件なんてあまり聞かないじゃないですか」
このような感じの話が小一時間ほど続いた。食卓に並んでいた豪華すぎる食事も最初は遠慮して皆食べていなかったけれどもうほとんどなくなってしまっている。
会議のはずだったのだが、それぞれの職場などの上司やお客さんの愚痴などで盛り上がる場面も多々あった。エリス殿下は充分に民の意見を聞けたと喜んでいた。
会議が終わり皆が帰ったあとエリス殿下に挨拶をしに行った。
「殿下、今日はありがとうございました」
「ベールのことも気を使って頂いたようで...」
「いいのさ!隠さないと大惨事になるかもしれないからね!」
「それより、こちらこそ今日は来てくれて助かった」
「仕事も忙しいだろうに」
「いいえ。これで世がかわるのならばいくらでも!」
「そうか!感謝するよ」
「では、その服は1式もらってくれて構わない」
「アレクセイが待っているから早く行ってやるといい」
「すみません、なにから何まで」
「では、失礼します」
部屋を出るとアレクが待っていた。
改めて彼を見ると、いつもうちに来る時と違い髪の毛もセットしてあり、いつも少しだけ着崩している服も今日はきちっとしている。シャツの上のベストが彼の筋肉ではち切れそうだった。
「来たか、シュカ」
「うん」
「王宮内で移動魔法は発動しないから外に行こうか」
何度もここに来たことがあるのか、誰の案内もなく玄関へ向かっていく姿にやはり貴族なのだ、と思う。
「...シュカ、今日は一段と綺麗だな」
「えっ?」
彼の後ろを少し早歩きでついて行ってると思わぬ言葉が聞こえてきた。
「その服、よく似合ってる」
「最初見た時、天使が入ってきたのかと思ったよ」
「はは、ありがとう」
「全部メイドさんが頑張ってくれたんだよ」
「...元々シュカは綺麗だからいじりがいがあっただろうな」
少し冗談めいた風に言うアレク。例え冗談でもそう褒められるとかなり嬉しくて誰もいなかったら飛び跳ねて居ただろう。
「アレクこそ、今日は王子様みたいじゃん」
「最初、一瞬誰なのかと思ったよ」
「今日だけか?」
「さあね」
そんなふうに会話していたら王宮の外についてしまった。
「...帰ろう、さあ手を握って」
差し出された大きな手を握ると、ちょうど突風が吹きベールがめくれてしまったが、直ぐに来た時のように場所が変わった。
でもその場所は見慣れた自分の部屋ではなかった。
「...え?」
平民のΩ、新聞売りとして働いているらしいアメリアさんがそういった。
「分かりますわ!私は貴族ですが家は継げないし縁談だって正妻ではなく側室の誘いなんですの」
「わかります、俺には縁談すら来ないし、Ωとはいえ一応貴族ということで一般職にはつけないし魔法省とかそういった組織にも入れないし...」
貴族の女性と男性のΩの方たちもそう共感する。
「俺は、店主のおかげで今の職につけていますが、もしそれがなかったら仕事につけず路頭をさまよっていたはずです」
「だが、Ωが職場にいるというのは色々な面で迷惑なんだ」
平民の男性アルファが言う。この人は魔法道具の開発会社で働いているらしい。
「私はβですが、特にΩの方とαの方で仕事の差を感じたことがありません」
この人の職場ではΩもαも一緒に働いているらしい。
「それに最近はΩとαの事件なんてあまり聞かないじゃないですか」
このような感じの話が小一時間ほど続いた。食卓に並んでいた豪華すぎる食事も最初は遠慮して皆食べていなかったけれどもうほとんどなくなってしまっている。
会議のはずだったのだが、それぞれの職場などの上司やお客さんの愚痴などで盛り上がる場面も多々あった。エリス殿下は充分に民の意見を聞けたと喜んでいた。
会議が終わり皆が帰ったあとエリス殿下に挨拶をしに行った。
「殿下、今日はありがとうございました」
「ベールのことも気を使って頂いたようで...」
「いいのさ!隠さないと大惨事になるかもしれないからね!」
「それより、こちらこそ今日は来てくれて助かった」
「仕事も忙しいだろうに」
「いいえ。これで世がかわるのならばいくらでも!」
「そうか!感謝するよ」
「では、その服は1式もらってくれて構わない」
「アレクセイが待っているから早く行ってやるといい」
「すみません、なにから何まで」
「では、失礼します」
部屋を出るとアレクが待っていた。
改めて彼を見ると、いつもうちに来る時と違い髪の毛もセットしてあり、いつも少しだけ着崩している服も今日はきちっとしている。シャツの上のベストが彼の筋肉ではち切れそうだった。
「来たか、シュカ」
「うん」
「王宮内で移動魔法は発動しないから外に行こうか」
何度もここに来たことがあるのか、誰の案内もなく玄関へ向かっていく姿にやはり貴族なのだ、と思う。
「...シュカ、今日は一段と綺麗だな」
「えっ?」
彼の後ろを少し早歩きでついて行ってると思わぬ言葉が聞こえてきた。
「その服、よく似合ってる」
「最初見た時、天使が入ってきたのかと思ったよ」
「はは、ありがとう」
「全部メイドさんが頑張ってくれたんだよ」
「...元々シュカは綺麗だからいじりがいがあっただろうな」
少し冗談めいた風に言うアレク。例え冗談でもそう褒められるとかなり嬉しくて誰もいなかったら飛び跳ねて居ただろう。
「アレクこそ、今日は王子様みたいじゃん」
「最初、一瞬誰なのかと思ったよ」
「今日だけか?」
「さあね」
そんなふうに会話していたら王宮の外についてしまった。
「...帰ろう、さあ手を握って」
差し出された大きな手を握ると、ちょうど突風が吹きベールがめくれてしまったが、直ぐに来た時のように場所が変わった。
でもその場所は見慣れた自分の部屋ではなかった。
「...え?」
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