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自覚
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「おい、その汚いものをその子から離せ」
「はぁ?同意の上でやってるんだ。邪魔すんじゃねえよ」
人がいるというのに、モノを入れるのをやめようとしない。濡れてもいないというのに入れようとするから後ろはもうピリピリとした痛みがある。
何より、アレクがいるのに丸出しだというのが恥ずかしかった。
「レディアン・モーヴィ子爵令息。今すぐその手を彼から離せ」
男の名だろうか、男の体がビクッとして固まった。
「モーヴィ」とはこの領地を収める貴族の名前だ。あの領主の息子なのだろうか。そう言われてみればあの豚のような顔がそっくりだ
「…なんで俺の名前を」
「……ッ!」
アレクを舐めまわすように見始め、胸元の家紋らしきものが刻まれたカフスを見て視線が止まった。
「ラ…ライリー、公爵…様」
「なぜ、うちの領地に…」
「そんなのどうでも良いだろう。その手をいますぐ離し、少年をこちらに渡しなさい」
口調こそ穏やかだが、その声音には明らかに力がこもっている。
男はすぐに手を離し、少しだけ入っていたモノを出してズボンに収めた。
地面に打ち付けられた衝撃で上手く立てず、アレクに寄りかかってしまう。下げられていたズボンをあげて、すぐに離れようとしたが、強く抱きしめられていて出来なかった。
「そ、そのΩが俺を誘惑してきたんです!!」
「ただ俺は歩いてただけなのに!」
それまでかすかに漏れ出ていたアレクのフェロモンがその言葉を聞いてからか爆発的にでてきた。
「っ…ひ、」
その圧倒的なフェロモンに耐えられず、呼吸が上手くできない。
アレクは男に向かって何かを話していて、こちらに気づく様子は無い。
「おい!!てめえ何してんだ!!」
アレクの脇の下からぼんやりと人が来るのが見える。その人物は俺のところに到着するや否や俺をアレクから引き剥がした。
レオンだ。
「…はっ…はぁッ」
アレクのフェロモンが引いたのがわかるが、まだ呼吸ができない。
「シュカ、俺にあわせて呼吸しろ」
耳元で聞こえるレオンの呼吸音にあわせて息を吸う。
数回繰り返すと、すぐに呼吸は落ち着いてきた。
「は…」
「…シュカ、こいつは知り合いか?」
「ん、友達」
「…お願い。俺から、離れて…」
体のうちが徐々に暑くなっていくのがわかる。抑制剤の効果が切れ始めたのだ。
抑制剤を飲んだとしても、あんなに近くでαのフェロモンを嗅いでしまえば普段使い用の抑制剤なんて意味を持たない。
そんな発情する俺の姿をアレクには絶対に見せたくなくて、離れるようにお願いする。
どうしてだろう。友人だから?いや、きっと違う。友達相手にこんな、ドキドキした気持ちは抱かないはず。ならこれは何なのか。
昔、まだ客をあまり取れていないとき、常連の客がいた。
その客が言っていた。
「君のことを思うと胸が高鳴るし、体だけの関係を辞めたいとも思う。これが恋ではないというのなら、なんと言うのだろう」
あぁ、そうだ。
俺は、アレクに恋をしている。
それを自覚した瞬間、体の底から大量にフェロモンが溢れてくるのがわかった。
「っ…お前、まさか…!」
「…俺の、運命だ」
意識が朦朧とする中、レオンのその言葉と、アレクが騎士を呼ぶ声がうっすらと聞こえた。
「はぁ?同意の上でやってるんだ。邪魔すんじゃねえよ」
人がいるというのに、モノを入れるのをやめようとしない。濡れてもいないというのに入れようとするから後ろはもうピリピリとした痛みがある。
何より、アレクがいるのに丸出しだというのが恥ずかしかった。
「レディアン・モーヴィ子爵令息。今すぐその手を彼から離せ」
男の名だろうか、男の体がビクッとして固まった。
「モーヴィ」とはこの領地を収める貴族の名前だ。あの領主の息子なのだろうか。そう言われてみればあの豚のような顔がそっくりだ
「…なんで俺の名前を」
「……ッ!」
アレクを舐めまわすように見始め、胸元の家紋らしきものが刻まれたカフスを見て視線が止まった。
「ラ…ライリー、公爵…様」
「なぜ、うちの領地に…」
「そんなのどうでも良いだろう。その手をいますぐ離し、少年をこちらに渡しなさい」
口調こそ穏やかだが、その声音には明らかに力がこもっている。
男はすぐに手を離し、少しだけ入っていたモノを出してズボンに収めた。
地面に打ち付けられた衝撃で上手く立てず、アレクに寄りかかってしまう。下げられていたズボンをあげて、すぐに離れようとしたが、強く抱きしめられていて出来なかった。
「そ、そのΩが俺を誘惑してきたんです!!」
「ただ俺は歩いてただけなのに!」
それまでかすかに漏れ出ていたアレクのフェロモンがその言葉を聞いてからか爆発的にでてきた。
「っ…ひ、」
その圧倒的なフェロモンに耐えられず、呼吸が上手くできない。
アレクは男に向かって何かを話していて、こちらに気づく様子は無い。
「おい!!てめえ何してんだ!!」
アレクの脇の下からぼんやりと人が来るのが見える。その人物は俺のところに到着するや否や俺をアレクから引き剥がした。
レオンだ。
「…はっ…はぁッ」
アレクのフェロモンが引いたのがわかるが、まだ呼吸ができない。
「シュカ、俺にあわせて呼吸しろ」
耳元で聞こえるレオンの呼吸音にあわせて息を吸う。
数回繰り返すと、すぐに呼吸は落ち着いてきた。
「は…」
「…シュカ、こいつは知り合いか?」
「ん、友達」
「…お願い。俺から、離れて…」
体のうちが徐々に暑くなっていくのがわかる。抑制剤の効果が切れ始めたのだ。
抑制剤を飲んだとしても、あんなに近くでαのフェロモンを嗅いでしまえば普段使い用の抑制剤なんて意味を持たない。
そんな発情する俺の姿をアレクには絶対に見せたくなくて、離れるようにお願いする。
どうしてだろう。友人だから?いや、きっと違う。友達相手にこんな、ドキドキした気持ちは抱かないはず。ならこれは何なのか。
昔、まだ客をあまり取れていないとき、常連の客がいた。
その客が言っていた。
「君のことを思うと胸が高鳴るし、体だけの関係を辞めたいとも思う。これが恋ではないというのなら、なんと言うのだろう」
あぁ、そうだ。
俺は、アレクに恋をしている。
それを自覚した瞬間、体の底から大量にフェロモンが溢れてくるのがわかった。
「っ…お前、まさか…!」
「…俺の、運命だ」
意識が朦朧とする中、レオンのその言葉と、アレクが騎士を呼ぶ声がうっすらと聞こえた。
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