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後編
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お互い恥ずかしくなり、赤面してしまう二人。
先に口火を切ったのはウィルだった。
「じゃ、じゃあ婚約破棄とかはしないし、婚約者のままで良いって事だよね?」
「勿論です!」
ルイーダははっきりと言う。
まだ耳が赤いが、それでも僕の目を見て。
「でも、僕で本当に良いのかい?僕は君の心遣いにも気づいてあげられなかったし君ならもっといい縁談だって…」
「そういうことではないのです。ウィル様は昔から私のために色んなお話を聞かせて下さいますし、贈り物だって私の好みにあったものを贈って下さっています。何よりウィル様が良いのです」
「ルイーダ嬢…」
「学園ではあまり話をしませんでしたので、周りから冷えきっているという噂が出ているのも知っておりますが、私はウィル様以外は嫌です。」
「ありがとう。僕の事を思ってくれて…僕だってルイーダ嬢の事が好きだよ。そうだな、学園でも話かけるようにするよ。オルディン様とエリス嬢のようには中々慣れないと思うけど」
「あの二人は凄いですからね、少し羨ましくも思いますけれど…それよりもう一度仰ってください」
「え?」
「先程のです」
僕は立ち上がり、ルイーダ嬢のすぐ近くまで移動する。ルイーダ嬢も立ち上がり、期待を込めた目をしてこちらを見る
「ああ、僕はルイーダ嬢いや、ルイーダ」
「はい」
「僕は君の事が好きだ。誰にも渡したくない。結婚したい。愛に応えてくれないか」
「はい…はいっ!ウィル様!」
普段の微笑みではなく、
涙を流しながらの満面の笑みで僕の告白に応じてくれたルイーダを見て、残念ながら僕の理性は飛んでしまい…、
抱きしめながら唇を奪ってしまう。
「ウィルさっ!?…んん!~」
婚約しているとはいえまだ成人もしていない学生。
本来であれば許されないため、ルイーダには勿論拒否する権利がある。
しかしルイーダとしては、優しいけれど、何処か抜けているウィルの気を引くために今まで色々してきた事が成就した瞬間でもあったため、自らもウィルの背中へと手を伸ばし口付けを受け入れた。
ルイーダが受け入れた事でウィルは一層情熱的になる。ぬる…と舌を伸ばしルイーダの舌に絡ませ熱を伝えた。
暫く時がたち、口を離すと、どちらのものかもうわからない唾液が伝い、滴り落ちる。
ルイーダの顔は甘く蕩けきっており、ウィルの心のブレーキを完全に破壊しようとしたが……
「二人共、こちらに来なさい」
「えっ」
「ヒッ、イエチガウンデスコレハ!?」
「いいから、来なさい」
そこには青筋を浮かべたルイーダの実父、伯爵家当主と手で顔を覆いながらも指の隙間からバッチリ見ていた侍女達がいた。
やってはいけない事をしてしまったという自覚のあるウィルは完全に顔を青白くしてぱくぱくと閉口し、
実の父や家に仕える侍女達に今のキスを見られていた事を知ったルイーダは恥ずかしさのあまり気を失った。
その後、ルイーダの父にこっぴどく叱られたウィルは一時の間、ルイーダに対し必要以上の接触を禁じられ文通のみでのやり取りをする羽目になった。
なお、この間にウィルとルイーダの恋の炎は大炎上してしまい、接触禁止が明けた際には延々とキスしてしまう事になる。
今はまだ誰もそれを知らない。
ーーーあとがきーーー
ありがとうございました。
チラっと名前だけ出てきたオルディンとエリスの話は「私の癒しの力は弱い」になります。
すぐ読み終わるので是非目を通してみてください。
先に口火を切ったのはウィルだった。
「じゃ、じゃあ婚約破棄とかはしないし、婚約者のままで良いって事だよね?」
「勿論です!」
ルイーダははっきりと言う。
まだ耳が赤いが、それでも僕の目を見て。
「でも、僕で本当に良いのかい?僕は君の心遣いにも気づいてあげられなかったし君ならもっといい縁談だって…」
「そういうことではないのです。ウィル様は昔から私のために色んなお話を聞かせて下さいますし、贈り物だって私の好みにあったものを贈って下さっています。何よりウィル様が良いのです」
「ルイーダ嬢…」
「学園ではあまり話をしませんでしたので、周りから冷えきっているという噂が出ているのも知っておりますが、私はウィル様以外は嫌です。」
「ありがとう。僕の事を思ってくれて…僕だってルイーダ嬢の事が好きだよ。そうだな、学園でも話かけるようにするよ。オルディン様とエリス嬢のようには中々慣れないと思うけど」
「あの二人は凄いですからね、少し羨ましくも思いますけれど…それよりもう一度仰ってください」
「え?」
「先程のです」
僕は立ち上がり、ルイーダ嬢のすぐ近くまで移動する。ルイーダ嬢も立ち上がり、期待を込めた目をしてこちらを見る
「ああ、僕はルイーダ嬢いや、ルイーダ」
「はい」
「僕は君の事が好きだ。誰にも渡したくない。結婚したい。愛に応えてくれないか」
「はい…はいっ!ウィル様!」
普段の微笑みではなく、
涙を流しながらの満面の笑みで僕の告白に応じてくれたルイーダを見て、残念ながら僕の理性は飛んでしまい…、
抱きしめながら唇を奪ってしまう。
「ウィルさっ!?…んん!~」
婚約しているとはいえまだ成人もしていない学生。
本来であれば許されないため、ルイーダには勿論拒否する権利がある。
しかしルイーダとしては、優しいけれど、何処か抜けているウィルの気を引くために今まで色々してきた事が成就した瞬間でもあったため、自らもウィルの背中へと手を伸ばし口付けを受け入れた。
ルイーダが受け入れた事でウィルは一層情熱的になる。ぬる…と舌を伸ばしルイーダの舌に絡ませ熱を伝えた。
暫く時がたち、口を離すと、どちらのものかもうわからない唾液が伝い、滴り落ちる。
ルイーダの顔は甘く蕩けきっており、ウィルの心のブレーキを完全に破壊しようとしたが……
「二人共、こちらに来なさい」
「えっ」
「ヒッ、イエチガウンデスコレハ!?」
「いいから、来なさい」
そこには青筋を浮かべたルイーダの実父、伯爵家当主と手で顔を覆いながらも指の隙間からバッチリ見ていた侍女達がいた。
やってはいけない事をしてしまったという自覚のあるウィルは完全に顔を青白くしてぱくぱくと閉口し、
実の父や家に仕える侍女達に今のキスを見られていた事を知ったルイーダは恥ずかしさのあまり気を失った。
その後、ルイーダの父にこっぴどく叱られたウィルは一時の間、ルイーダに対し必要以上の接触を禁じられ文通のみでのやり取りをする羽目になった。
なお、この間にウィルとルイーダの恋の炎は大炎上してしまい、接触禁止が明けた際には延々とキスしてしまう事になる。
今はまだ誰もそれを知らない。
ーーーあとがきーーー
ありがとうございました。
チラっと名前だけ出てきたオルディンとエリスの話は「私の癒しの力は弱い」になります。
すぐ読み終わるので是非目を通してみてください。
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