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ジェイは王族である。王位継承権は低く、臣に下る事は決まっているが王族である。

つまりジェイには後援会の圧力は効かないのである。

後援会員達はナラーに声をかける男性が現れた事に血の涙を流して大炎上していたが、ナラーより7つも年下でもあるジェイである事を知るや否や鎮火した。

男装の麗人×年下犬系王族のカップリングである。薄い本が発行されるまで秒読みであった。

それまでの人気ジャンルであった騎士団長とのカップリング派は抵抗していたが、騎士団長が王命により他国の姫君を娶る事が発表されると徐々に声が小さくなった。

とはいっても元々覇権カプであったため根強く薄い本は発行され続ける事となったが。

なお後援会員の目標はナラーの傷痕を消して綺麗な体に戻し、その上で幸せにすごしてもらう事なので、薄い本の売上はナラー医療基金として積み立てされている。

 

 

 

ジェイはナラーに一目惚れをしていた。

4年前
ジェイがまだ12歳、ナラーが19歳の頃。たまたまジェイが視察に訪れた町が魔物に襲われた際に、護衛として同行していたナラーが魔物を一刀の元に切り伏せて、ジェイを守ってくれたから。
その際の心配そうな顔や戦闘中の凛々しさや美しさにすっかりジェイは惚れこんでしまい、都に戻ってすぐに父親である王に頼んで騎士団へと所属した。

 

騎士団は厳しかった。王族だろうが関係無く打ちのめされる。しかし楽しかった。

訓練が終わると騎士達と一緒にご飯を食べたり歓談する事ができる。今までは家族ぐらいとしか一緒に食事をした事が無かったジェイにとっては新鮮な事であった。

元々運動が得意では無いジェイは、最初付いていくだけで精一杯…いや、付いていけてもいなかったが成長期真っ只中であったジェイはぐんぐんと成長し、今や国の精鋭たる騎士団の中でもある程度戦えるまでに成長した。

 

そこまで成長したジェイはナラーへ求婚を続けているものの返事は全て拒否されている。

ナラーについて騎士達に聞いても「あいつは結婚を諦めたと聞いた」「騎士として生きるらしい」「あいつの尻結構エロいよな」という事はわかっても何故女を捨てなければならなくなったのか、その理由が見えてこない。なお邪な目で見ていた騎士は周りの騎士にぼこぼこにされた。

「やはり後援会(ファンクラブ)に問い合わせるしか無いのか」

 

ジェイはとうとう後援会(ファンクラブ)本部に乗り込む。


相手は会員番号1番。ナラーの妹だ。

 
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