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騎士となってから数年。ナラーは貴族の女性だけでは無く平民の女性からも憧れられるようになった。いや、女性だけではなく男性にも人気な騎士となった。
力では男性の騎士には敵わないまでも、後の先を取る素早い攻撃や魔物に襲われた場所への救助などで女性目線での行動により各地で活躍してきたからである。また、男勝りな見た目となってはいるが、顔は令嬢然とした美人であるし、ふとした拍子にでる色気を見てしまった男性には刺激が強かった。
後援会(ファンクラブ)の影響も大きい。
彼女らは自分の推しであるナラーのために損害が出た場所へ寄付を行い、食料支援を行い、医者を派遣し仕事を与える。領内の事は夫や父親が中心に運営しているので手出しが余りできないが、後援会として被災地に何か施す事は誰にも止められず行う事が出来る。
更にその至るべきところにナラー後援会という印が入っているため、平民からもすぐに認知されていた。
初めは貴族令嬢が騎士なんて出来るわけがない、と馬鹿にしていた同僚も今はおらず、むしろ騎士団の中でもナラーは人気であった。他にも女騎士は所属しているがオーガのような屈強な見た目をしているかスケルトンのような陰気な奴しかしなかった所である。それでも女騎士というだけで人気であったというのに、正統派美人でありながらも実力のあるナラーが登場してきたのである。工業男子校に急に美人が現れたようなものであった。
ちょっかいをかけたり無理やり手籠めにしようとした馬鹿もいたが、全てナラーやナラーの後援会会員が親族にいる団員によって粉砕されていた。
ナラーは充実した生活を送っていた。
が、一つ困った事があった。
23歳となったナラーは既に婚期を逃しており、ナラー自身も今後騎士として生きる予定のため結婚などしないつもりであった。
しかし、第三王子であるジェイがナラーに求婚してくるのである。
ジェイは現在16歳。いずれは臣に下る事が決まっており現在一時的に騎士団に所属して訓練を受けている最中であった。犬のように今日もナラーに纏わりついてくるジェイ。
「ナラー、僕と結婚してくれないか」
「ジェイ様。お戯れが過ぎますよ」
「いや、僕は本気なんだ」
「はぁ…私より弱いのに何を言ってるんですか。早く剣を振ってください」
ジェイは今日も自分では起き上がれないぐらいまで訓練をさせられた。
力では男性の騎士には敵わないまでも、後の先を取る素早い攻撃や魔物に襲われた場所への救助などで女性目線での行動により各地で活躍してきたからである。また、男勝りな見た目となってはいるが、顔は令嬢然とした美人であるし、ふとした拍子にでる色気を見てしまった男性には刺激が強かった。
後援会(ファンクラブ)の影響も大きい。
彼女らは自分の推しであるナラーのために損害が出た場所へ寄付を行い、食料支援を行い、医者を派遣し仕事を与える。領内の事は夫や父親が中心に運営しているので手出しが余りできないが、後援会として被災地に何か施す事は誰にも止められず行う事が出来る。
更にその至るべきところにナラー後援会という印が入っているため、平民からもすぐに認知されていた。
初めは貴族令嬢が騎士なんて出来るわけがない、と馬鹿にしていた同僚も今はおらず、むしろ騎士団の中でもナラーは人気であった。他にも女騎士は所属しているがオーガのような屈強な見た目をしているかスケルトンのような陰気な奴しかしなかった所である。それでも女騎士というだけで人気であったというのに、正統派美人でありながらも実力のあるナラーが登場してきたのである。工業男子校に急に美人が現れたようなものであった。
ちょっかいをかけたり無理やり手籠めにしようとした馬鹿もいたが、全てナラーやナラーの後援会会員が親族にいる団員によって粉砕されていた。
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が、一つ困った事があった。
23歳となったナラーは既に婚期を逃しており、ナラー自身も今後騎士として生きる予定のため結婚などしないつもりであった。
しかし、第三王子であるジェイがナラーに求婚してくるのである。
ジェイは現在16歳。いずれは臣に下る事が決まっており現在一時的に騎士団に所属して訓練を受けている最中であった。犬のように今日もナラーに纏わりついてくるジェイ。
「ナラー、僕と結婚してくれないか」
「ジェイ様。お戯れが過ぎますよ」
「いや、僕は本気なんだ」
「はぁ…私より弱いのに何を言ってるんですか。早く剣を振ってください」
ジェイは今日も自分では起き上がれないぐらいまで訓練をさせられた。
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