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学園で行われるパーティ中。
それはいきなり起こりました。
「ローナ!お前との婚約を破棄する!そして俺はこのジャスミンと改めて婚約させてもらう」
そういってシラナ侯爵令息は傍らの男好きする体をした令嬢を抱き寄せる。彼女は確か男爵家の令嬢でしたか。ジャスミン令嬢、確かあそこの男爵家に余り良い噂は聞いていなかったと思いますが…
たった今婚約破棄を突き付けられたローナ伯爵令嬢は「シラナ様、どうしてですか…」とか細く、震えた声で言います。が、婚約者である令息は
「お前みたいな地味な令嬢と一緒にされては困るからな!俺にはもっとジャスミンのような華やかで素晴らしい女性のほうが似合うに決まっている!ジャスミンと俺は真実の愛によって結ばれるのだ!」
確かにローナ嬢は目立たない茶色の髪色ですし地味目な見た目です。それでも彼女は勉強も常に上位でよく気がつき、先回りして行動のできる素晴らしい女性である事を私は知っております。
ローナ令嬢は座り込み泣き出してしまいました。周りの令息や令嬢達も遠巻きにみております。
しょうがありませんわね。
「マリーナ、行きますわよ」
「はい、エリザベス様」
私は席から立ち上がり、付き人兼護衛役のマリーナを連れて問題の場へと赴きます。
私が近づいてくると周囲の方は道を開けて通してくれます。
「話は聞かせてもらいました。では私がそれを許可しましょう」
「そ、そんな」
と顔を青褪めるローナ伯爵令嬢と、
「やった!エリザベス王女殿下に認められたぞ!これで俺たちは婚約できる!」「ありがとうございます!エリザベス様」
と呑気に喜んでいるシラナ侯爵令息とジャスミン男爵令嬢。
「その代わり、貴方方が婚約破棄や離縁する事は認めません。また、こちらのローナ令嬢は私が頂きますね」
「いいですともいいですとも!そんな地味な奴好きなようにしてください」
そういってシラナ侯爵令息とジャスミン男爵令嬢は二人でどこかへ去っていってしまいました。
私はパンと手を叩き
「お騒がせしましたわ。まだパーティは続きますので皆さまは楽しんで下さいませ。マリーナ、ローナ令嬢を連れていらっしゃい」
「はい、エリザベス様。ローナ様、こちらへどうぞ」
私はマリーナとローナ伯爵令嬢と共に王族用に用意された控室に行きます。
マリーナが甲斐甲斐しくローナ様を世話し、化粧を整えてお茶を飲み一息ついたところで
「ローナ令嬢、落ち着きましたか?」
「エリザベス様、すいません。お見苦しい所をお見せしました…」
「気にしないでください。それより、貴方はこれからどうしたいですか?」
「どうしたい、とは?」
「まず。侯爵家有責による婚約破棄になる事は間違いありません。私が証言しますので。ですから貴方には慰謝料が支払われます。それ以降の事です。新しい婚約者を探すかそれとも一旦婚約者を探すのは止めるか。とりあえずそれを決める事になるでしょうか」
「両親が決めた婚約ですし、また新しい婚約者を探す事になるかと思いますが…」
「数年程度でしたら私がどうにか説得を手伝って差し上げますわ」
「そんな事できるんですか!?」
できますよ。私、王女ですし。
今回の婚約破棄の事も併せて説得すればご両親も少しは考えて下さると思います。
「大丈夫かと」
「でしたらそれでお願いします。シラナ様に何か申し上げても地味だの鈍間だとずっと言われて少し疲れてしまいましたので…」
「ではそのようにいたします。とりあえずもうパーティを楽しむ気分でも無いでしょうし馬車を用意させます。家でゆっくり休んでください。マリーナが同行して事情は説明いたします。」
「わかりました、お手を煩わせて申し訳ございませんが、よろしくお願いします」
そういってローナ令嬢とマリーナは控室から出ていきました。
さて、
「ゲイルお兄様。これでよろしいですか?」
「ありがとうエリー。助かったよ」
カーテンの後ろから出てきたのは私の従兄で2つ年上のゲイルお兄様。公爵令息でもあります。王子教育で忙しい実のお兄様達より遊んでくれた記憶が多いゲイルお兄様の頼みを今回は聞いて、ローナ嬢の手助けをしました。
「最初からお兄様があの場にいって治められたら良かったのではないでしょうか」
「そうはいうがな、俺がここにいるのがそもそもおかしいと思われて終わりだろう」
「来賓でも何でも理由は作れると思いますけど…卒業生でもあるんですし…。とりあえずローナ嬢と伯爵家は婚約者探しは一旦止まると思いますのでお兄様ここで決められなかったらもう無理ですわよ」
「わかっている。上手くやるつもりだ。あのバカ令息と令嬢に関してもな…」
「今後を楽しみにしております」
皆様が思っている通り
ゲイルお兄様はローナ伯爵令嬢に惚れております。いつからなのかは知りませんけれど。
しかし彼女にはシラナ侯爵令息という婚約者がいたため何もできなかったところでしたが、ジャスミン男爵令嬢が現れた結果が今になります。
恐らくシラナ令息と婚約が破棄される事についてお兄様は喜んでいるでしょうが、それはそれとしてローナ令嬢を泣かせた二人には報復するのでしょうねぇ。
それから
偶然を装ってローナ令嬢と仲良くなったゲイルお兄様は、無事にローナ令嬢の心を射止められました。ローナ様が学園を卒業したらすぐ結婚し、公爵がもつ領地の一つを治めるそうでございます。
ゲイルお兄様は派手で端麗な見た目をしておりますが、だからこそ近づいてくる同じような派手派手しい令嬢に辟易していたところ見つけた、素朴な花のようでそれでいて能力の高いローナ伯爵令嬢に惚れていたらしいです。
シラナ侯爵令息とジャスミン男爵令嬢については男爵家が慰謝料の半分も支払えない程
の赤字経営だと発覚し上位貴族の財産目的だった事を知ると真実の愛が溶けてしまったようで、喧嘩が絶えないようでございます。
しかし私が宣言した通り婚約破棄や離縁は認められませんので一生を共にして頂きます。
私はというと
「マリーナ。マリーナは私のモノですからね」
「えぇ、わかっておりますよエリー」
「あーあ、ゲイルお兄様がいなければローナ嬢も私のモノに出来たのに」
「残念でしたね」
「まぁ、ゲイルお兄様にはお世話になりましたし、しょうがありませんね、私にはマリーナがおりますし」
「あら、嬉しい事言ってくれますね。エリーにはご褒美をあげましょう」
「んんっ」
エリザベスはローナ伯爵令嬢を手に入れる事は出来なかったが、ゲイルに恩を売ることができたし、マリーナから沢山ご褒美をもらったのでこれで良かったのだと自分に言い聞かせるのだった。
それはいきなり起こりました。
「ローナ!お前との婚約を破棄する!そして俺はこのジャスミンと改めて婚約させてもらう」
そういってシラナ侯爵令息は傍らの男好きする体をした令嬢を抱き寄せる。彼女は確か男爵家の令嬢でしたか。ジャスミン令嬢、確かあそこの男爵家に余り良い噂は聞いていなかったと思いますが…
たった今婚約破棄を突き付けられたローナ伯爵令嬢は「シラナ様、どうしてですか…」とか細く、震えた声で言います。が、婚約者である令息は
「お前みたいな地味な令嬢と一緒にされては困るからな!俺にはもっとジャスミンのような華やかで素晴らしい女性のほうが似合うに決まっている!ジャスミンと俺は真実の愛によって結ばれるのだ!」
確かにローナ嬢は目立たない茶色の髪色ですし地味目な見た目です。それでも彼女は勉強も常に上位でよく気がつき、先回りして行動のできる素晴らしい女性である事を私は知っております。
ローナ令嬢は座り込み泣き出してしまいました。周りの令息や令嬢達も遠巻きにみております。
しょうがありませんわね。
「マリーナ、行きますわよ」
「はい、エリザベス様」
私は席から立ち上がり、付き人兼護衛役のマリーナを連れて問題の場へと赴きます。
私が近づいてくると周囲の方は道を開けて通してくれます。
「話は聞かせてもらいました。では私がそれを許可しましょう」
「そ、そんな」
と顔を青褪めるローナ伯爵令嬢と、
「やった!エリザベス王女殿下に認められたぞ!これで俺たちは婚約できる!」「ありがとうございます!エリザベス様」
と呑気に喜んでいるシラナ侯爵令息とジャスミン男爵令嬢。
「その代わり、貴方方が婚約破棄や離縁する事は認めません。また、こちらのローナ令嬢は私が頂きますね」
「いいですともいいですとも!そんな地味な奴好きなようにしてください」
そういってシラナ侯爵令息とジャスミン男爵令嬢は二人でどこかへ去っていってしまいました。
私はパンと手を叩き
「お騒がせしましたわ。まだパーティは続きますので皆さまは楽しんで下さいませ。マリーナ、ローナ令嬢を連れていらっしゃい」
「はい、エリザベス様。ローナ様、こちらへどうぞ」
私はマリーナとローナ伯爵令嬢と共に王族用に用意された控室に行きます。
マリーナが甲斐甲斐しくローナ様を世話し、化粧を整えてお茶を飲み一息ついたところで
「ローナ令嬢、落ち着きましたか?」
「エリザベス様、すいません。お見苦しい所をお見せしました…」
「気にしないでください。それより、貴方はこれからどうしたいですか?」
「どうしたい、とは?」
「まず。侯爵家有責による婚約破棄になる事は間違いありません。私が証言しますので。ですから貴方には慰謝料が支払われます。それ以降の事です。新しい婚約者を探すかそれとも一旦婚約者を探すのは止めるか。とりあえずそれを決める事になるでしょうか」
「両親が決めた婚約ですし、また新しい婚約者を探す事になるかと思いますが…」
「数年程度でしたら私がどうにか説得を手伝って差し上げますわ」
「そんな事できるんですか!?」
できますよ。私、王女ですし。
今回の婚約破棄の事も併せて説得すればご両親も少しは考えて下さると思います。
「大丈夫かと」
「でしたらそれでお願いします。シラナ様に何か申し上げても地味だの鈍間だとずっと言われて少し疲れてしまいましたので…」
「ではそのようにいたします。とりあえずもうパーティを楽しむ気分でも無いでしょうし馬車を用意させます。家でゆっくり休んでください。マリーナが同行して事情は説明いたします。」
「わかりました、お手を煩わせて申し訳ございませんが、よろしくお願いします」
そういってローナ令嬢とマリーナは控室から出ていきました。
さて、
「ゲイルお兄様。これでよろしいですか?」
「ありがとうエリー。助かったよ」
カーテンの後ろから出てきたのは私の従兄で2つ年上のゲイルお兄様。公爵令息でもあります。王子教育で忙しい実のお兄様達より遊んでくれた記憶が多いゲイルお兄様の頼みを今回は聞いて、ローナ嬢の手助けをしました。
「最初からお兄様があの場にいって治められたら良かったのではないでしょうか」
「そうはいうがな、俺がここにいるのがそもそもおかしいと思われて終わりだろう」
「来賓でも何でも理由は作れると思いますけど…卒業生でもあるんですし…。とりあえずローナ嬢と伯爵家は婚約者探しは一旦止まると思いますのでお兄様ここで決められなかったらもう無理ですわよ」
「わかっている。上手くやるつもりだ。あのバカ令息と令嬢に関してもな…」
「今後を楽しみにしております」
皆様が思っている通り
ゲイルお兄様はローナ伯爵令嬢に惚れております。いつからなのかは知りませんけれど。
しかし彼女にはシラナ侯爵令息という婚約者がいたため何もできなかったところでしたが、ジャスミン男爵令嬢が現れた結果が今になります。
恐らくシラナ令息と婚約が破棄される事についてお兄様は喜んでいるでしょうが、それはそれとしてローナ令嬢を泣かせた二人には報復するのでしょうねぇ。
それから
偶然を装ってローナ令嬢と仲良くなったゲイルお兄様は、無事にローナ令嬢の心を射止められました。ローナ様が学園を卒業したらすぐ結婚し、公爵がもつ領地の一つを治めるそうでございます。
ゲイルお兄様は派手で端麗な見た目をしておりますが、だからこそ近づいてくる同じような派手派手しい令嬢に辟易していたところ見つけた、素朴な花のようでそれでいて能力の高いローナ伯爵令嬢に惚れていたらしいです。
シラナ侯爵令息とジャスミン男爵令嬢については男爵家が慰謝料の半分も支払えない程
の赤字経営だと発覚し上位貴族の財産目的だった事を知ると真実の愛が溶けてしまったようで、喧嘩が絶えないようでございます。
しかし私が宣言した通り婚約破棄や離縁は認められませんので一生を共にして頂きます。
私はというと
「マリーナ。マリーナは私のモノですからね」
「えぇ、わかっておりますよエリー」
「あーあ、ゲイルお兄様がいなければローナ嬢も私のモノに出来たのに」
「残念でしたね」
「まぁ、ゲイルお兄様にはお世話になりましたし、しょうがありませんね、私にはマリーナがおりますし」
「あら、嬉しい事言ってくれますね。エリーにはご褒美をあげましょう」
「んんっ」
エリザベスはローナ伯爵令嬢を手に入れる事は出来なかったが、ゲイルに恩を売ることができたし、マリーナから沢山ご褒美をもらったのでこれで良かったのだと自分に言い聞かせるのだった。
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