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第43話 逆痴漢
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アイズの叫びによって、正気を取り戻したボス、部下、魔法少女、宇宙人の面々。彼らは、また各々の日常に戻っていく。
そして、ボスと部下は「例の物」を受取りに、次の仕事場へ出発した。
ボスと部下は、スーツにサングラスという出で立ちで電車に揺られていた。
平日であるため、また先刻の様々な出来事により、2人はちょうど人が混み合う時間に乗り合わせてしまった。
ボスは、電車の窓から外の景色を眺める。悪の組織とは、絶対に交わる事のないであろう外の景色を眺めて、その綺麗さに、その雑踏に、ほんの少しだけ疲れそうになる。
ボスは、何も考えなくていいように空を眺め出した。夕焼けがちょうどどこかの山の上に重なっている。
ボスは、一瞬だけサングラスを外して太陽を直視してみる。うっ、とうめいてサングラスをかけなおす。
やはり直射日光はまぶしいな、と普段日の当たらない場所で過ごす自分が、思いのほか太陽にテンションが上がっていることがわかり、少しだけ笑ってしまった。
すると、彼はふとももの後ろあたりに何か感触があることに気が付いた。きっと誰かのカバンが当たっているのだろう。彼は、そう言い聞かせ太陽をぼーっと眺めていた。
大胆に、そして時に優しく、さらに壮大に、その手の動きはボスのふとももからお尻にかけてを丁寧にもみこんでいく。
そして、その感触はとうとう2つになった。両の手でしっかりと様々な場所をもみこまれていくボス。
彼は、その自分の立場上、シャバの公共交通機関で声を上げるなどということはできなかった。
されるがままに、痴漢されてしまうが、その状況に極度の興奮を覚えているボス。
電車はトンネルに入っていく。すると、ボスの耳元で部下の声が聞こえた。
「窓を見てごらん。」
ボスは、ばっと窓の外を見る。すると、真っ暗なトンネルによって、鏡のようになった電車の窓ガラスが見えた。
そして、そのガラスには、痴漢されて完全に興奮したメスの顔になっているボスが映っていた。
その自分の顔を見て、ボスはさらに悔しさと興奮を覚えてしまう。その隙を、見逃さず2つの感触はさらにボスを責め立てる。
容赦のない責めによって、もはや立っている事がやっとな状態のボス。部下は、ボスの耳元に息を吹きかける。
「け...。」
ボスの口元から言葉が自然に漏れ出る。彼は、この状況下で自分の理性がほとんど失われる事に気づいていない。
「けいさつのかたぁ...。」
この極限状態で、彼はあろう事か自分が1番敵視するべき存在に助けを求めようとしていた。くすくすという笑い声が聞こえる。
「だぁれも助けになんかきませんよ。」
部下は、ボスの頬を舌で舐め、ぎゅっとボスの引き締まった尻を掴む。
「そうよ。あなたはここでずーっと気持ちよくなっていればいいの。」
2種類の違ったバリエーションの責めに、ボスはもう何もかもがどうでもよくなっていた。彼の脳内は、ただ電車内で立つ事だけを考え、あとは快楽に身を委ねていった。
ようやくボス達は、目的の駅にたどり着く。電車のドアが空き、ボスはふらふらとした足取りで、とにかく目に入ったベンチに座る。その後から、ツヤツヤとした部下がボスの隣に座った。
「すみません、やりすぎちゃいました。」
満面の笑みで、ボスに謝罪をする部下。様々な感情がボスの中にはあったが、それを言葉にする体力はボスにはなかった。
とりあえず親指をあげ、goodサインを部下に突き出した。
「気に入ってもらえたなら何よりです。ちょっと休憩していきましょうか。」
流石に疲労困憊の様子のボス。このままでは、業務に支障が出ると判断し、駅のベンチで一休みする。
座りながら、もうすっかり暗くなってしまった辺りを見渡す。彼は誰もいない公園をじっと眺めていた。
「まさか両手でもみこまれるとはね。」
ボスは、なんとか声を絞り出す。部下は、笑いながらも少し不思議そうな顔をした。
「何言ってるんですか。私は片手でしか触ってないですよ。」
部下の言葉にボスは困惑する。確かに自分が感じた感触は2つあったはずだ、と彼は自分の記憶を再度思い出す。
部下の発言が正しければ、部下の手ではないもう一方の手はなんだったのだろうか?
記憶の底をさらに探っていくボス。部下の声が聞こえたのは確か左耳で、そういえば右耳からも声が聞こえてきたような...。
そこまで考えて、ボスは全身に鳥肌が立った。恐らくあの場所には、もう1人自分の尻を触った人間がいた。
そして、その人物に部下は気付けていなかった。
あの部下が、見知らぬ人物に自分が痴漢されている時に気付かないはずがない。その部下の警戒網すら突破して自分に痴漢してきた人物...。
そこまででボスは考えるのをやめた。全てのピースがはまってしまった時、導き出される結論はどれも恐ろしすぎる。
とにかく彼は、じっとしていたくなくなってしまった。部下に、そろそろ行くか。というと、そそくさと改札の方へ早歩きで向かっていった。
部下は、不思議そうにボスを見ると、軽やかな小走りで改札を抜けた。
2人が降りた駅を見下ろすことができる駅ビルの屋上で、彼らを眺めている1人の女がいた。
改札を抜けてどこかへ向かおうとする2人をじっと眺めた後、彼女はふーん。とつぶやく。
その女は2人が視界から消えるまでひとしきり眺め、2人が見えなくなると立ち上がって、夜の闇に紛れて霧のように消えてしまった。
そして、ボスと部下は「例の物」を受取りに、次の仕事場へ出発した。
ボスと部下は、スーツにサングラスという出で立ちで電車に揺られていた。
平日であるため、また先刻の様々な出来事により、2人はちょうど人が混み合う時間に乗り合わせてしまった。
ボスは、電車の窓から外の景色を眺める。悪の組織とは、絶対に交わる事のないであろう外の景色を眺めて、その綺麗さに、その雑踏に、ほんの少しだけ疲れそうになる。
ボスは、何も考えなくていいように空を眺め出した。夕焼けがちょうどどこかの山の上に重なっている。
ボスは、一瞬だけサングラスを外して太陽を直視してみる。うっ、とうめいてサングラスをかけなおす。
やはり直射日光はまぶしいな、と普段日の当たらない場所で過ごす自分が、思いのほか太陽にテンションが上がっていることがわかり、少しだけ笑ってしまった。
すると、彼はふとももの後ろあたりに何か感触があることに気が付いた。きっと誰かのカバンが当たっているのだろう。彼は、そう言い聞かせ太陽をぼーっと眺めていた。
大胆に、そして時に優しく、さらに壮大に、その手の動きはボスのふとももからお尻にかけてを丁寧にもみこんでいく。
そして、その感触はとうとう2つになった。両の手でしっかりと様々な場所をもみこまれていくボス。
彼は、その自分の立場上、シャバの公共交通機関で声を上げるなどということはできなかった。
されるがままに、痴漢されてしまうが、その状況に極度の興奮を覚えているボス。
電車はトンネルに入っていく。すると、ボスの耳元で部下の声が聞こえた。
「窓を見てごらん。」
ボスは、ばっと窓の外を見る。すると、真っ暗なトンネルによって、鏡のようになった電車の窓ガラスが見えた。
そして、そのガラスには、痴漢されて完全に興奮したメスの顔になっているボスが映っていた。
その自分の顔を見て、ボスはさらに悔しさと興奮を覚えてしまう。その隙を、見逃さず2つの感触はさらにボスを責め立てる。
容赦のない責めによって、もはや立っている事がやっとな状態のボス。部下は、ボスの耳元に息を吹きかける。
「け...。」
ボスの口元から言葉が自然に漏れ出る。彼は、この状況下で自分の理性がほとんど失われる事に気づいていない。
「けいさつのかたぁ...。」
この極限状態で、彼はあろう事か自分が1番敵視するべき存在に助けを求めようとしていた。くすくすという笑い声が聞こえる。
「だぁれも助けになんかきませんよ。」
部下は、ボスの頬を舌で舐め、ぎゅっとボスの引き締まった尻を掴む。
「そうよ。あなたはここでずーっと気持ちよくなっていればいいの。」
2種類の違ったバリエーションの責めに、ボスはもう何もかもがどうでもよくなっていた。彼の脳内は、ただ電車内で立つ事だけを考え、あとは快楽に身を委ねていった。
ようやくボス達は、目的の駅にたどり着く。電車のドアが空き、ボスはふらふらとした足取りで、とにかく目に入ったベンチに座る。その後から、ツヤツヤとした部下がボスの隣に座った。
「すみません、やりすぎちゃいました。」
満面の笑みで、ボスに謝罪をする部下。様々な感情がボスの中にはあったが、それを言葉にする体力はボスにはなかった。
とりあえず親指をあげ、goodサインを部下に突き出した。
「気に入ってもらえたなら何よりです。ちょっと休憩していきましょうか。」
流石に疲労困憊の様子のボス。このままでは、業務に支障が出ると判断し、駅のベンチで一休みする。
座りながら、もうすっかり暗くなってしまった辺りを見渡す。彼は誰もいない公園をじっと眺めていた。
「まさか両手でもみこまれるとはね。」
ボスは、なんとか声を絞り出す。部下は、笑いながらも少し不思議そうな顔をした。
「何言ってるんですか。私は片手でしか触ってないですよ。」
部下の言葉にボスは困惑する。確かに自分が感じた感触は2つあったはずだ、と彼は自分の記憶を再度思い出す。
部下の発言が正しければ、部下の手ではないもう一方の手はなんだったのだろうか?
記憶の底をさらに探っていくボス。部下の声が聞こえたのは確か左耳で、そういえば右耳からも声が聞こえてきたような...。
そこまで考えて、ボスは全身に鳥肌が立った。恐らくあの場所には、もう1人自分の尻を触った人間がいた。
そして、その人物に部下は気付けていなかった。
あの部下が、見知らぬ人物に自分が痴漢されている時に気付かないはずがない。その部下の警戒網すら突破して自分に痴漢してきた人物...。
そこまででボスは考えるのをやめた。全てのピースがはまってしまった時、導き出される結論はどれも恐ろしすぎる。
とにかく彼は、じっとしていたくなくなってしまった。部下に、そろそろ行くか。というと、そそくさと改札の方へ早歩きで向かっていった。
部下は、不思議そうにボスを見ると、軽やかな小走りで改札を抜けた。
2人が降りた駅を見下ろすことができる駅ビルの屋上で、彼らを眺めている1人の女がいた。
改札を抜けてどこかへ向かおうとする2人をじっと眺めた後、彼女はふーん。とつぶやく。
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