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第22話 邂逅
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武装したボスの部下達の前に現れたのは、黒いワンピースを着た綺麗なお姉さんであった。
扉を開け、お姉さんを中に招き入れる部下達。
緊張感が漂いつつも、冷静にボディチェックを行う。
何も持っていない事を確認すると、部下の1人が要件を尋ねた。
「会いたい人がいて。」
そう言った後、ボスの身体的特徴を長い時間をかけて語り尽くした。
部下達は恐れ慄いていた。そもそもボスは自分の事を語りたがらない人だ。
そんなボスの特徴を事細かに知っている人物というのは、ボスと同等か、それ以上の人間しかいないだろう。
もしかしたら、ボスの奥さんなのではないかと勘繰る部下も少なくなかった。
さらに、部下達ももちろん裏社会で生きる者として戦闘の心得がある者達ばかりだ。
しかし、その部下達でさえ、このお姉さんの隙を見出すことができなかった。
一瞬でも殺意をお姉さんに対して向ければ、確実に殺されてしまうという確信すらあった。
この異常なお姉さんとボスを会わせて良いものか。という1つの問題が浮かび上がっていたが、部下達はどうすることもできなかった。
こんな人を相手どれるのはボスしかいないのだ。
結局は、部下の1人がお姉さんをボスの部屋まで案内した。
ボスの部屋の扉の前まで来ると、お姉さんを案内し終えた部下は、即座に踵を返した。
常人には耐えられようもない緊張感がそこにはあった。
部屋の中にいる部下とボスも、部屋の外にいる女帝もお互いがお互いの存在を認識していた。
ノックをせずにドアを開け、部屋の中に入る女帝。
部屋の中には、ソファに腰掛けるボスとその側で立っている部下の姿があった。
部下の姿を見るなり、女帝は一瞬だけ鋭い殺気を放ってしまった。
しかし、すぐに気持ちを落ち着かせ、あらあらと笑う女帝。
地獄の業火で焼かれるような殺気を浴びた部下とボスは一瞬呼吸ができなくなってしまったが、すぐに冷静さを取り戻した。
ボスの向かいのソファに優しく腰をかける女帝。
「久しぶりだね。」
ボスに対し、フランクに声をかける。
「本当にお久しぶりです。」
ボスは、恐縮した。
部下はその光景を見て、驚愕、恐怖、嫉妬、様々な混じり合った感情を抱いていた。
「とりあえず、お茶でも淹れましょうか。」
ボスが、そう言うと部下は早速お茶を入れようと動く。
しかし、その動きを女帝は制した。
「どうかしら、久しぶりに君が淹れたお茶を飲みたいな。ほら、昔はよく君がお茶を淹れてくれたじゃないか。」
女帝はボスにそう伝える。
部下は一瞬不審に感じたが、ボスの動きを待った。
ボスは一言、わかりました。と笑顔で返すと、急いでポットに向かった。
「今は、ゆっくりでいいんだよ。」
女帝は、ずっと目でボスを追う。
部下はその様子を警戒していた。
ボスがお茶を淹れ、女帝の前に差し出す。
「ありがとう。いただくよ。」
女帝は笑顔でそう言うと、一口お茶を飲む。
そして、ふふふ...と上品に笑った。
ソファに座るボス。
女帝は、お茶を持ってそっと立ち上がった。
部下が、ボスの側に半歩近づく。
その様子をまるで気にせず女帝はボスに近づき、ボスの目の前に立つ。
そして、持っていたお茶をボスの頭頂部にぶちまけた。
部下は持っていた拳銃に手をかけようとしたが、ボスが冷静に部下の腕を止めた。
女帝はその様子を見て、本当に楽しそうに笑っていた。
「....ボス、手を離してください。」
部下は鋭い目で女帝を睨みつける。
「頼む、ここはひとまず落ち着いてくれ。」
ボスは言う。
極限まで高まった緊張感の中で、ボスは今日が人生で2度目のピンチであると確信していた。
扉を開け、お姉さんを中に招き入れる部下達。
緊張感が漂いつつも、冷静にボディチェックを行う。
何も持っていない事を確認すると、部下の1人が要件を尋ねた。
「会いたい人がいて。」
そう言った後、ボスの身体的特徴を長い時間をかけて語り尽くした。
部下達は恐れ慄いていた。そもそもボスは自分の事を語りたがらない人だ。
そんなボスの特徴を事細かに知っている人物というのは、ボスと同等か、それ以上の人間しかいないだろう。
もしかしたら、ボスの奥さんなのではないかと勘繰る部下も少なくなかった。
さらに、部下達ももちろん裏社会で生きる者として戦闘の心得がある者達ばかりだ。
しかし、その部下達でさえ、このお姉さんの隙を見出すことができなかった。
一瞬でも殺意をお姉さんに対して向ければ、確実に殺されてしまうという確信すらあった。
この異常なお姉さんとボスを会わせて良いものか。という1つの問題が浮かび上がっていたが、部下達はどうすることもできなかった。
こんな人を相手どれるのはボスしかいないのだ。
結局は、部下の1人がお姉さんをボスの部屋まで案内した。
ボスの部屋の扉の前まで来ると、お姉さんを案内し終えた部下は、即座に踵を返した。
常人には耐えられようもない緊張感がそこにはあった。
部屋の中にいる部下とボスも、部屋の外にいる女帝もお互いがお互いの存在を認識していた。
ノックをせずにドアを開け、部屋の中に入る女帝。
部屋の中には、ソファに腰掛けるボスとその側で立っている部下の姿があった。
部下の姿を見るなり、女帝は一瞬だけ鋭い殺気を放ってしまった。
しかし、すぐに気持ちを落ち着かせ、あらあらと笑う女帝。
地獄の業火で焼かれるような殺気を浴びた部下とボスは一瞬呼吸ができなくなってしまったが、すぐに冷静さを取り戻した。
ボスの向かいのソファに優しく腰をかける女帝。
「久しぶりだね。」
ボスに対し、フランクに声をかける。
「本当にお久しぶりです。」
ボスは、恐縮した。
部下はその光景を見て、驚愕、恐怖、嫉妬、様々な混じり合った感情を抱いていた。
「とりあえず、お茶でも淹れましょうか。」
ボスが、そう言うと部下は早速お茶を入れようと動く。
しかし、その動きを女帝は制した。
「どうかしら、久しぶりに君が淹れたお茶を飲みたいな。ほら、昔はよく君がお茶を淹れてくれたじゃないか。」
女帝はボスにそう伝える。
部下は一瞬不審に感じたが、ボスの動きを待った。
ボスは一言、わかりました。と笑顔で返すと、急いでポットに向かった。
「今は、ゆっくりでいいんだよ。」
女帝は、ずっと目でボスを追う。
部下はその様子を警戒していた。
ボスがお茶を淹れ、女帝の前に差し出す。
「ありがとう。いただくよ。」
女帝は笑顔でそう言うと、一口お茶を飲む。
そして、ふふふ...と上品に笑った。
ソファに座るボス。
女帝は、お茶を持ってそっと立ち上がった。
部下が、ボスの側に半歩近づく。
その様子をまるで気にせず女帝はボスに近づき、ボスの目の前に立つ。
そして、持っていたお茶をボスの頭頂部にぶちまけた。
部下は持っていた拳銃に手をかけようとしたが、ボスが冷静に部下の腕を止めた。
女帝はその様子を見て、本当に楽しそうに笑っていた。
「....ボス、手を離してください。」
部下は鋭い目で女帝を睨みつける。
「頼む、ここはひとまず落ち着いてくれ。」
ボスは言う。
極限まで高まった緊張感の中で、ボスは今日が人生で2度目のピンチであると確信していた。
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