太陽の剣士さん~ライファンの冒険

緑川らあず

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9.闇の魔物

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「実に面白い。さすがはサコース殿下だ」
  ぼんやりと浮かび上がった映像を見ながら、パチパチと手を叩くのは、国境の町ノークトの領主だった。
「骸骨兵に襲わせるなんて大胆ですなぁ」
  ここはバルサゴ王国の首都ザラセン。その不気味な王城である。
  じめじめとした空気がたちこめ、不自然なほど静まり返った、暗い城内の一室で、領主は誰かに向かってひざまずいていた。
  部屋の上方の何もない空間に、横長の楕円形をした映像が浮かんでいる。
 それは実に不思議なものだった。浮かび上がった映像のなかで、骸骨兵と騎士たちが戦っている。それはアダラーマ王国の城門付近を空から映し出したような映像だった。
「殿下の空の目はまこと確かですな。じつに綺麗なビジュアル。臨場感も抜群」
  感心したようにまた手を叩く領主。そして、その向かいの一段高くなったところに豪奢な椅子が置かれていた。黒ビロードに金色で飾りをされた大きな玉座、そこに一人の若者が座っていた。
  歳のころは見た目には二十歳そこそこであろう。細くつり上がってすっきりとした眉目と、青白い肌、薄い金色の髪をもった、非常に秀麗な面持ちの若者だった。それがバルサゴ王国の第一王子サコースである。
  王子の口から低い唸り声が上がった。領主ははっとして押し黙った。
「サリエル様?……」
「……ぐぐぐ……ぐう……ば……馬鹿もの……が」
「ひ、ひっ」
  飛び上がるようにして領主はあとずさった。
  閉じられていた王子の目がカッと開いた。それとともに空中の映像がふっと消えた。
「その名を呼ぶなと……言っておるだろうが」
  低く、怪物染みた唸りのようだった王子の声は、やがて若者らしい澄んだ少し高い響きに変わった。薄紫の目が何度かぎょろぎょろと動き、やがて安定したようにそこに人の目の光が宿った。
「で、殿下……お目覚めで」
  おそるおそる領主が尋ねた。
「ずっと起きている。ただこの殻にいるのはエネルギーがいるのだ。余計なことを言うなばかめ」
「はっ。申し訳ありません」
  王子は玉座から立ち上がり、ボキボキと腕や足を動かした。
「ふむ。慣れればこの体も悪くはないのだがな」
  赤い裏打ちのマントをバサッとなびかせる。
「事は順調ですな。骸骨兵でアダラーマを滅ぼし、太陽神のかけらはすでに我が王国内にあり……」
  ぎろりと王子に睨まれ、領主は慌てて頭を下げた。
「それより……例の王女は?」
「は。ただいまここに」
  領主はぼそぼそと呪文のようなものを唱えると、音もなく扉が開かれた。
 入ってきたのは、二人の甲冑の騎士に両側から支えられた王女クシュルカだった。
  王女は目を閉じたままぐったりとしている。領主がさらに何かをつぶやくと、甲冑の騎士は機械仕掛けのように、のろのろと王女を連れて王座の前に進み出た。王子が床に向けて手を差し出すと、そこに豪華な装飾のついた椅子が現れた。
「ここへ」
  王子の命令通り、甲冑の騎士は王女を椅子に座らせると、またのろのろと歩いてゆき壁際で動かなくなった。
「これがアダラーマ王国の王女か」
 椅子の背にもたれた王女のプラチナの髪を手ですくいながら、王子は言った。
「なるほど。近くで見れば確かに美しい」
「太陽神のせがれが惚れるのも分かりますかな」
「黙れ。ダイモン。きさまはおしゃべりが過ぎるな」
「これは失礼をば」
  領主は頭を下げたが、依然その顔にはいやらしい笑いが浮かび、王女をなめるように見つめていた。
「しかし殿下。太陽神の小せがれをおびき寄せるのに、わざわざこのような手を使うとは、いかにも慎重でありますな。殿下らしくもないというか……あ、これは、失礼な言いようでしたか」
「ふん。貴様程度の魔には分かるまい。人を石像に変え、骸骨を操る程度の力では彼の者に通用しなかったではないか?なんなら貴様が直接あの少年を捕らえてここに連れてきても良かったのだぞ」
  王子の言葉に、領主は「めっそうもない」という卑屈な顔をした。
「確かに、それは無理でしたな。なにしろあのガキに近づいただけで息苦しくなるというか、卒倒しそうになるほどのいまいましい波動を感じました。陽光の力ですか。じっさいあのガキが眠らないことには同じ部屋にいた王女を連れ出すことも容易ではなかったでしょうな。そう考えると、確かに王女を使ってあのガキをこの城におびき寄せる方が確実ですな。まったく驚きました。太陽神のかけらの力があれほどだとは。石化の魔力はおろか幻惑の秘術で毒入りの食事を食べさせることもダメでしたよ。あれは全てあのガキの力なんですか?それともすべてはスカイソードの威力でしょうか?」
「分からん」
  王子はぶっきらぼうに言った。
「確かなのはまだあれは真に覚醒はしておらん。だからこそ今がチャンスなのだ。スカイソードも輝いてはいない。今なら、あの少年の体ごと呑み込める」
「そうなれば、殿下はまずはこのシンフォニアで最大の力を得るわけですな」
  王子はそれにうなずくでもなく、椅子にもたれたクシュルカ王女を見下ろた。
  それが「起きろ」という命令ででもあったかのように王女のまぶたがかすかに揺れる。
「惜しいな。少年を取り込んだら、もはや用はなくその場で引き裂くつもりだったが……気が変わった」
「どういたしますので?」
  王女の目がゆっくとひらく。その唇から小さな呻きが聞こえた。
「こうする」
  そう言って王子は王女の唇に唇をつけた。
  王女は、開いた目を何度かまたたいた。そしてはっとしたように身をよじり、王子の頬を叩いた。
「な、なにをするのです。無礼な」
「目が覚めましたかな」
「私はアダラーマ王国第一王女クシュルカ。そうと知っての不埒な行いですか」
「これはご無礼を」
 王子はにやりと笑った。口元は笑っていても、その瞳には一片の感情も現れていない。王女は顔をこわばらせた。
「あなたはいったい……。ここは……」
  自分がどこか見知らぬ一室にいることに気づいて、王女は周りを見回した。
「私はバルサゴ王国第一王子、サコース・デル・バルサゴス。あなたの見合いの相手だ」
「な……」
「ここは我がバルサゴの首都、ザラセンの王城。あなたは我が城の客となった」
「ザラセン……。では……では私の侍女や従者たち、騎士たちはどこに……ライファン、ライファンは……」
  椅子から立ち上がりかけた王女を、サコース王子の冷たい声が押し止めた。
「静かに。そなたの侍女たちは知らず。しかしあの少年……ライファン。かのものはもうすぐここへ来る」
「……」
  王女は口を閉じた。聡明にして勇気も持った王女は、少なからず現状を把握した。
 彼女にはこれが敵であるのか味方であるのかすぐに分かったし、またその相手に自分が取り乱して弱みを見せることは好まなかった。
 王女は慎重に部屋の中を見渡した。
 壁も床もすべてが黒ビロード張りの部屋は、とても天井が高く、明かり取り窓から差し込むかすかな光だけが照らす、豪奢だが冷たく暗い印象だった。それから王子の側にいるもう一人の男の顔を見て、王女は「あっ」というように一瞬眉をひそめたが、驚いた素振りは見せずに穏やかな声で尋ねた。
「そこにおられるのは、たしかに国境の町ノークトでお世話になった領主殿であられますな」
  王女に声を掛けられ、領主は困ったように横の王子に目をやった。王子がうなずくと、領主はそれを認めた。
「いかにも。王女殿下にはご気分はいかがでおられましょう?」
  白々としたその言葉に、怒ることもせず、王女は聞き返した。
「私の連れである騎士たち、従者たちはどこにあります。何故私はここにいるのです。これらはすべてそなたのしたことですか。だとしたら……」
「どうするおつもりです?」
  意地悪そうにあごひげをひっぱりながら、領主が言った。
「帰ります。このような無礼、勝手なる行いは我がアダラーマ王家への侮辱です。先の王子殿下の行為や今のあなたの言葉は、客人であるはずのこちらの尊厳を傷つけるもの。たとえ国同志の取り決めであろうと、これでは見合いもなにもありますまい。ただちに馬車のご用意を。騎士たち、従者たちともどもに帰参いたします」
  王女は今度こそ立ち上がって、毅然とした表情で目の前の王子に貴婦人の礼をすると、その場を去ろうとした。
「はははははは」
  王子が突然笑い声を上げた。
「ははははは」
「……」
  王女はそれをじっと睨むように見つめていた。
「いや失礼。じつに愉快。そなた……クシュルカ姫か。じつに勇敢であられる」
  王子は感服したように言った。冷たく、ぞっとするようなその笑顔に、思わず王女は眉をよせた。
「それに美しい。怒った顔もまた」
「私を……どうするつもりですか」
「ふむ。それに頭もよい」
  王子は椅子をすすめた。王女は逆らわなかった。いや、逆らえぬような恐ろしさを感じたのだ。
「馬車などはない。それにそなたの従者たちも、すでにいない」
「殺したのですか」
「ふむ。まあそういってもいいのだろうな。やったのは私ではなくこのダイモン……いやノークトの領主なのだが」
「なんてこと……」
  多少は予期していたとはいえ、王女は口に手を当てて嗚咽した。
「人間とは分からぬな。あれほど勇敢に見えたものが、この通り、家来が死んだだけで涙を流すとは。しかしクシュルカ姫……この程度で絶望するのはまだ早いですぞ」
  目を閉じた王子が、低い唸り声を上げ始めると、王女は驚いて顔を上げた。
  するとまるで魔法のように、いきなり空中に映像が浮かび上がった。
「これは……」
  その映像は、アダラーマ王国を映したものであることがすぐに王女にも分かった。
  それはすさまじい戦いの様子だった。
 アダラーマの騎士たちと戦っているのは、なんとも奇妙な骸骨の軍勢だった。すでに城壁にはいくつもの穴が開き、骸骨兵たちが城内になだれ込もうとしている。それを必死にくい止めようとする騎士たち、矢を放ち、火を居かける騎士たちの戦いが上空から映し出されていた。とても現実のものとは思えない。
「これは……なに」
  目を見開く王女に、領主が説明した。
「夢ではありませんさね。じっさい今行われている戦いですよ。うちの王子の空の目で映したものをここに投影しているんですな。おお……骸骨諸君ついに城門を突破したぞ」
  領主の言うとおり、映し出された映像では骸骨兵たちが城門へ殺到するところだった。
 画面のなかで彼らは、切られても矢を射られてもまったく臆することもなく、ついに門をくずして城壁内部へなだれ込もうとしていた。
「こんな……ことが」
  王女は信じられぬように、食い入るようにしてその映像を見つめた。音声は聞こえてこないが、その戦いの激しさは崩れた城壁や燃え上がる塔、負傷して血を流す騎士たちからも見て取れた。画面の中に見覚えのある貴族騎士や近衛騎士たちの顔を見つけると、思わず王女は声を上げた。
「なんということ。いったいどこの国がアダラーマに攻めて……、それに……あの骸骨の兵士はいったい……」
 愕然として両手をもみしぼる王女に向かって、領主は無慈悲に言い放った。
「もうお分かりでしょう。あれはうちの軍ですよ。といっても王子が作った骸骨たちの軍ですがね。もうすぐアダラーマは全滅するでしょうな。そう命令されていますから」
「そんな……あ、」
  そこでふっと映像が消えた。しばらくして、じっと動かなかった王子の目が開いた。
  ぐるるるとひとつ唸り声を上げると、王子はまたもとの様子で話しだした。
「失礼。空の目を使っている間はこっちの体は動かせないもので」
「……さて、どうですかな?今見てもらった通り、アダラーマは我がバルサゴの骸骨軍と戦っている。いずれ王宮も落ちるでしょう。ですから……」
  グググ、とぞっとするような響きの笑いが王子ののどで聞こえた。
「今さらお国に帰られるのは危険というもの」
「……」
「どうですかな。ここに残って私の妻となり、私と二人でこの世界を手に入れるというのは?」
「あなたは……何者ですか?」
  王女は目の前にいる得体の知れない怪物をじっと見た。
「私は、バルサゴ王国第一王子サコース・デル・バルサゴ……」
「いいえ。違います。姿形は人間ですが、あなたはそうではない」
「ほほう」
  王子は面白そうに腕を組んだ。
「なんとも気丈な女よ。私が人でないと知ってもそうして言葉をかけられるとは……」
  王子の言葉は途中からくぐもった低い響きに変わっていった。それはやがて部屋を揺るがすような大きな唸りとなった。響き渡るようなその唸りが笑い声だと知れるまでに、王女にはしばし時間がかかった。
「ぐっ。ぐぐぐっ」」
  目の前にいるのは、もはや「人」ではなかった。王子であった「もの」の目は燃えるような赤い光りを放ち、その体はがたがたと激しく震えだしていた。なにか体の中から揺り動かされてでもいるかのように。
  「ぐぐぐ……ぐぐぐぐ」という低い唸りがしだいに大きくなり、そして恐ろしい叫びとともに、ぼこっと王子の背中から黒いものが生えた。
  それは二つの黒い翼だった。
  王女は失神しそうになりながらも、変貌する王子の姿から目が離せないでいた。見入られたかのようにそこから動くことも、逃げ出すことももうできない。
 「ぐぐぐぐ」という唸りがやがて小さくなる。再び王子の目がぎょろりと動いた。
「……ふう。こうしておれば多少は楽になる。この王子の体の中に我を全て収めるのは窮屈なのでな」
  王子はその背中に生えた、身長の二倍はあろうかという黒い巨大な翼をばさばさと動かした。
「どうかな?この姿は。これでもまだ我の本来の体とは程遠いのだが」
  王女は身じろぎ一つしない。気丈にもその瞳を見開いて、翼の生えた人ならぬその姿を見つめている。
「ほう。たいした度胸であるな。さすがは一国の王女だけある」
  側にいた領主の方も、いつの間にか奇怪な姿に変貌をとげていた。それは形は人のものだったが、全身が真っ黒で額に小さな角の生えた、いかにも不気味な生物だった。背中には王子同様の黒い翼が生えている。
「こいつは我が配下のダイモン。すでに晩餐の席を共にしたそうであるから、紹介の必要はないかな」
  王子はクックッと笑った。見かけ上は、その顔はまだ秀麗なサコース王子のものだけに、口をゆがめて低いしわがれ声で笑う様子はいっそう恐ろしかった。
  王女は震えながら口に手を当て、二人を……いやふたつの怪物を交互に見やった。
「あなたたちが、このバルサゴの国を滅ぼしたのですか。その王子の体を使って……」
「さすがに察しがよろしいな。そうさ。こんな古びた辺境の国でも多少は役に立つ。人々を皆殺しにし、骸骨兵として使い、この王子殿下の体をいただいて、今はこうして貴女とのお見合いをしている」
  とても愉快そうに王子はまた笑った。
「いったいなんのために……」
「すべてはそう……太陽神のかけらを手に入れるため」
「太陽神……」
「ふむ。貴女の愛する少年……ライファンと申したな……あの者を我が体に取り込むためにな」
「ライファン……ライファンは無事なのですか」
  その名前は光り輝く護符のように、不思議に力を与えてくれる気がした。
「もちろん。きっと今にあなたを追ってここに来ますよ。我が結界の中へ」
「ライファン……ああ……」
  王女は両手を組み合わせた。唯一の希望が心に力を注いでくれる。
「本来なら、あなたは太陽神の小せがれをおびき寄せたところですぐに殺すつもりだったが……」
  王子の赤い目が面白そうにぎらぎらと光り、気丈に口を結んだ王女の顔をとらえた。
「それは惜しいな。そなたのその美しさ、気高さを我のものに」
「……」
「……いかがかな。この私に従属を誓えば、我と共に生きるための永遠の命を授けよう。我と二人、人間どもを支配しようではないか」
「……」
「どうした。答えろ。身も心も我のものになると誓え。そうすればお前は時をも支配するのだぞ。我の力を授けよう。その若さも美しさも永遠のまま、損なわれることなく……」
「いやです」
  蒼白になりながら、王女はきっぱりと言った。
「この国を滅ぼしただけでなく、そのようにサコース王子の体を乗っ取り、今度はアダラーマをも滅ぼそうとする。そんな、人を冒涜し、国をもてあそぶ悪魔になど従いません」
「ならばそなたの王国が滅びても良いというのか。我に従うと誓うならすぐにでも骸骨兵どもを引き上げさせても良いのだぞ。そなたのアダラーマ王国は救われる」
「……」
  王女は唇を噛みしめた。それからゆっくりと首を振った。その目には涙が流れていた。
「それでも……私が悪魔に下って生き長らえるよりは……。私の運命も王国の運命も、誰かの手で歪められるべきではない。お父様……お許しください」
「ならば」
  王子の赤い目が残酷に光った。
「今ここで死んでもかまわぬのだな」
「かまいません。私の誇りは私のもの。生きることも死ぬべきときもすべては定めのままに……」
  今にも気を失いそうな様子ではあったが、王女はあごを引いてまっすぐ王子を見た。
「そうか。ならば死ぬがいい」
  バサッと翼を広げ、王子は宣告した。今までまったく動かなかった甲冑の騎士二人が、ぎくしゃくと動きだす。甲冑の騎士は剣を振り抜くと王女に迫った。
「どうだ?いまなら間に合うぞ。我のものになると誓え」
  王女は無言で首を振り続けた。
  甲冑騎士の剣が、王女の頭上に振り下ろされる。
  王女は目を閉じた。
 その瞬間。
  ぴたりと騎士がその動きを止めた。剣先は王女の頭のすぐ上にあった。
  王子はバサッと翼をたたんだ。そして目をきつく閉じて動かない王女に近づき、
「なんと強情な女よ……」
  がくりと崩れるその体を片腕で受けとめる。
  王女は気を失っていた。
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