エロゲーみたいな島でのできごと

白石華

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主人公がモテまくるハーレム施設

明かされる俺の秘密とここに呼ばれた理由

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「それじゃあ、食べるだけ食べたし飲んだしで。
 そろそろ帰ろうか。」

 アンちゃんが切り上げる算段を俺たちに出してきたようだった。

「言われてみれば食器は全部紙だし洗い物は焚火台ぐらいか。」

 改めて確認したら、手伝おうかと思ったけど手入れが必要そうなのは朝の明るいときにした方が良さそうなキャンプギアだけで、後はまとめて捨てれば良さそうだった。

「焚火台と焚火シート、トングと炭はこっちで片づけますから。
 皆さんは部屋に戻っていいですよ。」
「きなこさんが、そう言うなら。」

 きなこさんの言葉に乗っかる事にして、俺たちはそれぞれ、部屋に帰っていったのだった。

・・・・・。

「帰ってきたわけだけど。後は布団で寝るくらいか。それか風呂。」

 自室に戻った俺だが。明後日からの研修に控えて待機するだけで。特に何をするわけでもないから、とりあえず風呂に入る事にした。

・・・・・。

「へー、風呂がユニットバスになってる。」

 風呂場は白いタイル張りのいわゆるユニットバスで。掃除も壁面を漂白剤で掃除すれば綺麗になりそうな感じの浴室になっていた。トイレと別になっていて、そこも好ポイントである。
 俺は湯船に浸かると、さっきまでのみんなと過ごした時間を思い出しながら、気持ちよく一日を終えられそうだなと、その時は思えるようになっていた……。

「そういえば研修先のパンフレットって貰ったっけ。確認しよう。」

 どうせ明日は特にブラブラ、ゴロゴロする以外、やる事とかもなさそうだし。風呂に入るとアイデアが思い浮かぶようになったのか、これから俺が通う研修先のパンフレットで何をするかも調べてみようと思い立ったのだった。

 ・・・・・。

「ええと、パンフレット、パンフレット……あった。」

 俺は部屋の本棚に入れていた、冊子をまとめておいたファイルを見つけると中を確認してみる事に。

「科学技術研究所の中で、主に生物化学か……。」

 この島で重要視されている精子バンクや卵子バンク含めた、人工授精や人工育児の規模を広げるための研究施設で。ついでに俺が精子バンクに登録した研究所でもある。
 俺たちはそこで研修をするのが役割らしい。何をするかはこれからで、研修でお金をもらいながら、合っているところを見つけていくわけだが。インターン制度の更にその前、ぐらいに思って貰えればいい。
 この話だけを聞くと、とても重要そうな印象を受けるが、操作方法の決まったフルオート作業のため、やり方を覚えれば、後は機械にお任せとなり。どちらかというと機械の操作方法を知っている監視員みたいな仕事になり。そういう仕事が俺にも回ってくるという訳だった。

「改めて見直したけど、現場で覚えるのが一番だし。
 確認したら今ここでする事がますますなくなったわ。」

 俺は改めて。もう何もすることは無いから寝る事にすると。

 コンコン……。

 俺の部屋をノックする音が聞こえてくる。

「ええと、どちら様ですか?」
「きなこです。」

 ドアを開けずに確認すると、きなこさんが俺に用があるようだった。

「どうされました?」
「はい。ええと、研究所から連絡が入りまして。
 マコトさんに、正式に依頼をお願いしたいと。」
「へえ?」
「詳しくは、応接室でもいいんですが、聞こえないようにしたいのですが。」
「はいはい。いいですよ。俺の部屋でいいなら。」

 俺は、きなこさんを自室に招くことにした。

「特に何も出せませんが。」
「いいえ。コチラも要件を話すだけで終わりにしたいですし。」

 きなこさんが、部屋にあった、ちゃぶ台に置いてある座椅子に座ると。俺も対面するように座る事にして。

「それで、依頼って何なんですか?
 俺はてっきり機械の監視とかそういうのだと思ったんですが。」
「研究所たっての、極秘の依頼とさせていただきたいと。」
「極秘。」

 きなこさんのこわばった表情に真剣みを感じた俺は声のトーンを落として確認した。

「はい……どこから話せばいいのか。」
「要件からスッパリでいいですよ。俺も気が気じゃなくて。」

 きなこさんの話しづらそうな言い方に、段々、ビビってきた俺は早めに要件を言って貰う事にした。

「あなたに、信じて貰えるかは分からないんですが。
 それでもこれが、研究所からの研究結果と依頼になります。
 あなたに……研究を依頼したいと。」
「はあ。研究って、何をですか?」
「あなたの……精液を研究させて貰いたいのです。
 頂いたのは数年前ですが、研究の結果。あなたには特性があり。
 それを調べさせてもらいたいと。」
「……。」

 俺の精液といきなり言われて面食らう俺。生物科学研究所と言っても精子と卵子のバンクと、人工授精から出産と育児までオートメーション化が研究されているのだから、当然、依頼もそれ関係になるのだが。

「俺の……その、特性って何なんです。」
「はい。まだ実験で、一度の搾精でしか結果が出ていないのですが。」

 本当に、返事しづらい話をきなこさんにさせないで欲しい。

「あなたの精液には、複数の卵子と受精した際。
 今まで何をしても崩せなかった、出生する男女比。
 一対九の遺伝子ロックを解除する特性があります。」
「ええ……。」

 凄い話を聞いているはずなのに全然、頭が追い付かないのと、依頼の方向性って段々、雲行きがおかしくなってきたのだが、それはいいのか?

「本当にあなたの精液に男女の出生比率を変更する能力があるのか。
 特定の卵子による掛け合わせに寄るのか。
 それを調べさせてもらいたいのと。
 既に調べるためのパートナーまで合意で依頼してあります。
 掛け合わせた卵子の結果が出ている人物です。」
「え、ちょっと待って。俺とは面識のない人ですよね?
 それで子供までもう作っちゃって。
 その人と実験をするって事ですか?」
「本来、バンクに預けた場合はそうなるでしょう。」
「そうなんですけど……。」

 そういうのって、俺のあずかり知らぬところでいつの間にかってイメージだったのと、俺はお断りの側だとばかり思っていたから。既に俺に子供までいて、更にその女性と実験をする事になって。後は俺の合意だけとなっていると説明されても、全くピンとこない。

「えっと、具体的には何をするんです?」
「実験に必要な精液の提供と。選ばれたパートナーの方と。
 ご結婚して、子供を産むのでもいいんですが。
 予備の精子と卵子を頂くのが条件です。」
「ひええ……。」
「もちろん、パートナーは複数いて。
 重婚という形になっても問題ありませんし。
 その中の誰か一人でも問題ありません。
 それも行えなかった場合は精液の提供のみとなります。
 ですがこれには問題があって。」
「やっぱりあるんじゃないですか。」
「いえ。男女比を変えるという事は。
 これまで築いてきた社会を変える事ですから。
 当然、それを望まない人だっています。
 だからこれは、パートナー同士の秘密で。
 誰にも知られないようにしてください。」
「まあ、そうでしょうねえ。」

 男女比一対九とずっと言われてきた社会だが。それを塗り替えてしまうかもしれない存在が生まれてきた(俺)だとすると、あんまりよくない考えに向かうのも想像に難くない。男性の出生率が増える事で恩恵にあずかろうと利益を求める人間が現れるのも難くない。
 だから秘密の実験で行われるのだろう。

「それで、俺はパートナーの人と何をするんです?」
「行う事は研修に参加して貰うのは変わらないんですが。
 パートナーの方と過ごして貰うだけで。後は自由となっています。」

 俺は今まで聞いた話を頭の中で要約すると。

「要は、結婚まで視野に含めた、精子と卵子を提供する。
 グループ交際の提案って事でしょうか?」
「そういうことになります。」

 きなこさんは、きっぱりと答えた。

「えっと、もしかして、その相手って。」
「はい。私も含めた、この宿舎に住んでいる人たちです。
 そんなに悪い印象じゃなかったと思うんですが。
 これからどうされるかは、ここで過ごして決められてください。」
「あ……はい。」

 今まで何も浮いた話もなく。定職も見つからず。お断りの側だと思われていた俺だったのだが。急に……色気のあるのかないのか分からない話に遭遇することになったのだった。

「それと、自慰をされる時は研究所でされてください。
 精液を冷凍保存する設備が必要です。」
「うわー……。」

 本当に。俺の研修先でのグループ交際で、この世の理が変わってしまうのだろうか。規模が大きいのか小さいのか。本当に。俺は一体、どうなってしまうのだろうか。とは言え、ハーレム生活がスタートとなったのであった。
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