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潮の町の神様
そのあとの俺
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「いらっしゃいませー。」
「あら、こんにちわ!」
それから一週間経って。ナツミちゃんたちとの特訓の日々で俺もやれる事が増えたのを自分でも確認して自信が付いたのと人に慣れたのか、元気にお客さんに挨拶をかわし、レジ打ちも混雑時の忙しいときじゃなければ打てるところまで来られるようになれた。
俺の場合はやる気を出すためにナツミちゃんが付いててくれたのと、カモメも励ましてくれたからだろうな。家族も職も失って傷心だった俺に、すぐ近くで、そうしていてくれた人がいたから、俺はまた、やる気にすぐ戻れたのだろう。その恵まれ方は運がよかったという言葉だけでは言い表せないが豪運なのは間違いない。
人当たりに関しては元々いい方じゃなかったのだが、ナツミちゃんやそのご両親や、お客さんたちといった周りに見守って貰えたお陰で、苦手意識は早々に払拭したのも大きい。随分と恵まれた環境で働かせて貰ったんだな。環境で人は変われるんだなと思ったのと、今の俺ならモチベもやる気も十分である。ずっとこういうところで働けていられたらなと思ってしまう。
(人間ってやっぱり、ある程度の問題を自力でこなす積み重ねと。)
(それを担保する環境に支えられているんだな。)
ナツミちゃんから貰ったおしぼりとお茶で休憩しながらしみじみと思う。ナツミちゃんはナツミちゃんで従業員相手でも相変わらずの手際の良さである。
「この調子で行けば、今回は夏祭りも渉に任せられるわね!」
「うん。間に合えてよかったよ。」
「あんたも間に合わせてくれたんだし、これでようやく休憩が取れるわ!」
何度も口にしているがそんなに大変なのか、休憩なしで祭の出し物に参加するの。と思ったけどレジとキッチンの混雑を見ていると、昼夕夜手前までするんだよな。
「混雑しすぎてて店の売り物が無くなったら終了だから。その時はお店もそれで終了ね。」
「そうなんだ。」
「キッチンも仕込みなんてしていないし。そんな体力残ってないでしょ。
それと次の日と明後日も休みね。」
「大変なのはお祭り当日でお休みは確保しているんだね。」
「だから、三日分は少なくても稼がないとね。今回は人を雇っているし、やって貰うわよ!」
「うん。」
こういう時のイベントはどのくらい人が来るのか、その時まだ、俺は何も知らない状態だった……まさかこの小さい町に周りや道の向こう側が見えなくなるほどの人の波、人の川が来るとは……。
――そして、この調子で時間が過ぎていき、お祭り当日となったのだった――
「あら、こんにちわ!」
それから一週間経って。ナツミちゃんたちとの特訓の日々で俺もやれる事が増えたのを自分でも確認して自信が付いたのと人に慣れたのか、元気にお客さんに挨拶をかわし、レジ打ちも混雑時の忙しいときじゃなければ打てるところまで来られるようになれた。
俺の場合はやる気を出すためにナツミちゃんが付いててくれたのと、カモメも励ましてくれたからだろうな。家族も職も失って傷心だった俺に、すぐ近くで、そうしていてくれた人がいたから、俺はまた、やる気にすぐ戻れたのだろう。その恵まれ方は運がよかったという言葉だけでは言い表せないが豪運なのは間違いない。
人当たりに関しては元々いい方じゃなかったのだが、ナツミちゃんやそのご両親や、お客さんたちといった周りに見守って貰えたお陰で、苦手意識は早々に払拭したのも大きい。随分と恵まれた環境で働かせて貰ったんだな。環境で人は変われるんだなと思ったのと、今の俺ならモチベもやる気も十分である。ずっとこういうところで働けていられたらなと思ってしまう。
(人間ってやっぱり、ある程度の問題を自力でこなす積み重ねと。)
(それを担保する環境に支えられているんだな。)
ナツミちゃんから貰ったおしぼりとお茶で休憩しながらしみじみと思う。ナツミちゃんはナツミちゃんで従業員相手でも相変わらずの手際の良さである。
「この調子で行けば、今回は夏祭りも渉に任せられるわね!」
「うん。間に合えてよかったよ。」
「あんたも間に合わせてくれたんだし、これでようやく休憩が取れるわ!」
何度も口にしているがそんなに大変なのか、休憩なしで祭の出し物に参加するの。と思ったけどレジとキッチンの混雑を見ていると、昼夕夜手前までするんだよな。
「混雑しすぎてて店の売り物が無くなったら終了だから。その時はお店もそれで終了ね。」
「そうなんだ。」
「キッチンも仕込みなんてしていないし。そんな体力残ってないでしょ。
それと次の日と明後日も休みね。」
「大変なのはお祭り当日でお休みは確保しているんだね。」
「だから、三日分は少なくても稼がないとね。今回は人を雇っているし、やって貰うわよ!」
「うん。」
こういう時のイベントはどのくらい人が来るのか、その時まだ、俺は何も知らない状態だった……まさかこの小さい町に周りや道の向こう側が見えなくなるほどの人の波、人の川が来るとは……。
――そして、この調子で時間が過ぎていき、お祭り当日となったのだった――
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