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潮の町の神様
決まらない告白の続きは
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「という訳で、渉とカモメの歓迎会をするわよ。」
「ありがとう、ナツミちゃん。」
「お茶も全部、用意してありますね。」
夜はナツミちゃんがご飯を包んで持って来てくれたが。何故か鍋もあった。
「鍋は……ちっちゃいんだけどあんこう鍋! ここに来たらアンコウを食べていきなさいよ。
あと、カキフライもあるわよ。」
「えっ。マジ?
ナツミちゃんとこのカキフライって自分ところで衣付けて、揚げてるやつだよね。」
「ええ。それ。数少ないけど、揚げたてだから食べてって。生は流石に止めといたから。」
「そうだね。」
畳の茶の間でゴザを敷いたところに、冬はこたつになる脚の低いテーブルに座椅子でみんな座っている。メインの他にサラダと、揚げ物数品もあるな。飲み物は……お店のか。
「あとは……地酒!」
ドーンと一升瓶が置かれるが。ラベルに達筆な筆文字で書かれている。文字は……読めない。
「あんたたち酒、飲めたっけ?」
「呑めるけど……日本酒だからグビグビはやめようね。」
「私は大丈夫ですよ。」
カモメが意外な返事……と思ったけど、そういえば、カモメのいる神社の神様って。酒にも関わっていたっけ。
「ふーん、結構いけるのね。それなら飲んで飲んで。」
「か、カモメ。無理はしないで。」
「大丈夫です。お酒は力が宿りますから。」
「そうよねー。明日は海行った帰りにバーベキューだから、呑みすぎない程度にね。」
「はい。」
カモメがまず、ナツミちゃんのお酌で、お猪口をくいっと呑んでしまう。
「ふう。」
艶っぽいため息が出たが、全く酔った様子はない。
(これなら大丈夫……かな?)
「私も呑もうかな。美味しそうに呑まれちゃうとね。」
ナツミちゃんも呑んでしまっている。俺も付き合いだけで呑んでおくか。
「ナツミちゃん。カキフライ食べてもいい?」
「いいわよ。酒飲むならアンコウもいいわよ。」
「うん。アンコウから行くか。」
肝は刻んで味噌と混ぜてあるから粒しか見えないが。小振りなアンコウの身と軟骨の付いた部分を頂く。
「うわー、さすが潮砂町だね。美味しい美味しい。夏でもアンコウって食べられたんだ。」
「取れない事はないのよ。大きいのも取れるし。でも冬じゃないと脂がのってくれないから。」
「冬に間に合わなかった人向けのなんだね。」
「それと、カモメもね。」
ボリボリ食べられる軟骨と、プリッとした皮。それに淡泊で柔らかいアンコウの身が濃厚な肝味噌ベースの汁と合う。たっぷり入ったネギも夏場だから少し繊維質が硬いが、シャキシャキ食べられて美味しい。
「最後は雑炊にするから汁、飲みすぎないでね。」
「うん。やっぱり潮砂町に来たらアンコウ鍋は食べないとね。」
「私も頂きます……美味しい!」
「でしょう? やっぱり潮砂町に来たら、食べるのはアンコウ。夏は岩ガキね!」
「生でもチュルっと頂きたいな、カキは。」
「食べればいいと思うけど、お店で、新鮮なのじゃないと危ないでしょ?
だから持ってこなかったの。」
「それもそうだね。」
カキは当たると悲惨なことになるという。取れたらすぐのを食べたいところだ。そんなわけでアンコウの次は岩ガキのフライも。
「うわあ……これは衣がさっくりで中がまろやか。揚げてもジューシー。」
「でしょ、でしょ? 岩ガキだからちょっと筋肉質なのがね。
プリッとして、中がトロっとしていてまたいいのよ。」
潮砂町のうまいものを食べて感激している俺と嬉しそうなナツミちゃん。ナツミちゃんも普段はクールで厳しいが。俺たちのことを歓迎してくれているのか、潮砂町について語らせたら、やっぱり語っちゃう子なのかもしれない。
(ナツミちゃんも……可愛いし、いい子だよな。)
久しぶりに会った隣の家の女の子は、大きくなってから再会すると、ドキドキする関係になってしまっていた。この子といい仲になれるなら、ここで暮らしてもいいかなと、現金にも思ってしまうくらいには。
「酒も……きりっとしていて美味しい。」
「ほら。ジャンジャン飲んでよ!」
「ナツミちゃん。ありがとう。」
「えっ? う、うん……。」
ナツミちゃんがなぜか戸惑ったようになる。
「あんた、ちゃんと人に礼、言えるんじゃない!」
「うわっと。」
お昼のおかみさんみたいに背中をポンと叩かれてしまった。
「元気出てきたのはいいことだから。これからはその調子!」
「あっ、ああ……うん。」
ナツミちゃんは俺のことの世話まで焼いてくれている。バイト中ではちょいちょいしか話さなかったけど。俺のこと、見てくれていたんだな。やっぱり俺。今のままだと頼りないし、愛想も悪いんだろうな……。どうやったら今より良くなれるんだろう。
「渉さん。お酌しますね。」
「え? ああ、ありがとう。」
俺がナツミちゃんの言葉に思案しているように見えたのか、カモメが俺に徳利を差し出してきた。
「渉さんは……人と馴染むのを、されていかれるようにするといいですよ。」
「あ、ああ! そうだね。ありがとう。」
「はい。お仕事とかもそうですが、人付き合いで馴染まれると、いらした方にも対応が。」
「うん……そうだよね。俺、お客さんにも応対しないとだし。」
拾って貰ったからには、俺にはみんなから言われているように愛想とか人付き合いとか、本当に良くならないと、ここで働けないんじゃないかと段々、思うようになってきた。
「私も食べよう。お店のだから知ってる味だけど。
美味しそうに食べてるところを見て、みんなで食べるのって気分いいわ。」
ナツミちゃんも自分の所の料理を食べ進めていた。
・・・・・・。
「うう……呑んじゃったな。」
「私も。結構呑んだ。」
そのまま。グデングデンになるまで結局呑んでしまい。俺は俺で付き合いだから注がれたら断れなくなってしまい。
「はあ……調子に乗ったわね。」
ナツミちゃんも場を持たせようと呑んでくれていたみたいで、フラフラしている。
「お疲れ様でした。お水持ってきますね。」
「ありがとー。」
「うう……。」
カモメがお酒を呑んでも全く酔わなかったから、ナツミちゃんも呑んでしまったのもあるか。カモメに飲ませるついでに、自分も呑んでいたみたいだからな。俺もそれで注がれたんだけど。カモメは……神様の遣いだからお酒を呑んでも変わらないのかもしれない。
「ねえ、渉。」
カモメが姿を消した後、ナツミちゃんに声を掛けられた。
「何?」
「カモメってさ。どういう関係なの?」
「へ?」
「だから……親戚って聞いても。今までそんな話、全然聞いたことなかったし。
昔遊んだのだって、一回だけでしょ? どうして今まで教えてくれなかったの?」
「いや、俺も葬式のときに会って、初めて知ったから。俺も知らなかったんだよ。」
「……。」
恐らくナツミちゃんに聞かれるだろうことはカモメと事前に打ち合わせはしている。これは答えられるようになっていた。
「だけどさ。仲……良さそうよね。」
「へ?」
「あーもー。私、酔って変なこと聞いちゃってる! 忘れて、忘れて!」
「い、いや。カモメとは、本当に親戚だから。そういうのは何でもないよ。」
「う、うう~、もっと渉と親しくなったら、そのときに聞くか、忘れるつもりだったのに。」
「えっ?」
ナツミちゃんのさっきからの発言が。俺の思春期にありがちな思い込みじゃなければ。俺も酒を呑んでいるし。勢いを借りるところじゃないだろうか。
「ね、ねえ。ナツミちゃん。」
「なによーもう。」
「お、俺。ナツミちゃんのこと、好きだよ。」
「えっ?」
「だ、だからもし、ナツミちゃんが俺のこと、気に掛けてくれるなら。
俺、もっと元気になれると思うんだ。」
「ちょ、ちょっと待って。じゃあカモメって。私の思い込みじゃない!」
「うん……そうだね。」
ナツミちゃんも外れてはいないんだけど思春期にありがちなことをしてしまっていたようだ。
「あああああ~~~~~。」
ナツミちゃんが頭を抱えてしまっていた。
「そ、その話はもういいよ。お、俺……。」
「え? ええ?」
俺が慌てふためくナツミちゃんの肩を抱こうとする。
「ちょ、ちょっと待って。私まだ、全然準備してない。こうなるって思ってなくて。」
何の準備だろう。カモメの言う通り、ナツミちゃんとこうなれたなら。こうなっていいんなら。俺は勢いに乗るところだろう。
「な、ナツミちゃん……。」
「あ。あうう……。」
俺とナツミちゃんはゆっくりと顔を近づけて。
「……ちゅ。」
キスをしてしまった。柔らかくてしっとりしていて。唇を合わせるだけでも、くすぐったくてぞわぞわする。
「あ……っ。しちゃった。渉と……。」
お互いの告白が早すぎたのか。まだナツミちゃんは戸惑っているようだが。
「お水持ってきました。……あら。」
さらに勢いに乗ろうと思ったらカモメが戻ってきた。
「え、ええとこれは。」
「な、何でもないの! 何でも!」
現場を見られてしまい、中断して慌てて離れる俺たち。カモメがいることをすっかり酔って忘れてしまっていたし。戻ってきたなら、もう終わりだろう。明日は海にバーベキューだからチャンスがなくなったわけじゃない。水着姿のナツミちゃんを見られるかもしれないし。
「いえ、いいんです。続きを……されてください。」
「え? あれ? そうだね。カモメがいたって別にいいよね。」
「そ、そうよ……何ならカモメがいても別にいいのよ……。」
酒が入って酔いが回っていたからか。もしくはカモメが俺たちに何かをしたのか。どんどん頭が酔ったようにフラフラして判別も付かなくなり。そのまま続きに入ってしまっていた。
「ありがとう、ナツミちゃん。」
「お茶も全部、用意してありますね。」
夜はナツミちゃんがご飯を包んで持って来てくれたが。何故か鍋もあった。
「鍋は……ちっちゃいんだけどあんこう鍋! ここに来たらアンコウを食べていきなさいよ。
あと、カキフライもあるわよ。」
「えっ。マジ?
ナツミちゃんとこのカキフライって自分ところで衣付けて、揚げてるやつだよね。」
「ええ。それ。数少ないけど、揚げたてだから食べてって。生は流石に止めといたから。」
「そうだね。」
畳の茶の間でゴザを敷いたところに、冬はこたつになる脚の低いテーブルに座椅子でみんな座っている。メインの他にサラダと、揚げ物数品もあるな。飲み物は……お店のか。
「あとは……地酒!」
ドーンと一升瓶が置かれるが。ラベルに達筆な筆文字で書かれている。文字は……読めない。
「あんたたち酒、飲めたっけ?」
「呑めるけど……日本酒だからグビグビはやめようね。」
「私は大丈夫ですよ。」
カモメが意外な返事……と思ったけど、そういえば、カモメのいる神社の神様って。酒にも関わっていたっけ。
「ふーん、結構いけるのね。それなら飲んで飲んで。」
「か、カモメ。無理はしないで。」
「大丈夫です。お酒は力が宿りますから。」
「そうよねー。明日は海行った帰りにバーベキューだから、呑みすぎない程度にね。」
「はい。」
カモメがまず、ナツミちゃんのお酌で、お猪口をくいっと呑んでしまう。
「ふう。」
艶っぽいため息が出たが、全く酔った様子はない。
(これなら大丈夫……かな?)
「私も呑もうかな。美味しそうに呑まれちゃうとね。」
ナツミちゃんも呑んでしまっている。俺も付き合いだけで呑んでおくか。
「ナツミちゃん。カキフライ食べてもいい?」
「いいわよ。酒飲むならアンコウもいいわよ。」
「うん。アンコウから行くか。」
肝は刻んで味噌と混ぜてあるから粒しか見えないが。小振りなアンコウの身と軟骨の付いた部分を頂く。
「うわー、さすが潮砂町だね。美味しい美味しい。夏でもアンコウって食べられたんだ。」
「取れない事はないのよ。大きいのも取れるし。でも冬じゃないと脂がのってくれないから。」
「冬に間に合わなかった人向けのなんだね。」
「それと、カモメもね。」
ボリボリ食べられる軟骨と、プリッとした皮。それに淡泊で柔らかいアンコウの身が濃厚な肝味噌ベースの汁と合う。たっぷり入ったネギも夏場だから少し繊維質が硬いが、シャキシャキ食べられて美味しい。
「最後は雑炊にするから汁、飲みすぎないでね。」
「うん。やっぱり潮砂町に来たらアンコウ鍋は食べないとね。」
「私も頂きます……美味しい!」
「でしょう? やっぱり潮砂町に来たら、食べるのはアンコウ。夏は岩ガキね!」
「生でもチュルっと頂きたいな、カキは。」
「食べればいいと思うけど、お店で、新鮮なのじゃないと危ないでしょ?
だから持ってこなかったの。」
「それもそうだね。」
カキは当たると悲惨なことになるという。取れたらすぐのを食べたいところだ。そんなわけでアンコウの次は岩ガキのフライも。
「うわあ……これは衣がさっくりで中がまろやか。揚げてもジューシー。」
「でしょ、でしょ? 岩ガキだからちょっと筋肉質なのがね。
プリッとして、中がトロっとしていてまたいいのよ。」
潮砂町のうまいものを食べて感激している俺と嬉しそうなナツミちゃん。ナツミちゃんも普段はクールで厳しいが。俺たちのことを歓迎してくれているのか、潮砂町について語らせたら、やっぱり語っちゃう子なのかもしれない。
(ナツミちゃんも……可愛いし、いい子だよな。)
久しぶりに会った隣の家の女の子は、大きくなってから再会すると、ドキドキする関係になってしまっていた。この子といい仲になれるなら、ここで暮らしてもいいかなと、現金にも思ってしまうくらいには。
「酒も……きりっとしていて美味しい。」
「ほら。ジャンジャン飲んでよ!」
「ナツミちゃん。ありがとう。」
「えっ? う、うん……。」
ナツミちゃんがなぜか戸惑ったようになる。
「あんた、ちゃんと人に礼、言えるんじゃない!」
「うわっと。」
お昼のおかみさんみたいに背中をポンと叩かれてしまった。
「元気出てきたのはいいことだから。これからはその調子!」
「あっ、ああ……うん。」
ナツミちゃんは俺のことの世話まで焼いてくれている。バイト中ではちょいちょいしか話さなかったけど。俺のこと、見てくれていたんだな。やっぱり俺。今のままだと頼りないし、愛想も悪いんだろうな……。どうやったら今より良くなれるんだろう。
「渉さん。お酌しますね。」
「え? ああ、ありがとう。」
俺がナツミちゃんの言葉に思案しているように見えたのか、カモメが俺に徳利を差し出してきた。
「渉さんは……人と馴染むのを、されていかれるようにするといいですよ。」
「あ、ああ! そうだね。ありがとう。」
「はい。お仕事とかもそうですが、人付き合いで馴染まれると、いらした方にも対応が。」
「うん……そうだよね。俺、お客さんにも応対しないとだし。」
拾って貰ったからには、俺にはみんなから言われているように愛想とか人付き合いとか、本当に良くならないと、ここで働けないんじゃないかと段々、思うようになってきた。
「私も食べよう。お店のだから知ってる味だけど。
美味しそうに食べてるところを見て、みんなで食べるのって気分いいわ。」
ナツミちゃんも自分の所の料理を食べ進めていた。
・・・・・・。
「うう……呑んじゃったな。」
「私も。結構呑んだ。」
そのまま。グデングデンになるまで結局呑んでしまい。俺は俺で付き合いだから注がれたら断れなくなってしまい。
「はあ……調子に乗ったわね。」
ナツミちゃんも場を持たせようと呑んでくれていたみたいで、フラフラしている。
「お疲れ様でした。お水持ってきますね。」
「ありがとー。」
「うう……。」
カモメがお酒を呑んでも全く酔わなかったから、ナツミちゃんも呑んでしまったのもあるか。カモメに飲ませるついでに、自分も呑んでいたみたいだからな。俺もそれで注がれたんだけど。カモメは……神様の遣いだからお酒を呑んでも変わらないのかもしれない。
「ねえ、渉。」
カモメが姿を消した後、ナツミちゃんに声を掛けられた。
「何?」
「カモメってさ。どういう関係なの?」
「へ?」
「だから……親戚って聞いても。今までそんな話、全然聞いたことなかったし。
昔遊んだのだって、一回だけでしょ? どうして今まで教えてくれなかったの?」
「いや、俺も葬式のときに会って、初めて知ったから。俺も知らなかったんだよ。」
「……。」
恐らくナツミちゃんに聞かれるだろうことはカモメと事前に打ち合わせはしている。これは答えられるようになっていた。
「だけどさ。仲……良さそうよね。」
「へ?」
「あーもー。私、酔って変なこと聞いちゃってる! 忘れて、忘れて!」
「い、いや。カモメとは、本当に親戚だから。そういうのは何でもないよ。」
「う、うう~、もっと渉と親しくなったら、そのときに聞くか、忘れるつもりだったのに。」
「えっ?」
ナツミちゃんのさっきからの発言が。俺の思春期にありがちな思い込みじゃなければ。俺も酒を呑んでいるし。勢いを借りるところじゃないだろうか。
「ね、ねえ。ナツミちゃん。」
「なによーもう。」
「お、俺。ナツミちゃんのこと、好きだよ。」
「えっ?」
「だ、だからもし、ナツミちゃんが俺のこと、気に掛けてくれるなら。
俺、もっと元気になれると思うんだ。」
「ちょ、ちょっと待って。じゃあカモメって。私の思い込みじゃない!」
「うん……そうだね。」
ナツミちゃんも外れてはいないんだけど思春期にありがちなことをしてしまっていたようだ。
「あああああ~~~~~。」
ナツミちゃんが頭を抱えてしまっていた。
「そ、その話はもういいよ。お、俺……。」
「え? ええ?」
俺が慌てふためくナツミちゃんの肩を抱こうとする。
「ちょ、ちょっと待って。私まだ、全然準備してない。こうなるって思ってなくて。」
何の準備だろう。カモメの言う通り、ナツミちゃんとこうなれたなら。こうなっていいんなら。俺は勢いに乗るところだろう。
「な、ナツミちゃん……。」
「あ。あうう……。」
俺とナツミちゃんはゆっくりと顔を近づけて。
「……ちゅ。」
キスをしてしまった。柔らかくてしっとりしていて。唇を合わせるだけでも、くすぐったくてぞわぞわする。
「あ……っ。しちゃった。渉と……。」
お互いの告白が早すぎたのか。まだナツミちゃんは戸惑っているようだが。
「お水持ってきました。……あら。」
さらに勢いに乗ろうと思ったらカモメが戻ってきた。
「え、ええとこれは。」
「な、何でもないの! 何でも!」
現場を見られてしまい、中断して慌てて離れる俺たち。カモメがいることをすっかり酔って忘れてしまっていたし。戻ってきたなら、もう終わりだろう。明日は海にバーベキューだからチャンスがなくなったわけじゃない。水着姿のナツミちゃんを見られるかもしれないし。
「いえ、いいんです。続きを……されてください。」
「え? あれ? そうだね。カモメがいたって別にいいよね。」
「そ、そうよ……何ならカモメがいても別にいいのよ……。」
酒が入って酔いが回っていたからか。もしくはカモメが俺たちに何かをしたのか。どんどん頭が酔ったようにフラフラして判別も付かなくなり。そのまま続きに入ってしまっていた。
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