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潮の町の神様
カモメとナツミ、渉のそれぞれ
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「という訳で、今日はカモメの親睦会、午前の部を開始するわよ!」
「ありがとうございます。」
「俺もついでに混ぜてくれ。」
今日は俺とカモメの、商店街案内とご近所さんへの挨拶になった。
「懐かしいなー。俺もナツミちゃんと遊んでいた時、こうして仕切っていたよね。」
「はい。私も案内していただいた時、こうしていましたね。」
「私も久しぶりだわ。潮砂町の商店街と、その案内でいいわね。
ご近所さんには挨拶して、周りのお店は私が話しとけばいいでしょ。」
「お願いします。」
「俺も……午後からはナツミちゃんの店を手伝うよ。」
「午後というか、正確にはランチタイムね。」
「うん。」
商店街の飲食店は昼間から夜までの営業で大体の店が閉まってしまう。居酒屋だったら店が閉まる辺りの時間帯で開くところもあるが、数は本当に少ない。あとはファミレスぐらいだ。来る人も地元の人も、そのくらいで済ませてしまうのだろう。それまでの間で、早い時間帯にあいさつ回りをすることにした。
「まずは……串カツ屋さん!」
「あ、ここ、食べたことあります! 懐かしいな……。」
「いらっしゃい。どうしたのナツミちゃん。」
「新しく引っ越してきた子で、暫くうちの隣の渉の家に住むことになったんです。その挨拶に。」
「へー。そうなのね。ヨロシクね!」
「あと、ここで串カツも食べたことあるから、また食べさせてあげようって。」
「いいわよ。買ってって!」
ということで串カツを食べることになり。
「んーやっぱりここの串カツはうまいな。」
「そうね。衣もサクサク。」
「ソース美味しい……。」
カモメが懐かしそうにソースの掛かった串カツを食べている。俺たちは昼飯も兼ねた、商店街のお惣菜屋のうまいもの巡りをしていった。
「ここは注文して揚げたてのフライが食べられるの。コロッケ三つ、お願いします!」
「はーい。」
・・・・・・。
「焼き鳥モモで三本、タレでお願いします!
あとレバーとササミ、ササミは開いて家に包んでください。」
「はいっ。」
・・・・・・。
「ここではおからと、豆腐と……。豆腐白玉ダンゴに。」
「はいよー。」
「揚げ物やさんを他にも回って……。」
ナツミちゃんはどんどん、商店街で買い食いを教えてくれた。
・・・・・・。
「ふー、食った食った。魚市場でもちょっとした食べ物、食えるんだな。」
「でしょ? 観光もいいけど、商店街で食べ歩きも結構食べられるのよ。」
「ここも懐かしいな……。」
カモメとナツミちゃんが意気投合して遊んでいた公園で、近所のコンビニでドリンクを買って、一休みしながら、外の景色を眺めていた。
「はー……っ。これだけ食って遊べば、午後からは働かないとな。」
「それなんだけど。カモメもこっちに来る?」
「そんなに人、雇えるのか?」
「うん。日当でよければ。仕込みの手伝いぐらいならやれるでしょ?
昨日の料理の感じだと、うちでもやれそうだなって。うちの両親だけだと身体の負担もあるし。
そろそろ新しい人に来て貰いたいって思っていたの。」
「カモメ、いいの?」
「長居はできないと思いますが。」
「それでもいいよ。私も手伝うし、その間に他の人とか探せばいいし。
そうすればその人の負担だって最初の間は軽いでしょ? 期間ってどのくらい?」
「まだ何も言える段階じゃないですね。」
俺の縁結びの相手が見つかるまでとは、本人の前ではさすがに言えまい。
(ん? でもそうなると、カモメが帰る時って俺とナツミちゃんがそうなる時だよな。)
(もしくは他に、そういう人……。そう簡単に見つかるわけないけど。)
(その間、カモメが俺の手伝いをしてくれて、ナツミちゃんの所でも世話になって。)
(他の人だって来て。)
(俺とナツミちゃんがくっつかなかったら、カモメってどうなるんだ?)
カモメの言い方だとそんなに時間はかからないと言っている。でもそれが外れた時の事を想定していなかった。
(そのときは。俺とカモメってウチに暮らし続けるのか?)
俺はいきなりカモメのことを意識してしまった。た、確かに大きくなったら結構綺麗になったし、料理もうまいし、家事もしてくれるってそれって。誰とくっついてもくっつかなくても俺っていいのではないか?
「いきなり発想が飛躍しすぎたな。」
俺はぶんぶんと頭を振った。
「あんた、何してんの?」
「いや、熱くて頭がやられたかなって。」
「気を付けなさいよ。夏の海の熱さは尋常じゃないんだから。」
「うん。戻ろうか。」
「飲み物、飲んでからにしなさい。暑いんでしょ?」
こうして、ナツミちゃんとカモメがどんどん仲良くなっていった。
「ありがとうございます。」
「俺もついでに混ぜてくれ。」
今日は俺とカモメの、商店街案内とご近所さんへの挨拶になった。
「懐かしいなー。俺もナツミちゃんと遊んでいた時、こうして仕切っていたよね。」
「はい。私も案内していただいた時、こうしていましたね。」
「私も久しぶりだわ。潮砂町の商店街と、その案内でいいわね。
ご近所さんには挨拶して、周りのお店は私が話しとけばいいでしょ。」
「お願いします。」
「俺も……午後からはナツミちゃんの店を手伝うよ。」
「午後というか、正確にはランチタイムね。」
「うん。」
商店街の飲食店は昼間から夜までの営業で大体の店が閉まってしまう。居酒屋だったら店が閉まる辺りの時間帯で開くところもあるが、数は本当に少ない。あとはファミレスぐらいだ。来る人も地元の人も、そのくらいで済ませてしまうのだろう。それまでの間で、早い時間帯にあいさつ回りをすることにした。
「まずは……串カツ屋さん!」
「あ、ここ、食べたことあります! 懐かしいな……。」
「いらっしゃい。どうしたのナツミちゃん。」
「新しく引っ越してきた子で、暫くうちの隣の渉の家に住むことになったんです。その挨拶に。」
「へー。そうなのね。ヨロシクね!」
「あと、ここで串カツも食べたことあるから、また食べさせてあげようって。」
「いいわよ。買ってって!」
ということで串カツを食べることになり。
「んーやっぱりここの串カツはうまいな。」
「そうね。衣もサクサク。」
「ソース美味しい……。」
カモメが懐かしそうにソースの掛かった串カツを食べている。俺たちは昼飯も兼ねた、商店街のお惣菜屋のうまいもの巡りをしていった。
「ここは注文して揚げたてのフライが食べられるの。コロッケ三つ、お願いします!」
「はーい。」
・・・・・・。
「焼き鳥モモで三本、タレでお願いします!
あとレバーとササミ、ササミは開いて家に包んでください。」
「はいっ。」
・・・・・・。
「ここではおからと、豆腐と……。豆腐白玉ダンゴに。」
「はいよー。」
「揚げ物やさんを他にも回って……。」
ナツミちゃんはどんどん、商店街で買い食いを教えてくれた。
・・・・・・。
「ふー、食った食った。魚市場でもちょっとした食べ物、食えるんだな。」
「でしょ? 観光もいいけど、商店街で食べ歩きも結構食べられるのよ。」
「ここも懐かしいな……。」
カモメとナツミちゃんが意気投合して遊んでいた公園で、近所のコンビニでドリンクを買って、一休みしながら、外の景色を眺めていた。
「はー……っ。これだけ食って遊べば、午後からは働かないとな。」
「それなんだけど。カモメもこっちに来る?」
「そんなに人、雇えるのか?」
「うん。日当でよければ。仕込みの手伝いぐらいならやれるでしょ?
昨日の料理の感じだと、うちでもやれそうだなって。うちの両親だけだと身体の負担もあるし。
そろそろ新しい人に来て貰いたいって思っていたの。」
「カモメ、いいの?」
「長居はできないと思いますが。」
「それでもいいよ。私も手伝うし、その間に他の人とか探せばいいし。
そうすればその人の負担だって最初の間は軽いでしょ? 期間ってどのくらい?」
「まだ何も言える段階じゃないですね。」
俺の縁結びの相手が見つかるまでとは、本人の前ではさすがに言えまい。
(ん? でもそうなると、カモメが帰る時って俺とナツミちゃんがそうなる時だよな。)
(もしくは他に、そういう人……。そう簡単に見つかるわけないけど。)
(その間、カモメが俺の手伝いをしてくれて、ナツミちゃんの所でも世話になって。)
(他の人だって来て。)
(俺とナツミちゃんがくっつかなかったら、カモメってどうなるんだ?)
カモメの言い方だとそんなに時間はかからないと言っている。でもそれが外れた時の事を想定していなかった。
(そのときは。俺とカモメってウチに暮らし続けるのか?)
俺はいきなりカモメのことを意識してしまった。た、確かに大きくなったら結構綺麗になったし、料理もうまいし、家事もしてくれるってそれって。誰とくっついてもくっつかなくても俺っていいのではないか?
「いきなり発想が飛躍しすぎたな。」
俺はぶんぶんと頭を振った。
「あんた、何してんの?」
「いや、熱くて頭がやられたかなって。」
「気を付けなさいよ。夏の海の熱さは尋常じゃないんだから。」
「うん。戻ろうか。」
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