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潮の町の神様
降って湧いた、同居人と
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「あんた、親戚なんていたの?」
家に帰るなり玄関前にいた、隣の家の子に睨み付けられるように確認する。そこまで厳しい性格じゃなかったはずなんだが、俺も俺で、目の前でカモメになられても、うまい話だから、まだ騙されていないか不安でもある。
「ああ、親戚の子なんだけど、急にこっちに住むことになっちゃって。
それで家も空いてるし俺の所にって。」
「ふーん(冷たい目)。」
「今まで親元を離れた事がなくて、ちょっとそそっかしいのと。
こっちのことはよく知らないから何かあったら教えてあげて。」
「まあ、大人になっても、そういう子もいるかもね。」
「宜しくお願いします。カモメと申します。」
カモメは隣の家の子……ナツミちゃんに丁寧でゆっくりしたお辞儀をする。
「ふうん。」
ナツミちゃんは定食屋で働いているからか、相手の動作を確認しているようだ。これと俺の話で、大体どんな感じの子か、値踏みしているのだろう。
「それであんた、この子と二人っきりで住むの?」
「だから親戚の子だって言ってるだろ。」
これで外国人労働者とか言わなくてよかった。血縁関係は男女の同居も不審な目で見られなくて済む。俺は親戚とかとはみんな親父とお袋の代でほとんど繋がりは無くなっているし確認しに来る親戚はいないだろう。とりあえず誰も身内がいない俺から、誰もいない間、同じく他に誰もいない親戚の子と住むぐらいに変わっても、別にそういうことだってあるモンだと思うだろう。
「……。似てないのね。」
ナツミちゃんがまだ俺を不審な目で見ている。
「親戚で女の子なんだから似てなくたって別にいいだろ!?」
「それもそうね。」
ナツミちゃんがようやく解放してくれた。
「あ、それなら。」
カモメがポンと手を合わせる。
「今日は皆さんでこちらに来られてはいかがですか?」
「あっ、うーん……私、家の手伝いがあるからそれは……。」
「ええ。でも疑問があるなら実際に確認された方が。」
「……夜、抜けられないか聞いてみるけど。」
「はい。ぜひお越しください。」
「……ん。そうね。」
いきなりナツミちゃんが不審な目を向けていたが面食らったようになっていた。
(まあ、俺も、両親が亡くなった途端に現れる、それまで面識なかった親戚が現れたら。)
(そりゃあ何かを疑うよな。隣の家の人だし。)
(いい人オーラ通して、流して無理やり信じさせるのも不自然だし。)
(ナツミちゃんにはそのまんまでいて貰うか。俺も半分信じてない。)
俺も俺で、それで何の問題もないから、とりあえず今の関係のまま続行することにした。
・・・・・・。
「ええと、それで結局何をすればいいの?」
「はい。」
家に帰ると、茶の間で冷蔵庫で作っておいた、冷たいお茶を頂きながらカモメの言うことを確認することにした。
「それで、ふなばしあゆむ、さんでしたっけ?」
「うん。」
「あなたには既にご縁を結べる方がいらっしゃいますね。」
「え!? 本当に!?」
「はい。隣の家にいらっしゃった、ナツミ……さんでしたっけ。」
ナツミちゃんってカモメに言ったことあったっけ。言ったような気もするからそこは深く言わないことにする。
「うん。」
「その方と、渉さんの行動次第で結ばれるかもしれません。」
「えっと……ナツミちゃんってさっき会ったばかりだと俺、カモメと住むようになって。
めちゃくちゃ印象、悪くなっていると思うんだけど。」
「そんなことはありませんよ。ナツミさんはまだ自覚していないだけです。
それと、疑っているのは渉さんを心配されているだけです。」
「そんなことまで縁結びで読めるの?」
「はい。縁結びの神の遣いですから。結ばせ方は強引じゃなくて、自然にしか行えないですが。」
「それでいいよ。」
話を聞いていると、どんどん信用してしまいそうになる。
「はい。私がつかえている、元々の神様はもっと強力な縁結びを行えるんですが。
私はご縁がありそうな方をお伝えして、背中を押すぐらいで。」
「それで十分だと思うよ。」
「はい。どうやら子供の頃から遊んでいたようで。」
「うん。」
「そのときからお好きだったみたいですよ。」
「え!!!???」
全くそんな気配は見えなかったから仰天する俺。
「どうやらご両親が亡くなったときも、こちらで働き口が見つかるまで。
隣で働かせてやれないかとご両親に言われたのもナツミさんみたいで。」
「へ、へー、へー。」
俺は段々、まんざらでもなくなってくる。こういう自分について気になることの占いとか聞くのって面白いんだな。
「はい。だからせっかくだから、今日ナツミさんがお越しいただいた時は。」
「うん。」
「ぜひ誤解を解いて、親睦を深めて頂くのがいいと思います。」
「そう……だね。」
ここまで話を聞くと俺もその気になってしまうから不思議だ。
「よし。どうせ終わった人生だ。やるだけやってやるわー!」
「はい。頑張ってください。」
俺もやる気が出たが。多分これ、カモメに乗せられた気もするから、ナツミちゃんの前では変な行動とらないようにしよう。
家に帰るなり玄関前にいた、隣の家の子に睨み付けられるように確認する。そこまで厳しい性格じゃなかったはずなんだが、俺も俺で、目の前でカモメになられても、うまい話だから、まだ騙されていないか不安でもある。
「ああ、親戚の子なんだけど、急にこっちに住むことになっちゃって。
それで家も空いてるし俺の所にって。」
「ふーん(冷たい目)。」
「今まで親元を離れた事がなくて、ちょっとそそっかしいのと。
こっちのことはよく知らないから何かあったら教えてあげて。」
「まあ、大人になっても、そういう子もいるかもね。」
「宜しくお願いします。カモメと申します。」
カモメは隣の家の子……ナツミちゃんに丁寧でゆっくりしたお辞儀をする。
「ふうん。」
ナツミちゃんは定食屋で働いているからか、相手の動作を確認しているようだ。これと俺の話で、大体どんな感じの子か、値踏みしているのだろう。
「それであんた、この子と二人っきりで住むの?」
「だから親戚の子だって言ってるだろ。」
これで外国人労働者とか言わなくてよかった。血縁関係は男女の同居も不審な目で見られなくて済む。俺は親戚とかとはみんな親父とお袋の代でほとんど繋がりは無くなっているし確認しに来る親戚はいないだろう。とりあえず誰も身内がいない俺から、誰もいない間、同じく他に誰もいない親戚の子と住むぐらいに変わっても、別にそういうことだってあるモンだと思うだろう。
「……。似てないのね。」
ナツミちゃんがまだ俺を不審な目で見ている。
「親戚で女の子なんだから似てなくたって別にいいだろ!?」
「それもそうね。」
ナツミちゃんがようやく解放してくれた。
「あ、それなら。」
カモメがポンと手を合わせる。
「今日は皆さんでこちらに来られてはいかがですか?」
「あっ、うーん……私、家の手伝いがあるからそれは……。」
「ええ。でも疑問があるなら実際に確認された方が。」
「……夜、抜けられないか聞いてみるけど。」
「はい。ぜひお越しください。」
「……ん。そうね。」
いきなりナツミちゃんが不審な目を向けていたが面食らったようになっていた。
(まあ、俺も、両親が亡くなった途端に現れる、それまで面識なかった親戚が現れたら。)
(そりゃあ何かを疑うよな。隣の家の人だし。)
(いい人オーラ通して、流して無理やり信じさせるのも不自然だし。)
(ナツミちゃんにはそのまんまでいて貰うか。俺も半分信じてない。)
俺も俺で、それで何の問題もないから、とりあえず今の関係のまま続行することにした。
・・・・・・。
「ええと、それで結局何をすればいいの?」
「はい。」
家に帰ると、茶の間で冷蔵庫で作っておいた、冷たいお茶を頂きながらカモメの言うことを確認することにした。
「それで、ふなばしあゆむ、さんでしたっけ?」
「うん。」
「あなたには既にご縁を結べる方がいらっしゃいますね。」
「え!? 本当に!?」
「はい。隣の家にいらっしゃった、ナツミ……さんでしたっけ。」
ナツミちゃんってカモメに言ったことあったっけ。言ったような気もするからそこは深く言わないことにする。
「うん。」
「その方と、渉さんの行動次第で結ばれるかもしれません。」
「えっと……ナツミちゃんってさっき会ったばかりだと俺、カモメと住むようになって。
めちゃくちゃ印象、悪くなっていると思うんだけど。」
「そんなことはありませんよ。ナツミさんはまだ自覚していないだけです。
それと、疑っているのは渉さんを心配されているだけです。」
「そんなことまで縁結びで読めるの?」
「はい。縁結びの神の遣いですから。結ばせ方は強引じゃなくて、自然にしか行えないですが。」
「それでいいよ。」
話を聞いていると、どんどん信用してしまいそうになる。
「はい。私がつかえている、元々の神様はもっと強力な縁結びを行えるんですが。
私はご縁がありそうな方をお伝えして、背中を押すぐらいで。」
「それで十分だと思うよ。」
「はい。どうやら子供の頃から遊んでいたようで。」
「うん。」
「そのときからお好きだったみたいですよ。」
「え!!!???」
全くそんな気配は見えなかったから仰天する俺。
「どうやらご両親が亡くなったときも、こちらで働き口が見つかるまで。
隣で働かせてやれないかとご両親に言われたのもナツミさんみたいで。」
「へ、へー、へー。」
俺は段々、まんざらでもなくなってくる。こういう自分について気になることの占いとか聞くのって面白いんだな。
「はい。だからせっかくだから、今日ナツミさんがお越しいただいた時は。」
「うん。」
「ぜひ誤解を解いて、親睦を深めて頂くのがいいと思います。」
「そう……だね。」
ここまで話を聞くと俺もその気になってしまうから不思議だ。
「よし。どうせ終わった人生だ。やるだけやってやるわー!」
「はい。頑張ってください。」
俺もやる気が出たが。多分これ、カモメに乗せられた気もするから、ナツミちゃんの前では変な行動とらないようにしよう。
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