喫茶モフモフ

白石華

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喫茶モフモフ

チーズフォンデュパーティ、開催

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「チーズフォンデュセットを頼む予定ですが皆さん他にも何かありますか?」

 レストランに移動したサナダさんたちはメニューを見ながら決める事にした。

「サナダさん。チーズフォンデュに、ここで勝るものはあるのでしょうか。」

 ゴンドウさんが確認した。溶けたチーズをパンに付けて食べたり、燻製や魔改造になってしまうが温野菜、ボイルしたあれやこれなど、パーティ料理としても、食べられる種類が豊富で、とても豪勢であった。

「チーズですよねぇ。」
「ですねえ、サナダさん。マスエさんはいかがですか?」
「えっと……私もチーズフォンデュで!」
「はい。それではチーズを溶かすのにアルコールの代わりにミルクをお願いして……。
 サラダと、チーズと燻製盛り合わせも頼んでおきましょう。
 ここは魔改造OKだから、他にも頼んで……。」

 ここのチーズフォンデュはアルコールで溶かす伝統料理として残した正統派とパーティ料理とかが好きそうな観光客用の魔改造OKと両方可能にしている店だった。

「チーズフォンデュってお酒で溶かすんですね。」

 マスエさんが確認してきた。

「そうですよ。慣れている方じゃないとアルコールがちょっと口に合わない方もいるため。
 最初からミルクで溶かして貰うように頼んできました。
 僕らがお酒飲んだら、最悪、ここで寝ちゃいますし。」
「へー……。本場のチーズフォンデュって癖があるんですね。」
「そうですねえ。何でも食べやすくするのがいいのかは。
 伝統料理に対しては是非は言えません。」
「言えないですね。私たちはチーズとミルクのフォンデュで。」

 そういうのもそこの地域が残した味なのだろう。想像だが乳よりお酒の方が原価として扱いやすかった時代だってあったのかもしれない。残すかどうかを観光客である我々が決める事ではない。それも踏まえてパーティ料理に魔改造した方のチーズフォンデュを頂くことにした面々。

「お待たせしました。」
「おお。」
「これは美味しそうな。」
「いっぱい並んでますね!」

 お店の人が持ってきたチーズフォンデュを確認すると。ずらりと並んだ料理の真ん中に美味しそうに煮えて溶けているチーズフォンデュと自分たち用に用意されたチーズフォンデュ用の長く伸びたフォーク。そしてチーズのいい匂いもする。

「じゃあ食べましょう。……おお、これは思い描いていたチーズフォンデュ。」

 早速食べてみたサナダさんが、溶けたチーズと乳製品の塩味とコクを味わっている。

「申し訳ないですが自分もこっちの方が食べやすく……。
 チーズとパンの相性には敵いませんな。」

 ゴンドウさんもチーズフォンデュにパンを付けて食べながら感想を言っている。

「私も火の入ったお酒だとアルコールの匂いが強いから……。」

 マスエさんもソーセージ盛り合わせと一口大に切った白身魚のボイルを付けながら食べている。

「僕も川エビ行ってみようかな。」
「いいですね、サナダさん。私は暫くパンを食べています。」
「あ、私もパン食べたい!」

 次々に溶けたチーズの入った鍋に用意された食べ物を付けていく面々。

「チーズ盛り合わせも美味しいですねぇ。発酵乳製品独特の匂いがいいです。」

 サナダさんは今度はチーズも食べてみる事にしたが、チーズの癖が強いのが美味しかったようだ。

「発酵させた乳製品を食べられるものにしようと開発するのもそうですが。
 乳製品と混ぜてまろやかにしたり、火を通すと食べやすくなるのは、それも発明ですね。」

 ゴンドウさんも、ここの人たちの乳製品に対する思いを改めて知った。

「パンと同じで偶然、作られたんでしたっけ。」
「たしか。そこからがすごかったってやつだったような。」
「食べ物を保存したり美味しくしたりする方法は見つけたら。
 みんなやりたくなるんでしょうねぇ。」
「そうですね。パンもチーズも美味しいです。」

 サナダさんとゴンドウさんが食べながら雑学の会話をしている。
 
「あ、おこげになった。これも食べよーっと。」

 そんな中マスエさんが、鍋底に作られたおこげを捲って食べようとしている。

「皆さんも食べますか?」
「食べます。」
「いただきます。」

 マスエさんはサナダさんとゴンドウさんにも分け合う事にした。

「チーズは本当に美味しいですねぇ。」
「ええ。フォークが止まらないです。」
「燻製との相性がまた……。」

 三人はお腹一杯、チーズフォンデュを食べた。

 ・・・・・・。

「この後はどうしますか?」
「すっかり満たされたから、また温泉に入って……ゆっくりしたら寝たいです。」

 帰り道、サナダさんはゴンドウさんと会話をしていた。

「いいですね。僕も温泉、入ろうかな……あと濃いのばっかり食べたから。
 お茶かお水が欲しいです。」
「チーズからして味が濃かったですからね。」

 傍から見ると若旦那と用心棒のような二人とその口調だった。

「楽しかったなー。美味しかったし、お風呂にいつでも入れて眠れるんだ……。」

 マスエさんは温泉地で宿泊して過ごす休みを謳歌するつもりでいるようだ。

「やっぱり休みがあるっていいですね。」
「はい。終わったらまた、お仕事ですが、またやりましょう。」
「そうですね。休みが楽しかったから、働く日が来る前にもうちょっと休んでおこうかな。」

 今度はマスエさんとサナダさんの会話になった。ゴールデンウィークもそうだが、仕事に耐えた後に得た休みを堪能した後に来るのは仕事なのは異世界でも休みが名残惜しくなってしまうようだ。

「前はお茶のフェアでしたから。
 今度はコーヒーとチョコレートのフェアでも良さそうですね。
 メニューを開発する必要がありそうですが。」
「ついでにチーズフォンデュもされたらいかがですか?」
 
 サナダさんの提案にゴンドウさんが乗る。

「……そうですね。材料の仕入れ先とか……そういうのも事情に入れてやってみますか。」

 休んだ後は休暇先で得たメニューを参考にしたりと、サナダさんとゴンドウさんは働き者の癖が身についていた。

 ・・・・・・。

「ありがとうございます。観光を楽しませていただきました。」
「ワンちゃんもモフって歩かせて、魔力を与えて。
 お腹いっぱいのツヤツヤにしておきました。」
「ばうばう!」
「くきゅー!」
「ワウッ!」

「ホントだ、ツヤツヤだ! カワイイ!」

 その後、街に戻ってモフモフ喫茶でエルフから預けた魔獣を引き取ると、ワンちゃんたちは幸せそうにツヤツヤしていた。エルフ姉妹もツヤツヤしていたそうだった。
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