精霊都市の再開発事業

白石華

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第六章

遺跡探索、始まる

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 ざあああ……っ。

「おお。辺り一面、稲穂が広がっているな。」
 
 海色の金属の装具が施された、霊社の扉は実にアッサリと、シーガルを連れてきたら開いて、中に入ると、この通りの光景が俺たちを待っていたのだった。

「稲穂が広がっている……田園地帯だけど水はもう引いていないみたいね。」

 サシガネも辺りの様子を確認しているようだ。

「これは全部、精霊にお供えするための稲穂でしょうか。」

 ベルさんが呟く。

「うん。敵が来たら任せてね! 今回は私が後衛に入っているよ!」

 梅花さんとシーガルの隣で、サシガネと挟むように後衛でカンナがハルバードを振り回している。

「ありがとうございます! カンナさん。」
「ありがとうございます。」

 梅花とシーガルがカンナに揃って頭を下げている。

「うん。私からもありがとう、カンナ。」

 サシガネも礼を言おうとすると。

「うん。ちゃちゃ―っと片付けちゃおう! それでみんなでまた。外で遊ぼ!」

 カンナは随分と嬉しそうにハルバードを振り回していた。

「俺たちは前衛に徹するためにカンナ、後ろは任せたぜ。」
「お願いします、カンナさん。」

 俺とベルさんで前衛を担当していた。

「チチッ、ギギ一!」

 敵が現れたが、ネズミのようだった!

「稲穂を食い荒らすネズミが敵って訳か。ちょっとバーベキューには向いてねーがやるぜ!」
「はい。でも数が多すぎて、今までの大物とはいかないようになっています。」
「やることはネズミのモグラたたきって訳か。行くぜ! 大物になってから出直してこいや!」

 ドスッ、ドスッ!

 俺はネズミの大軍をハンマーで叩き始めた!

「私も。平たいからこういう時便利ですね。」

 べターン!

 ベルさんが幅三倍はあるバスターソードの剣幅で鈍器のように地面にネズミごと叩きつけた!

「チギュー……。」
「チチチッ!」

 ある程度のネズミは片付けたが後方にも向かって行く!

「せーのっ、ドライブショット!」

 ばこーんっ!

 カンナのハンマー面を扱った、ゴルフのようなフルスイングでネズミの大軍は吹っ飛んでいった!

「おおー、これで粗方倒したか?」
「後衛にカンナさんがいると前衛に徹せますねー。」
「任せて! 社長、ベルさん!」
「うん。ありがとう。カンナ。」
「う……うん。あたしだって、サシガネやみんながケガするところ、見たくないし。」

 サシガネの言葉にカンナがやけに戸惑っている。俺の所のハーレムは女の子同士の仲がいいな。

「カンナさーん。私も、カンナさんがいてくれて、頼もしいですよ。」
「はい!」

 ベルさんも混ざって、みんなで和気あいあいとし始めていると。

「グルルルル! グアアッ!」

 今度はクマが現れた!

「よっしゃクマ肉じゃー! 今回は穀物、食ってそうだから肉質はいいぞ!
 クマ皮も引っぺがしてやんよ!」
「ふふふ。解体は任せてください。」

 俺とベルさんが両側からハンマーとバスターソードを叩きつける!

 ゴチーン!

「グキュウ……。」
「はーい。血抜きと、解体をしておきますね。」

 クマも倒した! ベルさんが肉の解体を始めた!

「普段、あれだけ騒がしいクマも狩られる側になるのね。」
「クマだから早めに倒さないとですからね。」
「すごい……。」
「後衛は、異常なしっと。」

 サシガネ、梅花さん、シーガルが俺たちを見ている間、カンナは後ろを確認していたため、俺も前方を確認することにした。ホント、俺の所に来たカンナは優秀である。

「クマも解体しましたし、先に進みましょう。」
「お疲れさまでした、ベルさん。」
「はい。社長~。」

 ベルさんが済ませると、俺たちは先に進むことにした。
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