精霊都市の再開発事業

白石華

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第二章

それぞれの海とバーベキュー

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「はい、はい……資材がコチラで追加で調達可能になりまして……はい。
 レポートもお送りしましたが……費用もこちらで問題ないでしょうか。
 ……はい! ありがとうございます! それじゃあ失礼します。」

 俺はプツリとスマホの終話ボタンを押す。

「……ふう。サシガネの手前。こういう話は早めに確定させておかないとな。
 良かったぜ~。連絡も取れて。」

 俺は事前の話通り、遺跡の探索費用と探索の用途。資材の調達が増えて工事が早められることなど、何だかんだのことを書いた後、最後に費用の見積もりを添えたレポートを送って無事、向こうからも色を付けて資金を貰えることが確定し。これで一段落と言ったところである。

「かっこいい事なら言えるが……金ばっかりは工面して貰わないとどうしようもないからな。
 サシガネ……お前は俺をブラック社長にさせんなよ。
 規定外労働をみんなやっているのに自分だけできなくて申し訳ないとか、もう言うんじゃねえぞ。」

 契約外の労働としてお金が工面して貰えることとなり。しかもレポートを送ったら、ダンジョンで何があるのかもっと知りたいから遺跡の調査を続けて欲しいと言われ。新たな資源調達先以外でも何か無いかも調査して欲しいと言われ、段々、町の便利屋さんと化しているが、元々そんな事とかもやれたらいいと思っていたからちょうどいいだろう。

「よし! 金の工面も付いたし、パーッと遊びに行くか!」

 俺はルンルン気分で社宅を出ようとすると。

「あっ。」
「おう、サシガネじゃねえか。」

 同じく社宅から出ようとしたサシガネと遭遇した。

「う、うん。」

 サシガネが心なしか震えているような?

「あのさ……みんなでパーッとやるけどさ。私……人怖いの忘れてた。
 付いて行って貰っていい?」
「おう、いいぜ。そういう事は今後も言えよな。」
「うん……。」
「あのさ、何で梅花さんとシーガルは大丈夫だったんだ?」
「怒らないで聞いて欲しいんだけど、礼儀正しくて話しやすい女子供は平気なの。
 男の人でも……そういう人なら平気。それでも無理なときは無理だけど。
 怖い人だとその場で逃げ出したくなるし。」
「なるほど……怖くない人ってそういう人なのか。きちんと言ってくれるならいいんだぜ。」
「うん……。」

 俺もそういうのあるからなと、言ったらサシガネがへーと、意外そうに答えていた。俺もなったことないから憶測だけど、人が極端に怖い人だって世の中にはいるのだろう。サシガネの場合、遭った瞬間にどこかに消えているが……やはり、サシガネと回るときはレンタカー、借りた方がいいかもな。何かあったら車の中にも逃げ込めるだろう。そしたら探すのも簡単だ。

「えっとさ、トンカ。」
「ああ、なんだ?」
「腕、組んでかない? みんながいる所なら離れてもいいから。」
「そうもいかないだろ。俺たち、付き合ったんだろ?」
「へっ!? あっ……いいんだ。」
「ああ。いいぜ、いつみんなに言うか、言える状況じゃないから話せなかっただけでよ。」
「うん……でもね。もしみんなが、トンカと付き合いたいって言ったら……私はそれでもいいから。」
「何だよいきなり。確かに今の所みんな仲良くやっているが……。」
「トンカがそう思っているだけかもよ。」
「どうだかなー……モテる俺がイメージできないし、したら人間として終わりだとすら思っている。」
「ふふふ。結婚って私たちの国じゃ一夫多妻も一妻多夫も認められているじゃない。
 離婚も再婚も同性婚もオーケーだし。」
「ああ。ああいうのは全員幸せにしないと結局、刃傷沙汰……っておお。」

 話している内にみんなのところ……海にたどり着いた。

「おーい! 俺たちも来たぜー!」
「あっ、あわわわわっ。」

 みんなに手を振ると、サシガネが慌てて俺の後ろに隠れたが。そこにいたのはベルさんとカンナだけだった。今日は貸し切りみたいでいいな。

「誰も……いない?」

 俺の後ろから首を伸ばす。

「ああ、よく見ろ。カンナとベルさんだけだ。」
「……うん。」

 サシガネが俺の横に並んだ。
 
「トンカさん、サシガネさん、こっちでお肉、焼けてますよ。」
「おお~。いいじゃねーか。」
「社長! あたし、みんなが来たから泳いで来るね!」
「ああ、行ってこい!」
「きゃー!」

 浜辺というか海の家でバーベキューの準備は既にベルさんが済ませていて、しかも水着だった。ビキニにシースルーパレオといういでたちで。カンナもビキニだし、みんなビキニだった。

「……あら。」

 ベルさんがお肉を焼いている手を止めると、俺とサシガネが腕を組んでここまで来たのに気付いたようだ。

「……ふふ、微笑ましいですね。」
「ああ。実はよ。サシガネと付き合う事になってな。」
「……はい。そうなんだろうなとは思っていましたが。」
「はは、どんくらいから気づいていた?」
「いえ。ここに来た時からそうなんだろうなって思っていましたよ。」
「ぬおっ!?」

 ベルさんの答えに驚く俺。その時は付き合ってなかったんだが。

「というか、事務仕事の割り振り方がサシガネさんのためみたいなものですし……。
 私がこの会社で働くのも、サシガネさんのためなんだろうなと。」
「あ、あわわわわ……。」

 最初から完全に見抜かれていたのかとサシガネが慌てふためいている。

「い、いや! ベルさんにもきちんと働いて貰っていて、ホント、ありがたいと思っています!」
「いえ~。そういう話ではなくて。本当に、微笑ましいなと。」
「あ、はい……。」
「私もこういう会社で働いてみたいと思っていたからいいんですよ。
 世話焼きになりたくなっちゃいます。」
「なんかもう、何もかもすみません……。」

 俺はベルさんに感謝の意を込めた。

「それより。お肉どうです? 食べてみます?」
「あ、はい。んっ。」

 お皿で渡されるのかと思ったら口の中に箸で入れられてしまった。お肉の味は表面は炭火でこんがり焼けているのに淡白であっさりしていて、タレもシッカリ味が付いていて旨い。

「は~うまいな。」
「ええ。ご飯は精霊装置でスイッチ一つで出せちゃいますし。炭火加工も可能ですが。
 実際にみんなでつつくのも、またいいですよね。
 それでサバイバル趣味まで身につけちゃいましたが。」
「あ、そうだ、私ベルさんにサバイバル経験を教えて貰いたいって思っていたんです!」
「まあ、それならまず、武器の適性チェックを……。砂でも土でもいいんですよ。目つぶしに。
 逃げ足が速いなら逃走スキルとか。」
「はい! それならやれそうです!」

 サシガネはベルさんにサバイバルスキルを教えて貰うことにしたようだ。その間。

「俺は海で泳いで来るか。」

 着替えは持ってきたが、既にバミューダパンツとパーカーといういでたちに変えてしまっている。パーカーも来たまま水に入れる優れものだが乾かすのが面倒だから脱いで入る事にすると。

「うわっ! あんた半裸で行かないでよ!」
「……まあ。」
「えっ何。異性に身体見られるパターン俺に来るの!? 半裸じゃないと泳げないじゃん!?」

 何故かバーベキューをやってた女子にキャーキャー言われた。

「あー! 社長―! 泳ぐならこっち来なよ!」

 俺に気付いたのかざばっと海面から顔を出したカンナだが……。

「おっと。ブラ取れた。」
「ぬああああ!?」

 いきなりのラッキースケベというかカンナのビキニのブラが海に流されていった。母性の塊がそのまま表に出てきたような、何というゴージャスなおっぱいをしていたが。

「ごめんねー! 取りに行ってくる!」
「お、おう……お前全然、見られても気にしないのな。」

 腕で隠したまま、ざぶざぶと行ってしまうカンナ。

「……まあ、サシガネが心配するのも無理ないか……カンナには罪はないが。」

 カンナはカンナのままでいてくれと思ったが、それにしても心配であるしサシガネがこれじゃあ不安になるよなと改めて思う。

「カンナにもサシガネと付き合っている事、言わないとな……。」

 俺は打ち明けようと思ったが、どんな表情でそれを言えばいいか、ビジョンが何故か浮かばなかった。

「……ん。何でだろう。俺……ベルさんには言えたのに、なんでカンナには……。」

 カンナには何かこう、放っておけない何かがあるような気がしてしまっていた。俺の気のせいだろうけどな。それでも……アイツの元気そうな顔が曇りそうなことは言いたくない気がして。

「気のせい、気のせい。うん。今の俺の気持ちも……そうだ。」

 俺は慌てて気持ちを振り払うと、カンナの所の泳ぎに行こうとすると。

「あはははは! 置いてっちゃうぞー!」
「お、おい! 泳ぎすぎだっての!」

 カンナはクロールでとんでもない速さで泳いでいた。その後、潜水と何でもござれだったし、あれで男の子を発見したのかと関心してしまう。

「俺が泳いでいて目を離すとアイツが危ないんじゃないかと心配してしまうわ。
 それにそろそろ時間だし。おーい、泳ぐならそろそろバーベキューだし食ってからにしろよ!」

 俺が叫ぶとカンナに聞こえたのか。

「はーい!」
「ぬあああ!?」

 案外至近距離にいて、海から顔を出した瞬間……目の前にカンナがあらわれる!

「あっ。」
「えっ。」

 お互いバランスを崩して、そのまま……。

 ばしゃっ!

「うう……うっ。」
「ん……っ。」

 俺とカンナは抱き着く形で海に沈みながらチューしてしまっていた。ちなみに俺が押し倒された方だ。

「んんんっ! ガボガボガボ!」
「ゴボボボッ! う、うう……。」

 俺のキスの味は酒の味とミルクの味。更に海水の味がプラスされた……。

「ごめーん、社長、キスしちゃった。」
「あ、ああ。うん、いいよ……。気にすんな。」
「それでさ、社長、帰るんでしょ? 行こう?」
「う、うん……。」

 気まずい空気は俺だけのまま、バーベキューに戻ったのだが。

(サシガネと顔、どうやってみればいいんだ……。)

 サシガネの言葉通りの展開に、段々なってしまいそうで怖くなった俺だった。ビビりなんだよ。ハーレムなんてなったことないから知らんわ。

 ・・・・・・。

「あ、お帰りなさい。」
「お帰り、トンカ、カンナさん。」

 バーベキューの所に戻ったらサシガネとベルさんに迎えられる。

「あ、虫に刺された跡がありますよ、二人して。」
「あれ、そう?」
「うわーマジか。気を付けないとな。」
「はい。虫刺されの薬、塗っといてくださいね。」
「はーい。」
「おう。」

 ベルさんに言われて二人で塗っとかないとなと思ったが。

「……はっ。」

 サシガネにめっちゃ冷たい対応をされた。

「ベルさん、私今日はやけ食いするからお肉いっぱいちょうだい!」
「はいはい。大変ですね。」
「ふ~~~~んだ! 今からでも食べて私だって大きくなるもん!」
「あれ、ええと、何?」

 サシガネが肉をいきなり食べ始めていた。

「……ベルさん、私もお肉、頂戴。」
「はい。カンナさんには野菜も付けときますね。」
「はいはい。好き嫌いせず、何でも食べるようにってね。」

 カンナはカンナでもぐもぐと食べ……。

「……なんだよサシガネ。何でそんな拗ねてんだ。」
「うるせえ! トンカが聞くな! お前言った端から速すぎなんだよ!
 いいって言ったのは私だけどよ! それでもなんだよ!」
「だから何の話!?」

 サシガネは終始、不機嫌だったが。

「……ふーん。」

 何故かその様子をカンナに見られていた。

「カンナさん、先を越されちゃいました?」
「ううん。最初からこうだって知ってたから。あの二人、分かりやすすぎなのに。
 バレないと思っているんだよね。」
「本当に二人を見ていると、そう思っちゃいますね。」
「うん……本当にそう。」

 何故かカンナとベルさんも肉を山盛りにしていた。
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