桜の散る頃に

白石華

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桜の散る頃に

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「ホノカちゃん。確か……俺の唾液、美味しいって言ってたよね。」
「はい。とっても。」
「……そっか。だったら前を向いてしようか。身体はもう、大丈夫?」
「はいっ。」

 ひょいっと身体を俺から下ろし、ベッドに寝そべって俺を待つ。見るからに大丈夫そうである。

「脚、開いて。その間に俺が入る。」
「……こうですか。」

  ゆっくりと左右に開き。

「オーケー。」

 入れる程度に隙間を作ると俺が入り込む。腿の裏を持ってM字に割り開くと蜜に濡れた花弁は既に先ほどまでの行為で開いていた。俺は体勢を変えて腕を着いたうつ伏せの構えになり、体重で沈み込めるようにする。

 くちゅっ……。

「うう……う、うはっ。」

 やはりホノカちゃんの中は蜜壷だった。広げた口の中に先端を付けると、温かくてヌルヌルした蜜がたっぷり付いてくる。抵抗らしい抵抗もなく、ずぶ、ずぶと沈み込んでいく先で。蜜が包んで温めてくれる。中も柔らかいし、これだけ濡れているなら……。

 ずぶ、じゅぶっ、ずぶ、じゅぶっ。

 待ちきれなくなった俺は小刻みに揺すりながら中へ沈んでいく。少し引いただけでも蜜を花口から垂らしていき。

「ああ、あああんっ。ふあ、は……ああっ。そこ、そんなに動いた……らっ。」

 奥まで到達するとホノカちゃんの息が一瞬、詰まる。

「フェラチオは上手かったのに、入れられて、中を擦られるのは弱いんだ、ホノカちゃん。」
「だって、こんな……あっ。やああっ、あああんっ。」

 少し引き抜いて、さっき悲鳴を上げたところをもう一度、擦ってみたらやはり劇的な反応を見せる。俺は抜き差しを速く深くしてみた。

 ずっ、じゅぶっ、じゅぶぶっ、じゅぐぶっ。

「やあっ、いや、いやいやいやっ。ああ、あああっ。」

 ビクン、と身体を震わせ、背筋を仰け反らせるとあっという間に果ててしまった。

「うっ……く、ううううっ。う……っ?」

 痙攣を見せたと思ったら。花口が締まり、中が吸い込むように付いてくる。

「ちょっと、待ってホノカちゃんっ。これ……?」

 驚いて腰を引こうとしたら。

「はあっ、はあっ。外は……駄目。」

 腰に脚を絡めてホールドされてしまった。生き物のように吸い上げ、絡み付いてくる。

「うう、うううっ、出る……。」

 逃げ場を失った俺は吐精してしまう。

 ビュッ、ビュルビュルッ!

「うあ……あああ……はあっ、はああ……ぁ。」
「ん……んんん……ふううっ。」

 俺の樹液を中で受け止めたホノカちゃんが溜め息を吐く。

「味は……分からなかったから。こちらを下さい。ん……ちゅっ、ちゅっ。」

 力が抜けて寄りかかってきたところに首に手を回し、唇を付けてくる。

「はは……んん。」

 ホノカちゃんのキスは桜の香りとサクランボの味がする。

「まだ……抜いたら駄目ですからね。」

 そして、俺の腰はホノカちゃんにホールドされたままだった。

「いいよ。締まりに驚いただけだし、ちゅる……。」

 それが自然であるかのように唾液をホノカちゃんに与えていた。

 ♦♦♦

「私の身体……人の姿をしているときは。
 人の精液を取り込みやすいように出来ているんです。」

 俺の身体の準備が出来るまで雑談をすることにした。

「そうなんだ。口で吸われてたみたいだった。でもどうして女の子の姿なの?」
「精液がご馳走だからです。男の人からだけで、いつでも取れる。
 血液も……栄養ですけど、傷つけたら危害になりますし。」
「ああ。そういうことね。じゃあ、同性愛の男性が相手だったら?」
「その時は男性になりますよ。でも。」
「でも?」
「私、行為はお供えされた本と先輩の妖精から聞いた情報でしか知りません。」
「……それは凄い耳年増だね。」

 さっきまでの行為を思い出して俺は大いに驚いた。

「だって。山に住む生き物は数えるほどで。
 山の神様から繁殖期の期間は限られているから、ちょっかい出すなって言われて。
 お参りされる方も年々、減ってきてますし、お社だって誰も修繕する方がいなくて。
 私が産まれたときは茂樹さんぐらいしか供物をお供えする人。
 いらっしゃらなかったんですよ。」
「え、でもさっき本をお供えされたって。」
「はい。本をパラパラと読んだら、そそくさと置いて帰られて。」
「え。」
「確認したら、人の……子作りについて、とても詳しく載っていて。それで勉強を。」
「……。うわー……。」

 それって。山にエロ本持ち込んで誰もいないところで読んだら棄てるってアレか?

(社に棄てるなよな。全く……。)
(言えない……これはどうあっても真実は言えない……。)

 俺は冷や汗を感じながらホノカちゃんの話を聞いていた。エロ本に書かれていることが本当に出来るなら、そりゃあ、ああいう知識があって芸当も出来るんだろうな。しかし。

「ホノカちゃん。」
「はい。」
「その本で学んだことは全部、フィクションだから鵜呑みにしないんだ。」
「ええと、そうなんですか?」
「うん。その本はフィクションだと分かっている人しか読めないんだ。
 人間には絶対、真似できない行為しか書かれてないんだ。空想で愉しむものなんだ。」

 これだけはホノカちゃんに言っておかねばなるまい。

「そうだったんですか。娯楽のご本だったんですね。」
「そう! そうなの、そう!」

 俺は力一杯肯定した。……ら一気にドッと疲れてきた。

「ああ、これもだホノカちゃん。」
「はい。」
「俺、ホノカちゃんに『君って人間じゃないんだ』って言ってごめん。」

 ズレた認識が人間によってもたらされたものもあるなら。
 人間の発想の方がよっぽどひどい。

「ええと、どうしてですか?だって本当のことじゃ。」
「どうしても。俺も……そろそろ準備が出来てきたし、またしようか。」
「はい……茂樹さんが、出来るのなら。」

 まだ話が掴めてないのか釈然としないようだったが切り上げてくれたホノカちゃんだった。
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