サキュバス召喚！

第2章

モフモフ喫茶、魔獣を迎える。俺も新職が増える

　その後、研究所の人も、こんなに人懐っこいなら人前に出せるだろうという事で、魔女の森で捕らえた魔獣がどうなったかと言うと、ちょいワイルドな路線のモフモフという事で、モフモフ喫茶に引き取られる事となった。
　外見はワイルドなモフモフだが、魔女の森から離れてしまうと、自らを依り代として魔力を貯められなくなってしまうため、代わりに冒険者や魔術の研究をしているところの人の憩いの場所となるモフモフ喫茶で定期的に魔力を与えてもらう事となった。魔力を流すように撫でれば撫でてあげるほどツヤツヤになるという触れ込みで、家で飼えないモフモフ冒険者や魔術師のハートをキャッチしたようだ。

「あ～ん、かわいいですー。モフモフ。」
「バウバウ！　ヘッヘッ。」

　外見が黒くて、何かオーラを放っている、ちょいワルなワンちゃんの雰囲気を纏った魔獣がレイナに尻尾を振りながら懐いている。

「魔獣って、手が付けられないほど獰猛だって聞いていたんですが。
　こうして懐いちゃうとかわいいですね、ご主人様。」
「うん。俺も何でこんな事になったんだか分かんないレベルの話になってきている。」

　俺はピザとワインをつまみながら怒涛の展開に現実感のない返事をする。これがチートってやつ。か……。
　モフモフ喫茶からは感謝として、永久パスポートを貰ったので、これで飯には困らない生活をモフモフ喫茶がある限り、数年は続けられるようになったのと、新たなビジネスとして魔獣調教師という、魅惑の術をモンスターに用いる冒険者のジョブまで作られたため、モフモフ喫茶もここ以外でも勢力を拡大することとなり……俺が最初の成功者として名を連ねる事となったのは、ここではまだ、語られない伝説となるのであった。

「ご主人様、これで暫く食べて行けそうですね！」
「うん。食うものには困らなさそうだね。」

　その代わり、俺の新たな仕事として、魔獣調教という仕事も、モフモフ喫茶のためにすることとなったのだが、仕事が増えるのはいいことだからな。こんな形でモンスターと人間が共存する社会が生まれるとは思わなかった。モフモフ喫茶も、こんな平和貢献が可能とは思わなかっただろう。

「あ、そうだ、レイナ。もしよかったらなんだけど。」
「はい。」
「お祝いって言うか、ここのモフモフ喫茶、気に入ったかな。」
「はい！」

　レイナはとっても嬉しそうに返事をした。

「それじゃあ、他にもこの街とか、街周辺とか、回ってみることにする？
　レイナも他にもお店とか、遊ぶところとか、知っておきたいかなって。」
「……。」

　答える前からレイナの目がキューンとなっているようだ。

「はい！」

　レイナは大きく返事をしていた。