サキュバス召喚!

白石華

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第一章

レイナのその後。チートだからマッハで解決しました

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 ――試しに小遣い稼ぎにクエストをこなすことにした――

「いでよ! 従魔召喚!」

 ゴオオオオオッ!

 描いた魔法陣から光が走り、俺が呼び出した従魔が現れ。

「ご主人様、ご命令を。」
「召喚魔よ、わが命に従い、我に力を! 一掃攻撃!」
「はい。ライトニング・フレア!」

 カッ……ドドン、ドン、ドドドドン!

「グギャアアアアア!」

 レイナ……俺の従魔の放った全体攻撃魔法で簡単にモンスターを一掃した。放った魔法もフレア(炎)とライトニング(雷)で光熱系にブーストした電磁魔法か。弱点属性の敵には結構いい魔法だ。

「よーし、近所のモンスター、駆除終わりっと。帰ろうか。」
「はい。」

 こうして俺の生活費は暫く稼げることとなった。倒したモンスターからは素材を取ったり肉を売ったりするから、食い物や着る物にも余裕が生まれるだろう。

「これで依頼は完了ですか、ご主人様、おめでとうございます。」
「そうだよー。レイナのお陰だよ、ありがとう。」
「……はい。」

 レイナは嬉しそうに返事をする。出てきたときも礼儀正しかったし、本人はヘタレだと言っているけど、それはいい子で世間知らずなところがあるからだろう。そういうのは本人が悪い訳じゃないし、世間を経験していけばいずれ直せるだろう。
 そういう人の持っている弱点と言うか未熟なところ、ふとしたきっかけで生まれた心の隙につけ込むやつが悪いのだが、勇気を持って打ち明けても私はそうはならない、本人に問題があると、言われてしまうのが世の中の辛いところだ。そういうことをしたら心を閉ざしてしまうし、その子にとって、そういう解決の仕方じゃないと思うんだけどな。しかし改めて思うのはサキュバスとは名ばかりの、いい子なのではないかという事だ。

(これでフェロモンが正気を失うほどじゃなければな……。)

 そこはまあ、サキュバスだからしょうがないのだろう。それにしてもだ。

「そういえばレイナは強くなれた?」

「何がですか?」
「ホラ、レイナの事。最初に来た時に能力はあるけどヘタレだって。」
「ああ。それなんですが。」
「うん。」
「ご主人様とエッチをしたじゃないですか。」
「はは……。そうだね。」
「それで経験値と能力値がとんでもなく増えまして。」
「あ、うん。最初にそう言ったね。」
「サキュバスとしての能力がチート状態で成り上がり逆転無双ざまぁになりました。」
「へ、へー。」

 凄い字列だな。文字から大体こんなストーリーだと推測可能だから済ませられるとは言え。こんな雑な展開でいいのか。

「だからもう、ヘタレと言われなくなりまして。そういうのって人間的な成長は二の次で。
 仕事さえこなせれば誰も何も言わなくなるんですね。ちょっと社会の闇を知った気分です。
 ですが、もっと私とエッチをしてください。」
「そんなアッサリ、解決したの!? しかもエッチで!?」
「はい。だから私に言うのは、きびきび動いて仕事をしろというので済むのを。
 言わなくていいことまでボロに言っていた連中にも問題があったという事で。
 それを知ったら気が楽になりました。何から何まで真に受けなくて良かったんだなって。
 それで余計に縮こまっていたみたいです。」

 そういうのって段階を踏んで丁寧にこなしていって、共感するような他の人とかの体験も交えて、実際の人生経験の追体験みたいなイベントをこなして、実力と成長を確認していくもんじゃないのか? と思ったが、俺から授かった能力がチート級だと秒で終わるんだろう。恐ろしい時代になったもんだ。
 まあ、俺だって、勉強の仕方もそんな感じから始まって、仕事がやれるようになるのが先で、人間性としての成長は二の次になってしまって、将来、世代と感覚の違うコミュニケーションを沢山経験することになって苦労している人とかいっぱい知っているからな。
 成長速度をマッハにする代わりに、余った時間で、ちょっとでいいから心の平安の取り方と、相手に言わなくていいことまで言わない忍耐力と、言葉を言い換える能力と、世間慣れはビジネスコミュニケーションスキルとして持っておきたいものだ。チートとか言っても、速さが違うだけで、それが今の社会の縮図かもしれないな。

「うん。そんなもんだよね、社会なんて。」
「はい。仕組みを知るのに時間がかかりましたが。
 知ったらマッハだったのはご主人様のお陰です。」
「そうなんだ……。」
「はい。ご主人様も運よく見つかりましたし、これからも、よろしくお願いしますね。」
「うん。俺に可能な事なら協力するよ。」
「それだとエッチになりますね。」
「オオウ……そうだった。」
「だから、繰り返しになりますが、これからもよろしくお願いしますね、ご主人様。」
「うん。帰ろうか。」

 やっぱりこの子、いい子だよな、と思いながら家路に向かうのだった。
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