狐の嫁入り

白石華

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狐のお屋敷

今度は胡桃と(今回は事前会話のみ)

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「正宗、もう体は大丈夫か?」
「ああ。霊威が注がれているからか、回復も早いようだ。」

 ベッドで寝ていた状態から起き上がると、胡桃に声を掛けられたため、後ろに大きくそらす背伸びをして返事をする。

「それは良かった。私と行為もお願いする。」
「うむ、それなんだが胡桃。」
「何だ?」
「胡桃は俺の事を、そういう相手としていいと思ってくれているのか?」

 今までずっと、先送りにしていた問題だが、こういうのって俺だけが好きでいいのだろうかと思ってしまう。

「ああ。それは今後の正宗の行動次第だな。私が正宗を好きでい続けられるようにしてくれ。」
「……え。そういうのでいいのか?」
「好きになって終わりじゃないだろう。私たちは行為を続け子を成し、生活も続けるんだ。
 好きにさせるというより、私を好きでい続けさせる事の方が優先だろう。」
「それは、そうなんだが。」
「……ふふ。もう好きになっていると思っているなら自信家だな。
 狐を懐かせるのは時間がかかるぞ?」
「確かに、コンちゃんだからな。」
 
 胡桃の会話を聞いている内にいつの間にか納得していた。確かに胡桃は俺といてくれているが。動物のお世話をすると言うのは懐かせるまでに時間がかかるのだと言われてようやく俺は狐を相手にしていたのだと再確認した。そういうところまで人間のしきたりに合わせなくてもいいのか。
 どうやら俺の方が話を先に進めたがっていたようだ。今のままの状態を続けられること、それは当たり前のようでいて、とても重要な事だったようだ。貞操観念がニンゲンと違うだけでなびくなびかないとかはまた違うのか。
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