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狐のお屋敷
次の日のこと
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「という訳で、正宗さんのいない……寝ている内に稲荷神社の妖精に挨拶に行ったら。
こちらのことを把握されてしまい。
正宗さんと、元々の後継者の方に霊威比べをするようにと言われてしまって。」
山桜桃さんと行為をした翌日の朝。山桜桃さんは俺が起きたのを確認すると、すぐさま、その後のことを話した。
「まだ話がサッパリ分からないが。
俺はどこに行って誰にその話を詳しく説明して貰えばいいんだ?
あとどうして俺が元々決まっている後継者とわざわざもめ事を起こさないとなんだ?」
「私も話を聞いたのは妖精さんだけにですから。……神社に行ってみます?」
「こちらの意見を聞かないのが気に食わんから、しらばっくれる……のも相手は神主。
一応、子供の頃は世話になったからな。狐の話で。」
「どうされるんです?」
「話の流れとして。俺と胡桃が結婚するのは決定事項だろう。」
「そうですね。それで後継者争いがあるんですから。」
「神前婚はここの稲荷神社でしたいと思っていた。だから稲荷神社に喧嘩は売れない。」
「はあ……。」
山桜桃さんの声が段々、力がなくなってくる。
「とりあえず親にも事情を話して。
稲荷神社に行ってきたらまたこっちに戻って再説明でもするか。」
「さすがに親御さんの意見まで無視は出来ないでしょうからね。」
「あの神主だからな……何でこちらの意見を飲ませようとするか分からんぞ。」
「どんな人なんですか、神主さんは。……あ、でも。あなたの親族なんですよね?」
「そうだが? 親戚と言っていいのか分からないくらい、家系は複雑だが。」
「あ、いえ。何でもありません。」
山桜桃さんは言おうとして呑み込んだようだ。言いたくなさそうだから深く探らないでおこう。
「一応、親にも言ってみるか。」
「そうですね。正宗さんの両親に合意もなしでそういうことはしないはずですから。」
「向こうさんにも断って貰えればいいんだが。」
俺はまだ、この時、自分の中に流れている血も、力も把握していなかった。それが山桜桃さんと胡桃とで行為を重ねていくうちに増えていくのも知らなかった。それで俺はどうしようもなくなるのだが。知らなかったからこんなことが思えていたのだろう。今になって思えば、随分と気の抜けた話である。
・・・・・・。
「あんた、神社で何をしてくるの?」
「いや、詳しい話は知らなくて。霊威比べをして跡取りになって来いとか。」
「え……。」
朝ごはんの時間。両親に話したら母に詳しく状況を聞かれたが俺もまた聞きのため、ボヤっとした回答になる。
「ええと、話が全然、見えてこないんだけど。霊威って何? 力比べでいいの?」
母親にはそこから説明しないとだった。
「すまない母さん、俺は狐から霊威を貰っているんだが。
その力を向こうも持っていて、それを比べるのだ。」
「ふーん。」
母親は訝しむ表情でいるが。
「私は、アンタの狐に関することは何にも干渉しないことにしているの。
だから神社にでもどこにでも行ってきな。」
「えっ。そこは親として止めるところじゃないのか?」
「止めて欲しいの?」
「うう……む。正直なところ、どっちにしていいか悩んでいる。」
「ふーん。アンタが分かんないんじゃ私にもどうしようもないね。
いいから行ってきて、それで話を聞いてから行くか止めるか決めな。」
「それもそうか。というか、そこまで話を進めてしまっていいのか?」
「アンタ、就職先、決まっているの?」
「む……う。この都市で職に就きたいとは思っているのだが。」
「じゃあいいんじゃない?」
「いいのか? 父さんはどうなんだ。」
「どうなんだって。私たちが行くなと言ってどうにかなるものなのか?」
「俺も正直、よく分からない。」
「行かなかったらまた、大変なことにならないのか?」
「う……む。それはそうなんだが。」
という訳で、両親の心の広い(?)承諾も得て、結局、行く羽目になった。
こちらのことを把握されてしまい。
正宗さんと、元々の後継者の方に霊威比べをするようにと言われてしまって。」
山桜桃さんと行為をした翌日の朝。山桜桃さんは俺が起きたのを確認すると、すぐさま、その後のことを話した。
「まだ話がサッパリ分からないが。
俺はどこに行って誰にその話を詳しく説明して貰えばいいんだ?
あとどうして俺が元々決まっている後継者とわざわざもめ事を起こさないとなんだ?」
「私も話を聞いたのは妖精さんだけにですから。……神社に行ってみます?」
「こちらの意見を聞かないのが気に食わんから、しらばっくれる……のも相手は神主。
一応、子供の頃は世話になったからな。狐の話で。」
「どうされるんです?」
「話の流れとして。俺と胡桃が結婚するのは決定事項だろう。」
「そうですね。それで後継者争いがあるんですから。」
「神前婚はここの稲荷神社でしたいと思っていた。だから稲荷神社に喧嘩は売れない。」
「はあ……。」
山桜桃さんの声が段々、力がなくなってくる。
「とりあえず親にも事情を話して。
稲荷神社に行ってきたらまたこっちに戻って再説明でもするか。」
「さすがに親御さんの意見まで無視は出来ないでしょうからね。」
「あの神主だからな……何でこちらの意見を飲ませようとするか分からんぞ。」
「どんな人なんですか、神主さんは。……あ、でも。あなたの親族なんですよね?」
「そうだが? 親戚と言っていいのか分からないくらい、家系は複雑だが。」
「あ、いえ。何でもありません。」
山桜桃さんは言おうとして呑み込んだようだ。言いたくなさそうだから深く探らないでおこう。
「一応、親にも言ってみるか。」
「そうですね。正宗さんの両親に合意もなしでそういうことはしないはずですから。」
「向こうさんにも断って貰えればいいんだが。」
俺はまだ、この時、自分の中に流れている血も、力も把握していなかった。それが山桜桃さんと胡桃とで行為を重ねていくうちに増えていくのも知らなかった。それで俺はどうしようもなくなるのだが。知らなかったからこんなことが思えていたのだろう。今になって思えば、随分と気の抜けた話である。
・・・・・・。
「あんた、神社で何をしてくるの?」
「いや、詳しい話は知らなくて。霊威比べをして跡取りになって来いとか。」
「え……。」
朝ごはんの時間。両親に話したら母に詳しく状況を聞かれたが俺もまた聞きのため、ボヤっとした回答になる。
「ええと、話が全然、見えてこないんだけど。霊威って何? 力比べでいいの?」
母親にはそこから説明しないとだった。
「すまない母さん、俺は狐から霊威を貰っているんだが。
その力を向こうも持っていて、それを比べるのだ。」
「ふーん。」
母親は訝しむ表情でいるが。
「私は、アンタの狐に関することは何にも干渉しないことにしているの。
だから神社にでもどこにでも行ってきな。」
「えっ。そこは親として止めるところじゃないのか?」
「止めて欲しいの?」
「うう……む。正直なところ、どっちにしていいか悩んでいる。」
「ふーん。アンタが分かんないんじゃ私にもどうしようもないね。
いいから行ってきて、それで話を聞いてから行くか止めるか決めな。」
「それもそうか。というか、そこまで話を進めてしまっていいのか?」
「アンタ、就職先、決まっているの?」
「む……う。この都市で職に就きたいとは思っているのだが。」
「じゃあいいんじゃない?」
「いいのか? 父さんはどうなんだ。」
「どうなんだって。私たちが行くなと言ってどうにかなるものなのか?」
「俺も正直、よく分からない。」
「行かなかったらまた、大変なことにならないのか?」
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という訳で、両親の心の広い(?)承諾も得て、結局、行く羽目になった。
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