狐の嫁入り

白石華

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狐の嫁入り

山桜桃さんと交わって

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「もぐもぐもぐ。パンはうまいな。」
「もぐむぐ。うむ。言葉を忘れるほどだ。」
「つい張り込んで、たくさん買っちゃいましたが……すぐになくなっちゃいそうです。」

 夜。家に帰ると俺の自室で冬はこたつになるミニテーブルを囲んで俺が説明したパンで欲しいものを一通り買い、またみんなで食っていた。

「飲み物もコーヒーかお茶、ハーブティーにソフトドリンクと。
 何か凝れば良かっただろうか。」
「そこまでしていただかなくても大丈夫ですよ。」
「うむ。歓迎会のようなものも兼ねられればと思ったのだが。」
「正宗。お前の家は造り酒屋だろう。そこから買うというのはどうだ。
 今でなくてもいい。その内だ。」
「そうだな……与えても大丈夫そうなのと言ったら、葡萄ジュースか。もしくは甘酒か。」
「甘酒! いいな! 大好きだ!」

 胡桃がぱあっと明るくなる。既に気分はペットにうまいものをちらつかせて懐かせようとする飼い主の気分だが。胡桃は人というよりペットに感覚は近い。しかしペットだって家族なのだ。

「よーしよし。手伝いをするようになったら買わせて貰おうな。」
「そうだな!」
「手伝いと言っても、家の手伝いの他に何があるんです?」
「それは俺の親次第だが、大体、酒屋の売店の方の手伝いでいいと思うぞ。
 醸造の方は……土着神とは言え神が介していいものか。
 それに専門性もあるからな。」
「ですね。」
「そうだな。神の醸した酒をニンゲンに売るのは気が引ける。」
「だろう。家事と店を手伝ってくれるだけでも母は助かると思うぞ。」
「もぐもぐ……こくん。」

 みんなで食べながら話していると、山桜桃さんが食べ終えたようだ。

「という訳でですが……。正宗さん。」
「う、うむ。」

 まだこの人に見られると緊張してしまう。

「今夜は私の番……でお願いします。」
「そうだな。山桜桃さん。俺はどうすればいい?」
「私がリードしていいんですか?」
「リードも何も、狐との交わり方は山桜桃さんに聞かないと何もわからないだろう。」
「ですね。ん……。」

 山桜桃さんが目を閉じるとチャイナドレス姿になる。しかも狐の耳と尻尾が生えた。尾てい骨辺りに穴が開いてそこから尻尾が通り、モフモフしていそうな尻尾をくねらせている。

「狐耳と尻尾があった方が、正宗さんも触れやすそうでしたから生やしますね。」
「うむ。モフっていいか?」
「ふふふ……。お手柔らかにお願いしますね。
 まずは私に触れて……感じ方を見てください。」

 山桜桃さんはベッドに横になると俺の方を見る。

「さあ、正宗さんも。」
「う……うむ。」

 俺もベッドに乗るが、俺のベッドに人が乗って、その横に俺も乗るのがまだ落ち着かない。

「あなたが狐を愛撫すると思って、そんなに緊張されないで。」
「まずは山桜桃さんが狐になってはどうだ?」
「いやです。狐耳と尻尾は生やしているんだから。
 たっぷり数時間はそうしていたら深夜になってしまいますよ。」
「確かに。ふーむ。」

 俺は昨日の山桜桃さんの様子を思い返してみる。モフい外見は大人の狐もボリュームがありそうだが、昨日の山桜桃さんは伏せっていたのも回想してしまった。

「山桜桃さん、体調は大丈夫なのか? 伏せっていたのは何だったんだ。」
「あれは、信仰されずに神性を失い。
 野生の狐に戻りかけて、生を終わらせる間際だったんです。」
「今はどうなんだ?」
「ほぼ霊体ですが、正宗さんに憑りつく予定ですし、生を終えても依代をお願いすれば。
 それに信仰もされていますから霊体でも霊威もありますし実体化はやれています。」
「つまり?」
「正宗さんがご存命の間か、もしくは胡桃と二人きりになりたいと二人が思わなければ。
 その間はいられると思いますよ。ほぼ霊体ですが。」
「俺が依代が可能なのは、山桜桃さんと胡桃とで交わるからか?」
「それに稲郷家の血も含まれるでしょうね。
 ニンゲンだけでなく狐の血も引き、霊威を授けやすく、子もなしやすい。
 子をなしやすいのは関係ありませんが。
 依代として狐の身体じゃなくても憑りつきやすいというのはあります。」
「そういうことか。ということはこれからの行為も大丈夫と。」
「はい。どうぞいらしてください。」
「うむ……。」

 俺は自分のベッドに膝で登ると。山桜桃さんに覆い被さろうとする。まずは耳を尻尾を撫でるように。

「はぁ……ああっ、はふっ。んん……っ。」

 山桜桃さんの声は艶を帯びた甘い声だ。胡桃は凛々しくしようとしても耐えきれない声だった。どちらもいいと思うが、山桜桃さんは慣れている感じがする。感じていても、そんな自分でも余裕がある。

「ふふ……正宗さん。今度は正宗さんにも流し込むから。
 正宗さんにも感じて貰いますよ。」
「えっ……?」

 そんなことは全く予想していなかったから言葉に詰まった。

「さあ、お顔をこちらに。」
「う……。」

 さっきの乱れていた胡桃を思い浮かべてしまうも、逆らえないようにゆっくりと唇を山桜桃さんの方へ……。

「ちゅ……。」
「ちゅ。ふふ……れるっ。」
「むっ。だ、だから胡桃もそうだが舌を突然入れるんじゃ。……うっ。」

 山桜桃さんに唾液を流し込まれ、うろたえている内に身体に電流のようなものが走る。

 ドクン、ドクン、ドクン。

 身体の血流が巡るのを感じ取れる。

「うう……あっ。これは一体。」
「少しだけ、力を授けました。身体の中に篭るかもしれませんが慣れれば平気になります。」
「授けられるとどうなるんだ。」
「ニンゲンには余る力だと思いますが。
 あなたには災厄から身を守る加護しか扱えないはずだから大丈夫です。
 胡桃に移して貰うと言ったでしょう。胡桃と行為もされてください。
 一度に与えると身体が耐えられないかもしれないから、少しづつです。」
「ふむ。現に今でも身体が熱を持っているからな。それで結局、俺はどうなるんだ。」
「胡桃と行為をするまで……。こんな感じ?
 もしくは私と行為をしても少しは違うかも。」
「何でそんなことをするんだ。」
「胡桃と行為をして貰うためです。」
「確かに同意はしたがこうなるとは聞いてなかったぞ。」
「最初だけですから。それに、あなたが胡桃にしたのも、身体はこうなるんですよ。」
「む……。」

 知らなかったとはいえ、俺は胡桃に結構してしまった気がする。しかもノリノリで。

「胡桃、そうだったのか?」
「うむ。しかし知らなかったんだから説明しなかったこちらの責任だ。すまなかった。」
「うーん。まあいいか。続けよう。山桜桃さん。」
「胡桃に直接、授けられないのは加護と信仰の関係の対象じゃないからです。」
「娘の狐神でも無理なのか。」
「それもありますが、加護と信仰の関係の方が効果があるんです。」
「そのメカニズムは分からないが、そういうことだと思うことにしよう。」
「はい、それでお願いします。」
「ああ。期間はどのぐらいなんだ?」
「そうですね。まだ何にも言えない段階です。
 途中で私の力が尽きないように私にもお願いしますね。」
「それも善処しよう。」
「はい。続けていいですか?」
「ああ……んるっ。」

 再び山桜桃さんに舌を咥内に入れられ。隅々まで探られるように舐め尽くされていく。

「ゆ、山桜桃さん。何もそこまで。」
「いいえ。あなたの身体をよく知っておかないと。」
「う、うう……。」

 満遍なく、舌で咥内を探られ、舌が絡むとれろれろと絡みついてくる。

「それでは、霊威、送りますね……。」
「あ、あああっ。」

 今度は舌から全身に痺れが広がるようになる。粘膜が絡み合うたびに舌から力が伝わり、血の巡りと熱さもそこから広がっていくようだ。

「ゆ、山桜桃さん……。そのくらいにしてくれないか。
 このままだと、山桜桃さんを力任せに押し倒してしまいそうになる。」
「本当に我慢が決壊するか、試してみたくもありますね。」
「やめてくれ。本当に加減を知らないんだ。」
「ふふふ……ではこのくらいにして、愛撫、お願いしますね。」
「あ、愛撫……。」

 改めて山桜桃さんの姿を見る。今の山桜桃さんは胡桃とは違ってミニのチャイナドレスで太腿がスラリと伸びている。耳も尻尾もモフモフしていそうで、そこに触れてみたくなった。

「んっ……はぷ。」

 狐耳を口に含むと、唇で食むようにして、ついと扱きながら、尻尾を指で絡めるようにして撫でる。耳はコリコリして、ふわっとして。尻尾は毛がモフモフしていた。

「あんまり……そこは重点的にされなくても。」
「いやするだろ。俺は狐と行為をしているんだ。」
「娘のときと同じこと言わないでください。あっ。」

 狐と言えばしなやかな身体つきだが、抱き心地が良さそうな腰からお腹にかけてのラインも撫でていく。

「ん……どうして、そういう所ばかり。」
「狐にとっても気になるのか?」
「最初に触れるところがそういう所ばかりなのかと思ったんです。」
「う、うむ。直接は気が引けてな。」
「そうだったんですね。それなら、どうぞ。触れてみてください。」

 耳や尻尾から、段階を踏んで慣れている内に触れるかと思ったがそうもいかず。話の流れで言ってみたら、スンナリと了解を得られた。

「そ、それでは。」

 恐る恐る、乳房に手を伸ばす。何しろまだ、そういう関係に慣れていない内から触れられるため、心の準備が全くと言っていいほどない。そうそうお目に掛かれない、関わる可能性すらない美女に触っていいと言われてラッキーと思う心の余裕はない。

「ん……。」
「あっ。」

 一旦、耳をまた食んで、そこから乳房にチャイナドレス越しから触れた。

 むにっ、むにっ。

 大きいかと聞かれたら十分、大きい内に入るが、手が乳肉に張り付いてしまったように固くなっている。

「あ、あの。山桜桃さん。」

 緊張しているにも拘らず、俺の怒張は姿を現していた。

「ふふ……胡桃で出した後なのに、お元気なんですね。」
「それは……さっき送った霊威が。」
「あんまり意地悪、言わないでおきますね。なら、こちらにも触れて。」
「あ、あっ。」

 山桜桃さんに乳房に触れていた手を片方、取られて、まだショーツを穿いている股間に導かれてしまう。

 しゅにっ、ぷにっ。 

「あ、あああ……。」

 今俺の掌でしっとりと柔らかい、すべすべした布地に包まれた恥丘の感触を感じてしまっている。

「どうですか? 感触には自信があると思っているんですが。」
「そ、その通りだと思う……。」

 そこを往復しているだけなのに乳房のときと同様に手がそこに張り付いてしまったようにくっついて同じ動きばかりしてしまっている。

「たどたどしいのも、いいものですね。」
「そ、そうなのか。俺は何をしているか自分でも分からない……。」

 俺には手の平にしっかりと肉感として感じ取れる山桜桃さんの感触で頭がいっぱいだった。狐のように細くしなやかた身体つきでも、こんなに肉がついていたのか。

「最初ですからまずはゆっくり、そっと触れるように……柔らかい器官ですからね。
 最初から塩梅を合わせようと思わないで。」
「そ、それは助かる。」

 緊張しているにも拘らず、怒張は熱く硬く、張り詰めるようで実に正直だった。

「ふふ。まずは頂きますか?」
「い、頂くって何を。」
「私が正宗さんに覆い被さるんです。反対側に。」
「そ、それは。」
「その格好で、お互いの秘部を舐め合うのですが、まだ抵抗はあります?」
「う、ううむ。知らない行為に戸惑っただけだ。」

 先ほどからどもっているが、行為を持ちかけられてこうならないはずがない。いつか気軽に話せる日が来るのだろうか。相手が俺の嫁の母親だとそれはないか。

「では今度は私が乗りますね……。」
「あ、ああ。」

 山桜桃さんが俺の肩に手を添え、身体を横に倒そうとする動きに合わせて体勢を変える。

「さ、ほら。まくってください。」
「あ、ああ……。」

 山桜桃さんに覆い被され、お尻の方が俺の顔の前に来ている。いわゆるシックスナインの体勢だ。大きなお尻に被さっているチャイナドレスのスカートの裾を捲ってみた。

「うう……っ。」

 つやつやした、丸くつるんとした見た目のお尻と、同じ肉のはずなのに柔らかそうな太腿。狐の身体だからかしなやかな見た目でも、そこは肉が詰まっているように見える。そしてその奥にはつつましやかな大きさの布地がお尻と股間に食い込むように覆っていた。呼吸による動きや匂いまで感じ取れそうな距離で、俺の目の前にそれはいた。そして、狐だから大きくモフモフした尻尾も。くねくね動いていてかわいい。

「途中まではいい雰囲気だったのに、尻尾を躊躇なく触りましたね。」

 山桜桃さんも気付いたのか。

「仕方ないだろう。」
「こほん。ほどいて……ください。」

 俺に促してくる。

「あ、ああ……。」

 はやるように腰に結ばれていたパンティの紐を解いていく。

 しゅる……っ。

 片方だけ紐が解けると、僅かに湿り気を帯びた秘裂が顔をのぞかせる。化けた狐にとって形状や色はさして関係ないものだと思うが、狐の素肌のような柔かそうで形の整ったピンク色をしていた。

「この後の行為がしやすいように舐めて、触れてください。」
「承知した。」
「その代わり、あんまり強くはされないように……愛撫ですから。」
「そうなんだな。」

 既に俺は山桜桃さんの色香を前に、行為に没頭していた。乗ってしまっている。

 ……ぷにゅん。

 お尻を掴んで開くようにして花弁に触れると、見た目よりも柔らかくスベスベした質感の肌の奥にある、滑らかな花弁。押して触れるとプ二プ二している。

「撫でれば蜜が出るというのは不思議だな。」
「快感、というより、刺激を受けると分泌でそうなると思って頂ければ。
 後は体質ですが私たちはニンゲンと行為をするためにも化けていますから。
 濡れやすい方が便利なんです。」
「痛みはない方が便利だろうな。」
「はい。……んっ。」

 ちゅに、ちゅに……。

 撫でている内に山桜桃さんの花弁から蜜が出てくる。俺の行為でも分泌していくのを目の当たりにすると、もっと、そうさせたくなってくる。

「はああ……あんっ。」
「山桜桃さん、強さはこのくらいでいいのか?」
「ええ。これなら、もっと奥までそうされてもいいですよ。」
「そ、そうなのか。」

 これからの行為に心がはやる。

「ん……。」

 花弁の奥に指先だけを入れクチュクチュとかき回していく。山桜桃さんの言う通り、強くしすぎないのを念頭に置きながら。

「ハアッ、く、くすぐったいですね。」
「ど、どうすればいいんだ。」
「いえ、それでいいんですよ。そうですね。せっかく顔を近づけているのだから。
 それでしたら舐めてもみてください。そうしたら、始めましょう。
 私たちは、お互いにそうする体勢でいるのですから。」
「そうだったな。れるっ。」

 もとは狐の花弁だったのもあって躊躇なく舌を這わせてしまう。

「んっ。あ……はあっ。あんんっ。」

 山桜桃さんがピクリ、ピクリと身体をひくつかせている。最初の拙い行為でもそうなれるのは、やはり霊威が伝わっているからだろうか。

「ふふ……覚えたら、胡桃にも、そうしてあげてくださいね。」
「ああ……んっ?」
「ちゅる……れるっ。」

 ようやく舐めるところまで迎えられたと思ったら、山桜桃さんにも俺の肉棒を舐められてしまう。

「男の人のは……ここから出るんですよね。」

 手の片方は肉竿を掴まれ、もう片方で袋まで握られてしまった。しかも、シッカリとニギニギされてしまっている。

「ふふ、我慢できそうにありません。ごめんなさい……ね。ちゅうっ。」
「ぬ!?」

 びゅく、びゅっ、びゅっ。

「んん……ちゅっ、ちゅっ。男の人の……何十年ぶりかしら。」

 山桜桃さんにチュッと吸われたと思ったら、全身に快感が走り、あっという間に放ってしまった。余さず吸い取られ、今も先端を咥えられ。吸い取られている。

「ゆ、山桜桃さん。霊威を突然、流し込まないでくれ……。」
「だから謝ったじゃないですか。正宗さんには霊威は入っているから。
 まだまだやれるはずですよ。」
「う、うむ。」

 確かに一度放出したら、さっきの衝動はちょっと楽になったし、まだやれそうである。

「二回目、いくか。」
「はい。」

 二回戦が始まった。

「ふふふ……さっきの。もう一回してもいいですか?」
「間をおいて欲しい。」
「ん……れる、れるっ。」
「だ、だから舌でつつくのは止めてくれっ。あ……っ。」

 びゅく、びゅびゅっ、びゅびゅっ。

「ごめんなさい。強すぎたみたいですね。」
「う、うう……。」
「調節、してみていいですか? 霊威は流し込んでいるから。」
「もう好きにしてくれ……ぐあっ。」

 びゅびゅびゅっ、びゅっびゅっ。

 さっきから俺の樹液が性器の機能の限界を超えた活動をしている。霊威って便利だな。

 びゅっ、びゅびゅっ、びゅっびゅっびゅっ。

 そうしている内にまた放出していた。

「山桜桃さん、気は済んだか?」
「もうちょっと、いいですか?」
「うむ。」

 ・・・・・・。

「はあっ、はあっ。ゆ、山桜桃さん。いくら霊威を交換しているからと言っても。
 さすがにもう解放してくれないか……。」
「ちゅぱ、ぺろっ、ぺろっ。だって……こんなにするのって久しぶりだから……。」

 たっぷり数時間は山桜桃さんに搾られ続けていた。放出した回数は……五十を超えた辺りで忘れてしまった。

「も、もう次は俺もするぞ!」
「ええ。そうしてください。」

 ・・・・・・。

「ううむ。」

 いざしてみるとなると、シックスナインの体勢から、狐の尻尾からは手が近いものの、俺は山桜桃さんの性感帯を全く知らなかった。

「正宗さん、私、また……。」

 既にハンターとなっている山桜桃さんの声が声こそ穏やかだが扱いている手が数時間に渡る行為の結果、俺の性感帯はシッカリ知られていた。握る手つきも強さも位置も。

「ま、待ってくれ山桜桃さん。最初はゆっくり……丁寧に撫でればいいんだっけか。」

 捕食される側は蠱惑的な状況であっても、愉しむ余裕もなく。俺は花弁をゆっくり往復していった。

「きゃふっ……少し、くすぐったいです。」
「続ければいいのか?」
「そうですね。直に触れてこれなら、ちょっとしつこいぐらいに小刻みに往復しても。
 あ、力は弱くしてくださいね。」
「ふむ。」

 俺は言われるまま、山桜桃さんの花弁を、肉芽と、花口の入り口までとで分けて、小刻みにしつこく往復してみた。

「んっ、んんっ。ああ……きゃうっ。」
「うっ?」

 山桜桃さんが感じたような声を発した瞬間、俺にも電流のような刺激が走る。この刺激は身体に刻み込まれているが恐らく霊威が流れ込んだのだろう。

「ゆ、山桜桃さん。俺が山桜桃さんを感じさせても霊威は流れ込むのか?」
「ええ。こんなに正宗さんが感じていたら行為にならないと思うから。
 なるべく抑えるつもりではありますが、それでも……。」
「うむ。その、なんだ。探り当てた途端に自爆するような気持ちになるからな。」
「はい。私も抑えられるかどうか。あふっ。」
「ん……。」

 山桜桃さんの窪みに指を引っかけて、小刻みに揺すったところで声を出したが、今度は霊威が流れ込んでこなかった。

「正宗……さん。舐めてみて貰ってもいいですか?」
「ん……ちゅ。んんっ。」

 唇が山桜桃さんの花弁に触れたとたん、唇がくすぐったくなる。

「粘膜どうしが接触するときは、少し来るみたいですね。」
「ああ、でもこのくらいならくすぐられたのとそんなに変わらない。」
「それなら続けてみてください。」
「うむ。ん……ちゅぱ、ちゅる。んっ。」

 少し飲んでしまったが、やはり咥内が痺れるような感覚になる。山桜桃さんの肉芽に触れながら入り口を舐め啜ってみる。

「んあっ、あっ、きゃふっ、きゃふっ。」
「んっ。ちゅる。れろっ、れるれるっ。」
「あっ。んん……もう少し、もう少しですからっ。はあっ……んうっ。んんっ!」

 山桜桃さんの身体がさざ波が起こり、それが全身に広がるように痙攣を始める。

「ようやく……山桜桃さんを。ぬうっ!?」

 あれだけされた後だと達成感もひとしおだが、気を抜いた瞬間に電流が走った。

 ビュルッ、びゅるるビュルッ。

「うあ……また、出てしまった……。」
「ええと、正宗さん。」

 山桜桃さんが俺におずおずと尋ねてくる。

「キリがないから、行為に移りましょうか?」
「そうだな、させてくれるならその方がいい。」

 という訳で、散々絞られた挙句、山桜桃さんと行為をすることになった。

「さあ、正宗さん、いらしてください。」
「山桜桃さんも後ろからなのか。」
「はい。狐との交わりですから。別に人間に化けているから体位が変わってもですが。
 最初は後背位からにしましょう。」

 山桜桃さんが四つん這いになって、俺が覆い被さるのは……見た目の印象がとても……しなやかでスラリとしているのに、肉感的なお尻と太腿に目が行ってしまう。後背位なんだから仕方ないな。フサフサとした尻尾も愛らしくていい。

「ふふふ……見るのはお尻だけですか?」
「あ……。」

 大きなお尻を眺めていたが、山桜桃さんがチャイナドレスの襟のボタンを外し、片方だけ乳房を露出させる。ぷるんと大きく揺れる、たっぷりと肉の詰まった乳房は弾むように開いた襟から出てくる。

「さ、ほら。直に触れたことはないでしょう?」
「う、うむ。確かに。うむ……。」

 山桜桃さんが肘をついて身体を崩してお尻を突き出すような体勢になる。

「来てください……正宗さん。あっ。」

 俺も前に倒れるように山桜桃さんに身体を付けると乳房をギュッと掴む。不思議な感触だった。どこまでも柔らかくて、すべすべで、先に向かって尖っていき、頂の所はその中でもひときわ周りは柔らかいのに先端だけが固くしこっている。いつまでも触れていたくなるような柔らかで、むにゅんとした肉。しっとりした肌が暖かくてぴったりと付くようだ。 

「ん、っ、んんっ、んっ。あ……っ。」

 いつの間にか俺は固く勃起した肉棒を擦り付けながら山桜桃さんの乳房を揉みしだいていたようだった。乳房の感触で意識をそこに奪われてしまっていた。これが乳房というものか。

「このまま一回、出されます?」
「ここにたどり着くまでに何回出したと思っているんだ。このまま入れる。」

 俺はにゅるっと山桜桃さんから肉棒の位置を変え、山桜桃さんの花弁に宛がう。

「当てたら腰を沈めて、あまり力は入れすぎないでくださいね。」
「そうなのか。」

 それだったら胡桃の前に山桜桃さんで加減を知ったほうがと思ったが、許嫁と先に行為を教えたかったのだろう。順番というものがあるからな。気を取り直して山桜桃さんの花弁を開かせていくと。胡桃ほどは固くないが、やはり久しぶりと言っていたからか開くのもゆっくりな気がする。

「んん……そのくらいでお願いします。あっ。」

 先端が山桜桃さんの中をめり込み奥まで沈んでいく。

「そのまま……奥までお願いします。」
「あ、ああ。奥まで。」

 さっきの胡桃との様子を思い出してしまう。かっちりと嵌って、奥を突き続けて大量に注ぎ込むのか。

「ううっ。」

 想像したらぶるりと震えてしまった。

「さあ、奥まで。」
「ぐ、う。……ぐううっ。」

 先にいくほど狭まっていき、入ったと思ったら収縮が始まる。入り口自体はそこまできつくなかったが、山桜桃さんは奥の方できつくなっているところと緩いところがあって、収縮が生き物のようである。かっちり奥まではまっても、これでは俺が常に緩急をつけて締められていそうである。

「んっ、ああっ!」

 奥に引っかかると、子宮を押されたのか山桜桃さんが声を出した。

「うっ!?」

 ワンテンポ遅れて、俺の方にも刺激が走る。

「ゆ、山桜桃さんも子宮がその……いいのか?」
「ふふ……、そうですね。貫かれるのもそうですが。
 子宮にまで届けてくれるほど、男の人ので奥まで満たされる感じが……んっ。」

 山桜桃さんが答えきる前に、また突いてしまっていた。

「ううっ。うおっ。ゆ、山桜桃さん……。」
「んんっ、あっ、ああっ。い、いっぱい突いて、だ、出してえっ。あうううっ!」

 山桜桃さんも行為には案外乗り気なのか、最初から乗り気だったが何となく野生特有の気品というか、人間には完全に心は許さないという気概があったように見えたが、俺に力を移す理由以外にも本人(狐)も愉しんでいるような気配がする。俺としてはコンちゃんと行為をしているから、そう思ってくれるのは全くもってオーケーでウエルカムでオープンである。

「んあっ、あっ、きゃうううっ!」

 奥にピッタリと嵌り、肉棒の先端が引っ掛かると、俺が出るまで山桜桃さんの子宮を刺激し続ける行為になる。

「つ、突き続けてっ、い、いいのか? 山桜桃さん……っ。」
「きゃうっ。あっ。つ、突いてください。でも、気持ちいいように、お願いしますね。」
「気持ちいいって、霊威を流し込めばいいのか?」
「それもありますが、突き方の加減の話です。」
「そうか。難しく考えすぎた。」

 言われてみれば俺と山桜桃さんは狐との行為を俺に教えるためにしているのだった。霊威と言っても俺はまず身体に流れ込んだ霊威の出し方もサッパリなのだった。

「こんな感じで……どうだ?」

 そんなに力は込めずに、腰にスナップを利かせるように小刻みに突いていく。

 ぱちゅんっ、ぱちゅんっ、ぱちゅんっ。

「んっ、ああっ。きゃうっ、きゃううっ。あ……っ、んんっ! はあっ、あっ。
 今は……正宗さんもどうですか?」
「うむ。ビリビリ来ている。」

 山桜桃さんの締まりもそうだが、山桜桃さんの刺激が俺に返ってくるようだ。

「正宗さん、そろそろ……出したいんじゃないですか?」
「ん? 確かにそうだが。」
「正宗さんが出されたら……正宗さんがどうなるか見てみたいかも。」
「何でそんなもの見たがるんだ。」
「私だけというのは案外つまらないものなんですよ。」
「ん……。」

 さっきの胡桃の行為を回想したが、胡桃はどうなんだろう。そんなことを思う余裕すらなくなり俺の中で吐き出したがっている迫りが濁流のように押し寄せている。

「ん……っ。きゃふっ。」
「うっ。」

 若干。漏れ出てきたようだが。それが呼び水となって俺と山桜桃さんに刺激が流れ込む。

「ぐううっ、んっ、うう……っ、ぐあっ。」

 びゅっ、ずびゅびゅびゅっ、びゅぐぶぶぶびゅっ、ずびゅっずびゅっ。

「ぬあっ。また、これは……。」

 吐き出し続けるのもそうだが、それが自分にも返ってきて勢いを増した分、更に来るというどうにもならない刺激がやってくる。

「あっ、あっ。きゃあああんっ、きゃうっ、きゃうっ、きゃああんっ!」

 山桜桃さんの方は背筋を反らしたままビクンビクンと痙攣し続けている。

「あっ、こ、こんなにだったなんて……っ。きゃんっ。」

 山桜桃さんも胡桃みたいに最後はどうしようもなくなっているようだ。俺もだが。

「ま、まだ終わらないのか。そろそろ俺は……。」
「あ……。」

 未知の刺激に耐えきれず、失神するように山桜桃さんに倒れ込んでしまう。

「う……。」

 俺の意識はそこで尽きた。

「ん……っ。」

 山桜桃さんなのか胡桃なのか、誰かに覆い被され、寝かされたような気がしたが、意識が落ちてしまっていて、起きる頃にはすべて忘れてしまっていた。
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