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「どうした?楽しかったのだろう?」
クリストファーが怪訝そうな顔をしてミルアージュを覗き込んだ。
レンドランドと義母を訪ねた後、ミルアージュはクリストファーとワインを飲みながら今日の出来事を話していた。
その途中でミルアージュが難しい顔をして考え込むのをみてクリストファーは口を挟んだ。
「楽しかったわ。すごく歓迎してくれたし。」
「うん、関係が修復できて良かったな。」
少し沈んだ声のミルアージュにクリストファーはミルアージュの手を握った。
「お母様もレンドランドも私を誤解していたと何度も謝ってくれたのよ。でもそう見せていたのは私だわ。」
「そうだな、ミアは嫌われるように振る舞っていたな。」
「そう、あの時はそれが当然だと思っていたの…だけど、間違っていたのかもしれない…きちんと話しておけば、レンドランドやお母様を苦しめる事はなかったのかもしれない。」
ミルアージュはクリストファーの手を握り返した。
ミルアージュは義母に歓迎された。
だが、それ以上に何度も謝罪を受けた。
「本当にごめんなさい。私はあなたもレンドランドの事も理解していなかった。王族として生まれ育ったのに王族の責任と義務について何も考えてこなかった私は愚かだったわ…」
そう言って涙を流しながら謝罪する義母の姿を見てミルアージュは心を痛めていた。
大国で父王に愛され育てられた元アンロック女王は争いや政治に疎かった。
ミルアージュはレンドランドと後継者争いをしたくなかった。
義母には政治に巻き込まれないところで穏やかに過ごしてほしかった。
だからこそ、悪役に徹して距離を取ったのに。
結果、レンドランドは自殺未遂、義母は引退後も自責の念を持ち続ける事になってしまった。
「ミアが責任を感じる必要はないと思うがな。表面しかみていなかった奴らが悪い。」
クリストファーはそう言い切ったが、ミルアージュはそう思わなかった。
きちんと話をしていれば、レンドランドへの引き継ぎだってスムーズにいっただろうし、義母があそこまでミルアージュに対して自責の念を持たなくてもよかったかもしれない。
そんなミルアージュを見透かすようにクリストファーはため息をつく。
「ミア、この世には自己中心的な奴らも多い。だが、そうじゃない者たちも同じくらいいる。そういう者たちは人を不幸にして幸せにはなれない。レンドランド殿や義母上のようにな。」
「私が勝手にした事なのに…」
「じゃあ、レンドランド殿が自殺しミアが王位についていたらミアは幸せになったか?レンドランド殿はあの時、それが最善だと思っていたはずだ。」
ミルアージュは首を横に振った。
クリストファーはミルアージュに知っていて欲しかった。
自分の命を粗末にするミルアージュもそんなレンドランドと同じだと。
そう何度、念押しをしてもクリストファーは全く安心できなかった。
「この世は綺麗事だけではない。だが、人の犠牲の上で手に入れたものでは、人は本当の意味で幸せになんかなれない。だからミアも考えていこう、誰かを犠牲にする最善ではなくて、その他の選択肢を探そう。もちろんミアも犠牲にしない選択だ。」
ミルアージュは黙って話を聞いていた。
今日のレンドランドと義母の様子がよほど堪えたのだろう。
徐々にだが、ミルアージュも考えを変えてきている。
あと一押しか?落ち込みすぎたら困るが…
これでミルアージュが考え方を変えてくれれば儲け物だとクリストファーは思った。
クリストファーは口では他者の幸せについて言っていたが、心の中では他者などどうでもよかった。
ミルアージュが幸せになるなら誰を犠牲にしても罪悪感など抱かない自信があった。
だが、ミルアージュが幸せになる為には皆が幸せでいる必要がある。
だからこそ、クリストファーは皆の幸せを願うだけだ。
クリストファーが怪訝そうな顔をしてミルアージュを覗き込んだ。
レンドランドと義母を訪ねた後、ミルアージュはクリストファーとワインを飲みながら今日の出来事を話していた。
その途中でミルアージュが難しい顔をして考え込むのをみてクリストファーは口を挟んだ。
「楽しかったわ。すごく歓迎してくれたし。」
「うん、関係が修復できて良かったな。」
少し沈んだ声のミルアージュにクリストファーはミルアージュの手を握った。
「お母様もレンドランドも私を誤解していたと何度も謝ってくれたのよ。でもそう見せていたのは私だわ。」
「そうだな、ミアは嫌われるように振る舞っていたな。」
「そう、あの時はそれが当然だと思っていたの…だけど、間違っていたのかもしれない…きちんと話しておけば、レンドランドやお母様を苦しめる事はなかったのかもしれない。」
ミルアージュはクリストファーの手を握り返した。
ミルアージュは義母に歓迎された。
だが、それ以上に何度も謝罪を受けた。
「本当にごめんなさい。私はあなたもレンドランドの事も理解していなかった。王族として生まれ育ったのに王族の責任と義務について何も考えてこなかった私は愚かだったわ…」
そう言って涙を流しながら謝罪する義母の姿を見てミルアージュは心を痛めていた。
大国で父王に愛され育てられた元アンロック女王は争いや政治に疎かった。
ミルアージュはレンドランドと後継者争いをしたくなかった。
義母には政治に巻き込まれないところで穏やかに過ごしてほしかった。
だからこそ、悪役に徹して距離を取ったのに。
結果、レンドランドは自殺未遂、義母は引退後も自責の念を持ち続ける事になってしまった。
「ミアが責任を感じる必要はないと思うがな。表面しかみていなかった奴らが悪い。」
クリストファーはそう言い切ったが、ミルアージュはそう思わなかった。
きちんと話をしていれば、レンドランドへの引き継ぎだってスムーズにいっただろうし、義母があそこまでミルアージュに対して自責の念を持たなくてもよかったかもしれない。
そんなミルアージュを見透かすようにクリストファーはため息をつく。
「ミア、この世には自己中心的な奴らも多い。だが、そうじゃない者たちも同じくらいいる。そういう者たちは人を不幸にして幸せにはなれない。レンドランド殿や義母上のようにな。」
「私が勝手にした事なのに…」
「じゃあ、レンドランド殿が自殺しミアが王位についていたらミアは幸せになったか?レンドランド殿はあの時、それが最善だと思っていたはずだ。」
ミルアージュは首を横に振った。
クリストファーはミルアージュに知っていて欲しかった。
自分の命を粗末にするミルアージュもそんなレンドランドと同じだと。
そう何度、念押しをしてもクリストファーは全く安心できなかった。
「この世は綺麗事だけではない。だが、人の犠牲の上で手に入れたものでは、人は本当の意味で幸せになんかなれない。だからミアも考えていこう、誰かを犠牲にする最善ではなくて、その他の選択肢を探そう。もちろんミアも犠牲にしない選択だ。」
ミルアージュは黙って話を聞いていた。
今日のレンドランドと義母の様子がよほど堪えたのだろう。
徐々にだが、ミルアージュも考えを変えてきている。
あと一押しか?落ち込みすぎたら困るが…
これでミルアージュが考え方を変えてくれれば儲け物だとクリストファーは思った。
クリストファーは口では他者の幸せについて言っていたが、心の中では他者などどうでもよかった。
ミルアージュが幸せになるなら誰を犠牲にしても罪悪感など抱かない自信があった。
だが、ミルアージュが幸せになる為には皆が幸せでいる必要がある。
だからこそ、クリストファーは皆の幸せを願うだけだ。
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