86 / 87
第3章
リーナとヴォルティスの幸せ(ヴォルティス視点)
しおりを挟む
リーナの故郷や穢れの森は何もない草原になっていた。
リーナの浄化により穢れがなくなった為、かつての穢れの森を知っている人もいないのかもしれない。
リーナの家族が眠っている石の前にリーナは立つ。
リーナはもう家族が転生しているのを知っている。ミラージュが知られてくれて見に行ったことがある。
家族4人で笑っている姿を見てリーナは良かったと涙を流しながら笑っていた。
それからも時間が経っている為、死んで別の生を生きているはずだ。
それでもリーナの家族はここで死んでここで眠っているのだろう。
「みんな、私はルティと幸せだよ。みんなも幸せに生きて。」
リーナはしばらくその場に立っていた。
そんなリーナの横で黙って見ているしかできなかった。
その後に街に言ったが、名物のお菓子は無くなっていた。
時間が経ち過ぎて街は完全に雰囲気を変えていたらしい。
行き慣れていたリーナですら迷子になっていた。懐かしさなどない知らない街なのだ。
もっと早く連れて来ていれば良かった。
リーナの望みすらまとも叶えられない。
「すまない、もっと早く来ていれば良かった。」
謝るしかできない。
「お菓子がなかったのは残念ですけど、望みは叶いました!ルティと幸せに生きているのをみんなに報告できたし、ルティと会うきっかけの街に一緒に来ることができたのはとても嬉しいです。」
リーナは嬉しそうに笑った。
「きっかけの街?」
「そう、この街でラハールさんと出会って聖女を目指す事になったんです!」
はしゃいでいるリーナは出会った時のような笑顔を向けてくれた。
リーナは出会った時よりだいぶ落ち着いていた為、こんなリーナを見るのはめずらしい。
そうか、ラハールがリーナを見つけたのはこの街だったのか。
ラハールがリーナを神殿に連れて来なければ出会うこともなかった。
ラハールにもこの街にも感謝しかない。
ヴォルティスはリーナの欲しがったお菓子の情報を探して回ってリーナに秘密で作った。
リーナの望みを全部叶える事がヴォルティスの望みで楽しみだ。
リーナはそのお菓子をみて泣きながら喜んだ。
「お菓子よりその気持ちがうれしい」と。
そんなリーナの嬉しそうな顔をみると私自身幸せを感じる。
リーナの幸せを考えるのは自分が幸せになる為に必要な要素だったのだ。
リーナに自分の思いを押し付けて不安になっていた時よりずっとずっと幸せだ。
1つずつリーナの望みを一緒に叶えていく。
マークバルダやラリーン、ノルアとも久し振りに会った。
皆が笑い、リーナが笑う。
もう嫉妬という感情に縛られる事はない。
リーナと共にこれからも必要なものだと思えば、その時間も良いものだ。
「お母しゃん!」
まだ十分に発音もできないリリアが嬉しそうにリーナに飛びつく。
リリアはいつも元気で走り回っている。
「リリア、もうびっくりしたわ!」
リーナもリリアを抱きあげ、笑いあっている。
私はそんなリーナとリリアの様子をみて幸せを噛みしめ、リリアが生まれる前の出来事を思い返した。
リーナの最後の望み‥
『ルティとの子どもがほしい』
これが一番叶えるのが難しい望みだった。
神である自分には神や人を創り出す事はできても人のような生殖機能がない為、子は成せなかったのだから。
「書いてみただけです。私達の子のノルアもいるし、寂しくはないですよ!」
明るく笑ってくれたが、リーナの強い望みなのだろう。
叶わないとわかっていながらも書いたのだから。
そのリーナの強がった笑顔を見て私は人になる決意をした。
そうすればキースのようにリーナの望みを叶えられる。
リーナと生きる時間が短くなるが、リーナと夫婦になり、子どもがうまれて、家族で生きて死ぬのも悪くない。
愛しているの言葉では言い表す事もできない。
リーナが私の全てだ。
リーナが笑って横にいてくれるのが私の一番の望みなのだから‥神であろうと人であろうとリーナと共に過ごせるならどちらでもよかった。
リーナの浄化により穢れがなくなった為、かつての穢れの森を知っている人もいないのかもしれない。
リーナの家族が眠っている石の前にリーナは立つ。
リーナはもう家族が転生しているのを知っている。ミラージュが知られてくれて見に行ったことがある。
家族4人で笑っている姿を見てリーナは良かったと涙を流しながら笑っていた。
それからも時間が経っている為、死んで別の生を生きているはずだ。
それでもリーナの家族はここで死んでここで眠っているのだろう。
「みんな、私はルティと幸せだよ。みんなも幸せに生きて。」
リーナはしばらくその場に立っていた。
そんなリーナの横で黙って見ているしかできなかった。
その後に街に言ったが、名物のお菓子は無くなっていた。
時間が経ち過ぎて街は完全に雰囲気を変えていたらしい。
行き慣れていたリーナですら迷子になっていた。懐かしさなどない知らない街なのだ。
もっと早く連れて来ていれば良かった。
リーナの望みすらまとも叶えられない。
「すまない、もっと早く来ていれば良かった。」
謝るしかできない。
「お菓子がなかったのは残念ですけど、望みは叶いました!ルティと幸せに生きているのをみんなに報告できたし、ルティと会うきっかけの街に一緒に来ることができたのはとても嬉しいです。」
リーナは嬉しそうに笑った。
「きっかけの街?」
「そう、この街でラハールさんと出会って聖女を目指す事になったんです!」
はしゃいでいるリーナは出会った時のような笑顔を向けてくれた。
リーナは出会った時よりだいぶ落ち着いていた為、こんなリーナを見るのはめずらしい。
そうか、ラハールがリーナを見つけたのはこの街だったのか。
ラハールがリーナを神殿に連れて来なければ出会うこともなかった。
ラハールにもこの街にも感謝しかない。
ヴォルティスはリーナの欲しがったお菓子の情報を探して回ってリーナに秘密で作った。
リーナの望みを全部叶える事がヴォルティスの望みで楽しみだ。
リーナはそのお菓子をみて泣きながら喜んだ。
「お菓子よりその気持ちがうれしい」と。
そんなリーナの嬉しそうな顔をみると私自身幸せを感じる。
リーナの幸せを考えるのは自分が幸せになる為に必要な要素だったのだ。
リーナに自分の思いを押し付けて不安になっていた時よりずっとずっと幸せだ。
1つずつリーナの望みを一緒に叶えていく。
マークバルダやラリーン、ノルアとも久し振りに会った。
皆が笑い、リーナが笑う。
もう嫉妬という感情に縛られる事はない。
リーナと共にこれからも必要なものだと思えば、その時間も良いものだ。
「お母しゃん!」
まだ十分に発音もできないリリアが嬉しそうにリーナに飛びつく。
リリアはいつも元気で走り回っている。
「リリア、もうびっくりしたわ!」
リーナもリリアを抱きあげ、笑いあっている。
私はそんなリーナとリリアの様子をみて幸せを噛みしめ、リリアが生まれる前の出来事を思い返した。
リーナの最後の望み‥
『ルティとの子どもがほしい』
これが一番叶えるのが難しい望みだった。
神である自分には神や人を創り出す事はできても人のような生殖機能がない為、子は成せなかったのだから。
「書いてみただけです。私達の子のノルアもいるし、寂しくはないですよ!」
明るく笑ってくれたが、リーナの強い望みなのだろう。
叶わないとわかっていながらも書いたのだから。
そのリーナの強がった笑顔を見て私は人になる決意をした。
そうすればキースのようにリーナの望みを叶えられる。
リーナと生きる時間が短くなるが、リーナと夫婦になり、子どもがうまれて、家族で生きて死ぬのも悪くない。
愛しているの言葉では言い表す事もできない。
リーナが私の全てだ。
リーナが笑って横にいてくれるのが私の一番の望みなのだから‥神であろうと人であろうとリーナと共に過ごせるならどちらでもよかった。
0
お気に入りに追加
230
あなたにおすすめの小説
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
黎
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。アメリアは真実を確かめるため、3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
【完結】追放された元聖女は、冒険者として自由に生活します!
蜜柑
ファンタジー
レイラは生まれた時から強力な魔力を持っていたため、キアーラ王国の大神殿で大司教に聖女として育てられ、毎日祈りを捧げてきた。大司教は国政を乗っ取ろうと王太子とレイラの婚約を決めたが、王子は身元不明のレイラとは結婚できないと婚約破棄し、彼女を国外追放してしまう。
――え、もうお肉も食べていいの? 白じゃない服着てもいいの?
追放される道中、偶然出会った冒険者――剣士ステファンと狼男のライガに同行することになったレイラは、冒険者ギルドに登録し、冒険者になる。もともと神殿での不自由な生活に飽き飽きしていたレイラは美味しいものを食べたり、可愛い服を着たり、冒険者として仕事をしたりと、外での自由な生活を楽しむ。
その一方、魔物が出るようになったキアーラでは大司教がレイラの回収を画策し、レイラの出自をめぐる真実がだんだんと明らかになる。
※序盤1話が短めです(1000字弱)
※複数視点多めです。
※小説家になろうにも掲載しています。
※表紙イラストはレイラを月塚彩様に描いてもらいました。

【完結】婚約破棄寸前の悪役令嬢は7年前の姿をしている
五色ひわ
恋愛
ドラード王国の第二王女、クラウディア・ドラードは正体不明の相手に襲撃されて子供の姿に変えられてしまった。何とか逃げのびたクラウディアは、年齢を偽って孤児院に隠れて暮らしている。
初めて経験する貧しい暮らしに疲れ果てた頃、目の前に現れたのは婚約破棄寸前の婚約者アルフレートだった。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる