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第3章
三角関係?(マークバルダ視点)
しおりを挟むマークバルダはルキアの話を聞きながらルキアを警戒していた。
ルキア様はヴォルティス様の事を本当に思って今回の事を仕組んだのはわかっている。
だが‥
ヴォルティス様が後を追わないように突き放したとルキア様は言った。
ただ、それだけか?
ヴォルティス様の呪いは解けたと言った。その事では感謝しているが、同時に今なおヴォルティス様を苦しめているように動いていると感じるのは私だけか?
ヴォルティス様もまだ少しルキア様を警戒しているのかリーナ様を抱きしめて離さない。
「おいおい、二人で仲良くせず、私も入れてくれ。リーナと強く結ばれているのは私の方だぞ。」
ルキア様はヴォルティス様に笑いかける。
ヴォルティス様は眉間にしわを寄せる。
他の神と絆を結ぶのも嫌がっていたヴォルティス様が自分より強い絆で結ばれるのをよしとは思っていないのがありありと出ている。
「私とルキアの方が強く結ばれている?」
リーナ様が首を傾げる。
「そうか、リーナは知らなかったのだな。」
ヴォルティス様が明らかにホッとした表情をした。自分から望んで名付けをしたのではないとわかって安心したのだろう。
「何故名前をつけたのだ?」
ヴォルティス様がリーナ様に聞く。
「えっ?名前がないからつけて欲しいと言われたから‥だめでした?」
「名前をつけるというのは名を呼ぶ絆より深い。そして、名前を付けたものが主となる。神が役割を譲る時に名をつけるくらいしかないからな。人は知らないかもしれないな。」
「ちなみに呼び捨ても敬語なしも私がお願いしたものだ。」
ルキア様はニコニコしながら話す。そのルキア様の言葉を聞き、ヴォルティス様は苛立っていた。
自分も呼び捨てや敬語なしの親しい関係に憧れていたのに、リーナ様に無理ですと拒否されていたのだ。
「ルキアは神様だとわかっているのに、敬語や敬称を使う事ができないのはそのせい?」
名付けの強制力なのか‥主としての振る舞いを求めているのかもしれない。
「絆を切って。私は同意してないわ。」慌ててリーナ様はその絆を否定する。
「‥名付けによる絆はもう切る事ができない。名前が付けられるのは一生に一度だけだ。」
「そんな‥」
リーナ様もヴォルティス様とだけ絆を結ぶつもりだったようだ。
「ヴォルティスの為なら何でもするって言っただろう。」
ルキアは意地の悪そうな微笑みをリーナ様に向ける。
「確かにそう言っただけど、絆は神様とだけって決めてたのに‥」
リーナ様は少し悔しそうにそう口にするとヴォルティス様はリーナ様に口づけをする。
リーナ様のその言葉がよほど嬉しかったのだろう。
それに口づけが気に入ったようだ‥いつまでもやめない。
他の者の視線など気にならないようだが、リーナ様は恥ずかしいのかヴォルティス様をバンバンと叩いて抗議している。
その様子をルキア様は笑いながら見ているが、目の奥は全く笑っていない。
冷たい視線でヴォルティス様とリーナ様を見ている。
そう、ルキア様の話を信じきれないのはこの目だ。
リーナ様が主であるにも関わらず、憎んでいるような冷たい視線を向けている。
主は殺すことはできないから危害を加えないと思うが‥そんな風に見ている者をどうして主とした?
観察を続けているとすぐに気づいた。
リーナ様に悪意の目を向ける時はヴォルティス様がリーナ様に愛情を向けている時だと。
ヴォルティス様がリーナ様を想う執着と同じような感情をルキア様に感じる。
リーナ様と結ばれたのはヴォルティス様とリーナ様の間に入りたかっただけか?
それともまだ何か隠しているものがある?
どちらにしてもヴォルティス様は今後、リーナ様とのみ過ごすのはもう難しい。
ルキア様の様子を見る限り、ヴォルティス様達をそっとしておく気などないだろう。
力と絆でヴォルティス様とリーナ様の仲を引き裂がなければよいが‥
リーナ様を取り合うように見せかけてヴォルティス様に執着するルキア様。
これが噂の三角関係というやつか?
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