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第3章
ルキアはヴォルティスを想う(ルキア視点)
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永い永い時を生きた。
いつ生まれたのか何て覚えてもいないし、何で生まれたのかもわからない。
ずっと独りであったし、それが当たり前だと思ってた。
その頃は寂しいとか悲しいとかそんな感情を知らなかっただけだと後から思う。
何故、力を与えるものを創ろうと思ったのか‥それももう覚えていない。
だが、いざ創ってみると命の泉の中にいて会う事もできていないのに愛おしい。
トクン、トクンと命の音がする。時々泉の中で動いている。
名をつけたい‥この子は私だけの子だ。
強い絆を結びたい。
「ヴォルティスにしよう。私のヴォルティス‥」
早く命の泉から出てこい。
こんなに何かを心待ちにした事があっただろうか。
いざ、ヴォルティスが生まれると愛おしさが増していくのがわかる。
そばにいてほしい。望みを叶えたい。喜んでほしい。
私はヴォルティスを愛したくて、甘やかしたくて、私を頼って欲しくて何でも望みを叶えた。
他の神を創りたいと言った時もダメだとは言えなかった。私はヴォルティスさえいれば何もいらないのにヴォルティスは違うようだ。
だが、ヴォルティスに嫌われたらと思う恐怖の方が大きくて受け入れるしかなかった。
神を創る事にも飽きて刺激を求めて人を創った。感情が複雑すぎるし、負の感情が強すぎる。共に生きていくのは難しい。
その歪な存在は消して私のところに早く戻ってこい。
穢れがうまれ出すとヴォルティスは焦り出した。私はそれがどういうものなのかヴォルティスに説明をせず経過を見守った。
ヴォルティスでは対応できなければ、私を頼るしかないからだ。
早く私を頼れ。私ならお前をすぐに助けてやれる。
それなのにヴォルティスは私に助けを求めなかった。
他の神も人もいらない。全て消してしまえばいい。それが一番早いが、それもしない。
世界が消滅するギリギリになったが、それよりもヴォルティスが私を頼らなかった事の方が辛かった。腹立たしかった。
私はヴォルティスにとっていらない存在なのだ‥
私はもうヴォルティスに必要とされていない。それならば、この世に存在する必要など私にはない。
ヴォルティスがいれば世界は維持できる。私がいる必要などどこにもない‥
「私が対処する。これからはお前がこの穢れの対処をしろ。永遠にこの穢れは無くなることはない、お前とこの世界は繋がっている。お前が穢れにのまれれば世界が終わる。永遠に生き続けろ、その穢れと共に。」
ヴォルティスにかけた言葉。そう言っておけば、後は世界を維持してくれるはずだ。
人を滅ぼし他の神と仲良く生きていくなど許さない。穢れで苦しみながら生きていけ。
私はわざとに自分の核を傷つけた。私の消滅も時間の問題だが、ヴォルティスの記憶の中に私という存在を刻み込みたい。
いい案が浮かんだ。ヴォルティスに殺されたらいいと。穢れをうむ人でさえ、ヴォルティスは消せない甘い子だ。
ヴォルティスが初めて殺すのが私なら、しかも自分の落ち度でそうなるのならヴォルティスは一生私を思いながら生きていく。
ゾクゾクとする喜びに震える。
だが、ヴォルティスの反応は違った。
この子はもう生きていけない、そんな顔をしていた。私の後を追う‥死んでしまうと。
違う、私はそんな事は望んでいない。
ヴォルティスは生きなければならない。世界を維持する為でもあるが、何よりこの子には死んで欲しくない。
「お前は永遠の孤独がどれだけ辛いのかわからないだろう。それはお前への罰だ。いつか辛くなった時に思い出せ。私を忘れるな。」
そういえば、私への罪悪感から後を追うような愚かな真似はせず、世界を維持し続ける。そう思った。
そして私を思い続けて生きろ。永遠にお前のそばにいるのは私だ。
ヴォルティスは最後まで甘い子だ。私を殺す事もできず、結局は穢れと封印したのみだった。
こんなはずではなかった。ヴォルティスにとって私が一番でなければならない。ヴォルティスが私を思いながら生きていがなければならないのだ。
いつ生まれたのか何て覚えてもいないし、何で生まれたのかもわからない。
ずっと独りであったし、それが当たり前だと思ってた。
その頃は寂しいとか悲しいとかそんな感情を知らなかっただけだと後から思う。
何故、力を与えるものを創ろうと思ったのか‥それももう覚えていない。
だが、いざ創ってみると命の泉の中にいて会う事もできていないのに愛おしい。
トクン、トクンと命の音がする。時々泉の中で動いている。
名をつけたい‥この子は私だけの子だ。
強い絆を結びたい。
「ヴォルティスにしよう。私のヴォルティス‥」
早く命の泉から出てこい。
こんなに何かを心待ちにした事があっただろうか。
いざ、ヴォルティスが生まれると愛おしさが増していくのがわかる。
そばにいてほしい。望みを叶えたい。喜んでほしい。
私はヴォルティスを愛したくて、甘やかしたくて、私を頼って欲しくて何でも望みを叶えた。
他の神を創りたいと言った時もダメだとは言えなかった。私はヴォルティスさえいれば何もいらないのにヴォルティスは違うようだ。
だが、ヴォルティスに嫌われたらと思う恐怖の方が大きくて受け入れるしかなかった。
神を創る事にも飽きて刺激を求めて人を創った。感情が複雑すぎるし、負の感情が強すぎる。共に生きていくのは難しい。
その歪な存在は消して私のところに早く戻ってこい。
穢れがうまれ出すとヴォルティスは焦り出した。私はそれがどういうものなのかヴォルティスに説明をせず経過を見守った。
ヴォルティスでは対応できなければ、私を頼るしかないからだ。
早く私を頼れ。私ならお前をすぐに助けてやれる。
それなのにヴォルティスは私に助けを求めなかった。
他の神も人もいらない。全て消してしまえばいい。それが一番早いが、それもしない。
世界が消滅するギリギリになったが、それよりもヴォルティスが私を頼らなかった事の方が辛かった。腹立たしかった。
私はヴォルティスにとっていらない存在なのだ‥
私はもうヴォルティスに必要とされていない。それならば、この世に存在する必要など私にはない。
ヴォルティスがいれば世界は維持できる。私がいる必要などどこにもない‥
「私が対処する。これからはお前がこの穢れの対処をしろ。永遠にこの穢れは無くなることはない、お前とこの世界は繋がっている。お前が穢れにのまれれば世界が終わる。永遠に生き続けろ、その穢れと共に。」
ヴォルティスにかけた言葉。そう言っておけば、後は世界を維持してくれるはずだ。
人を滅ぼし他の神と仲良く生きていくなど許さない。穢れで苦しみながら生きていけ。
私はわざとに自分の核を傷つけた。私の消滅も時間の問題だが、ヴォルティスの記憶の中に私という存在を刻み込みたい。
いい案が浮かんだ。ヴォルティスに殺されたらいいと。穢れをうむ人でさえ、ヴォルティスは消せない甘い子だ。
ヴォルティスが初めて殺すのが私なら、しかも自分の落ち度でそうなるのならヴォルティスは一生私を思いながら生きていく。
ゾクゾクとする喜びに震える。
だが、ヴォルティスの反応は違った。
この子はもう生きていけない、そんな顔をしていた。私の後を追う‥死んでしまうと。
違う、私はそんな事は望んでいない。
ヴォルティスは生きなければならない。世界を維持する為でもあるが、何よりこの子には死んで欲しくない。
「お前は永遠の孤独がどれだけ辛いのかわからないだろう。それはお前への罰だ。いつか辛くなった時に思い出せ。私を忘れるな。」
そういえば、私への罪悪感から後を追うような愚かな真似はせず、世界を維持し続ける。そう思った。
そして私を思い続けて生きろ。永遠にお前のそばにいるのは私だ。
ヴォルティスは最後まで甘い子だ。私を殺す事もできず、結局は穢れと封印したのみだった。
こんなはずではなかった。ヴォルティスにとって私が一番でなければならない。ヴォルティスが私を思いながら生きていがなければならないのだ。
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