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第3章
ヴォルティスの過去2(ヴォルティス視点)
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人は短命であったが、役割の移譲を行い増える事のない神とは違い、貪欲でどんどん増えていった。
増えれば増えるほど、身分の差が生まれ、争いも起こり出した。さらに人々の欲は深くなる。
私は焦った。こんな事は想定していなかった。どんどん増える人々と比例するように増える欲望、裏切り、争い。
あの方はそれを見ていたが、私に何も言うことはなかった。私に怒っていたのだろう。
命の泉に行っても話しかけられる事もなかった。
あんなにそばにいてほしいと言っていたのに、私の存在などもう必要としていないようだった‥
穢れを認識したのがいつだったのか覚えていない。
だが、それがどんな恐ろしい作用をするものなのか気づいた時にはもう手遅れだった。
大地は穢れ、もうこの世界がもたない‥そう覚悟した時、あの方が動いた。
「私が対処する。これからはお前がこの穢れの対処をしろ。永遠にこの穢れは無くなることはない、お前とこの世界は繋がっている。お前が穢れにのまれれば世界が終わる。永遠に生き続けろ、その穢れと共に。」
いつぶりに話しかけられたかもわからない言葉は冷たかった‥もう私を捨てると宣言された。
心にポッカリと穴が空いたように呆然とした。私はあの方に捨てられる‥
私をいつでも受け入れてくれたあの方だからこそ、心のどこかで甘えていたのかもしれない。
何をしても許されるのだと。私はそういう存在なのだと‥
私は自分であの方から離れた。神々を創るのが楽しくてその存在すら忘れ、あの方の望みを叶えなかった。
挙句に刺激を欲してあの方の許可も取らず人を創った。
大地を汚し、世界を滅亡まで追い込み、その尻拭いまでさせた。
捨てられても当然だ。なぜ、許されるとなど思ったのだろう。
自分の愚かさに気づいたが、もう何もかも遅かった。
あの方は、膨れ上がった穢れを抑え込むだけに力を使いすぎていた。
大地全てを穢れで覆われる訳にはいかない。その穢れをあの方の力の大半を使い、自分の核を使い押さえ込んだ。
真っ黒く染まっていくあの方を見てもう保たないと感じた。あの方の核が傷ついている。
あの方と穢れを共に封じるか、この世の滅亡かの選択に迫られた。
あの方の核が壊れていくのがわかる。
私はどうする事もできず、ただ見ているしかなかった。
あの方の悲しい声が聞こえる。
「お前は永遠の孤独がどれだけ辛いのかわからないだろう。それはお前への罰だ。いつか辛くなった時に思い出せ。私を忘れるな。」
私にこの世に残れと言っている。
私はあの方とともに穢れを命の泉から切り離し、封じた。核が壊れきる前に私にできるのはそれしかなかった。
間に合っていないかもしれない。
あの方の存在は消えてしまっているかもしれない。そうでなかったとしても、あそこまで核が傷つけば‥
私とあの方で半分ずつに分けた力。それに伴い、世界と私は繋がった。
あの方と私のどちらかが存在すれば世界は維持できる。
そばにいるだけでいい。
そう言われていたのに、あの方の力の大半を使わせて核まで傷ついたのに地中深くの真っ暗な孤独の世界に落とした。
世界を滅亡させそうになっただけではなく、あの方の1つの望みすら叶えられず、孤独にさせた。その上、消滅にまで追い込んだ‥
最後の言葉は本当に私に残れと言った言葉なのか‥後から考えたらだんだんわからなくなっていった。
私を忘れるな‥どんな思いでそう言ったのだろう。
あの方である大地を守らなければ‥
人々の穢れをコントロールしていかねば‥私にできる唯一の償い。
守りの神、希望の神を創り人々の絶望を減らした。聖女という穢れの浄化できる存在も創った。
私が大地の代わりに穢れを取り込む。
あの方をこれ以上汚す事は許されない。
穢れが溜まるにつれて苦痛は大きくなっていく。それでもあの方の抱えた穢れの方が格段に大きい。
どれだけ辛かったのだろう。
増えれば増えるほど、身分の差が生まれ、争いも起こり出した。さらに人々の欲は深くなる。
私は焦った。こんな事は想定していなかった。どんどん増える人々と比例するように増える欲望、裏切り、争い。
あの方はそれを見ていたが、私に何も言うことはなかった。私に怒っていたのだろう。
命の泉に行っても話しかけられる事もなかった。
あんなにそばにいてほしいと言っていたのに、私の存在などもう必要としていないようだった‥
穢れを認識したのがいつだったのか覚えていない。
だが、それがどんな恐ろしい作用をするものなのか気づいた時にはもう手遅れだった。
大地は穢れ、もうこの世界がもたない‥そう覚悟した時、あの方が動いた。
「私が対処する。これからはお前がこの穢れの対処をしろ。永遠にこの穢れは無くなることはない、お前とこの世界は繋がっている。お前が穢れにのまれれば世界が終わる。永遠に生き続けろ、その穢れと共に。」
いつぶりに話しかけられたかもわからない言葉は冷たかった‥もう私を捨てると宣言された。
心にポッカリと穴が空いたように呆然とした。私はあの方に捨てられる‥
私をいつでも受け入れてくれたあの方だからこそ、心のどこかで甘えていたのかもしれない。
何をしても許されるのだと。私はそういう存在なのだと‥
私は自分であの方から離れた。神々を創るのが楽しくてその存在すら忘れ、あの方の望みを叶えなかった。
挙句に刺激を欲してあの方の許可も取らず人を創った。
大地を汚し、世界を滅亡まで追い込み、その尻拭いまでさせた。
捨てられても当然だ。なぜ、許されるとなど思ったのだろう。
自分の愚かさに気づいたが、もう何もかも遅かった。
あの方は、膨れ上がった穢れを抑え込むだけに力を使いすぎていた。
大地全てを穢れで覆われる訳にはいかない。その穢れをあの方の力の大半を使い、自分の核を使い押さえ込んだ。
真っ黒く染まっていくあの方を見てもう保たないと感じた。あの方の核が傷ついている。
あの方と穢れを共に封じるか、この世の滅亡かの選択に迫られた。
あの方の核が壊れていくのがわかる。
私はどうする事もできず、ただ見ているしかなかった。
あの方の悲しい声が聞こえる。
「お前は永遠の孤独がどれだけ辛いのかわからないだろう。それはお前への罰だ。いつか辛くなった時に思い出せ。私を忘れるな。」
私にこの世に残れと言っている。
私はあの方とともに穢れを命の泉から切り離し、封じた。核が壊れきる前に私にできるのはそれしかなかった。
間に合っていないかもしれない。
あの方の存在は消えてしまっているかもしれない。そうでなかったとしても、あそこまで核が傷つけば‥
私とあの方で半分ずつに分けた力。それに伴い、世界と私は繋がった。
あの方と私のどちらかが存在すれば世界は維持できる。
そばにいるだけでいい。
そう言われていたのに、あの方の力の大半を使わせて核まで傷ついたのに地中深くの真っ暗な孤独の世界に落とした。
世界を滅亡させそうになっただけではなく、あの方の1つの望みすら叶えられず、孤独にさせた。その上、消滅にまで追い込んだ‥
最後の言葉は本当に私に残れと言った言葉なのか‥後から考えたらだんだんわからなくなっていった。
私を忘れるな‥どんな思いでそう言ったのだろう。
あの方である大地を守らなければ‥
人々の穢れをコントロールしていかねば‥私にできる唯一の償い。
守りの神、希望の神を創り人々の絶望を減らした。聖女という穢れの浄化できる存在も創った。
私が大地の代わりに穢れを取り込む。
あの方をこれ以上汚す事は許されない。
穢れが溜まるにつれて苦痛は大きくなっていく。それでもあの方の抱えた穢れの方が格段に大きい。
どれだけ辛かったのだろう。
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