【完結】闇落ちした聖女候補は神様に溺愛される

みやちゃん

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第3章

ヴォルティスの過去(マークバルダ&ヴォルティス視点)

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復活?復讐?なんの話だ?
ヴォルティス様の話がわからず、マークバルダは混乱していた。
リーナ様を探しにいきたいのに状況を知っていると思われるヴォルティス様がこの状態では‥

「ヴォルティス様!しっかりしてください。リーナ様を探しましょう!時間がありません!」
ヴォルティス様に駆け寄った。
ヴォルティス様の加護を破る力だ。早く見つけなければ‥

「マークバルダ‥」

私の名を呼ぶが、まだヴォルティス様は放心状態から抜け出せていない。
どうしたらいい?話が進まない。

ノルアが近づいてきてパーンとヴォルティス様の頬を叩いた。
大きな音が広い部屋の中を響き渡った。

「ノルア‥」
ヴォルティス様は目を見開いてノルアを見た。
「お父さん、しっかりしろ。こんな所でグダグダしてる場合じゃない。」

「ノルア、ヴォルティス様になんて失礼な事を!」
いくらなんでもヴォルティス様を叩くなんて、あり得ない。私がノルアに攻撃の姿勢をとったのをヴォルティス様が手を前に出し止めた。

「マークバルダ、よい。ノルアには許可していた。私がリーナやノルアを苦しめる事をしたらちゃんと教えてほしいとな。まさか、叩かれるとは思わなかったが。」

苦笑するが、ヴォルティス様は冷静さをとり戻していた。

「それでも許されるのが家族なんだろう?お母さんも大切な家族だ。自分からいなくなるわけがない。さらわれたんだろ?」
ノルアは真剣な顔でヴォルティス様を見る。

「そうだ。追いながら話そう。ブレスレットの力は切られたが、行き先ならわかっている‥」

皆、ヴォルティス様についていく。



「どういう事なのですか?」
ヴォルティス様が向かった先は命の泉だった。どうしてここにきた?
リーナ様を助けにいく筈だったのに‥

「キースの力に介入できて、私の力を無効にできる存在などあの方を除いてはないんだ。」

「あの方?」
ヴォルティス様は最高神だ。そのヴォルティス様をもってしてもあの方と言わしめるその存在とは何だ?

ヴォルティス様はフッと苦しそうに笑う。前によく見せていた作られた笑い。

「私は命の泉でうまれたんだ。あの方とは私をうみだした存在だ。」





太古な世界‥もうそれはどれだけ前の事であったのかすらわからない。

真っ暗の中、優しく包み込まれながら「ヴォルティス」と何度も呼ばれた。
だんだんと周囲が明るくなるとあたたかい真っ青な泉の中に私はいた。

「ここは?」
うまれたばかりのヴォルティスには状況がよくわからなかった。

目の前の真っ青な泉の中でぼんやりと周囲の様子を見ていた。
泉以外何もないどこまでも続く大地。

「やっとうまれたんだね、ヴォルティス。会えるのを楽しみにしていた。」
泉の中で声が聞こえる。
正確に言えば、耳で聞こえるのではなく頭に直接響いてくるのだが。

「誰だ?」

「私か?お前をうんだ創世主モノかな?」
姿があるわけではない。ただ私の周りで気配を感じる。
しばらくその声と一緒にいてわかった。この大地もこの泉も全てこの方そのものなのだと。

「私は何をしたらいい?何のためにうまれてきた?」
求めているものが何か私にはわからない。

「そんなに構えなくてもいいよ。私のそばにずっといてくれたらいい。そうすれば、お前の望みを叶えよう。」

それからその声とどのくらい一緒にいたのかわからない。
ずっと命の泉にいた。
その方は私に何かを求めるわけでもなく、言葉の通りただそばにいてほしいだけのようだった。

うまれたばかりの私はその状況にすぐに飽きてしまった。何をするわけでもなく、泉に浮いている。何のためにうまれてきたのかわからない。この声だけとこのまま一緒にいても良いのか?そんな疑問が湧いてくる。

「他の神を創りたい?」
私が声をかければ何でも答えてくれる。最初に言われたとおり望みは何でも叶えてくれた。
命の泉の周りには木々や花畑が広がっている。もう前のような寂しい景色ではなくなっていた。
どうしてそれらの知識があるのか、私にもわからない。この方は自分の知識を私に最初から与えていたようだ。

「そうだ。そうすれば、貴方も寂しくなくなる。」
命の泉がチャプンと揺れる。

「お前さえいれば私は良いのだがな。お前が望むのなら構わない。」

私は許しが出ると神々を創った。
とても興味深くて面白かった。自分の必要とする神達を創るその行為が楽しくてあの方を完全に忘れ去ってしまっていた。

しばらく神々を創り、色々な役割を与えると神々は自分の役割をきちんと果たした。
神達を創るのにも飽きてきた頃、いい事を思いつく。

真面目で言われた役割をきっちり果たす神だけではなく、別の存在をつくったらどうなるだろうと‥

自己中心的な存在が面白い。命も短かければ、生き急ぐだろう。私の暇つぶしとなる存在、色々と問題があればあるほど楽しめるだろう。
そう考えながら創り出すのが楽しかった。

そうやって人はうまれた‥

私の勝手な思いつきから穢れはうみ出されるようになった。
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