【完結】闇落ちした聖女候補は神様に溺愛される

みやちゃん

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第3章

リーナの力の秘密(リーナ&マークバルダ視点)

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「調子はどう?」
リーナはにっこり笑ってノルアに声をかける。
ノルアと出会って半年が過ぎた。今、人について知るために神殿で過ごしている。

「ああ、みんな親切に教えてくれている。神々の知識は色々とすごいな。お父さんも不器用ながら一生懸命だ。俺以上にコミュケーション取れていないけどな。」
ノルアはニヤッと笑う。

マークバルダ様をお父さんと言った言葉を受けてヴォルティス様は自分が父親だと言い張り、ノルアにそう呼ばせていた。
そして、慣れない会話に戸惑いながらも必死で神について教えていた。ノルアの信頼を勝ち取るために。

「うん、眉間のシワがなくなったね。良かった。」
ノルアの元気な姿を見ると私も嬉しくなる。

「お母さんには感謝してる。何を見て何を考えたらいいのか‥俺独りだったら絶対にわからなかったから。」
照れながらも自分の思いを伝えてくれる。
ノルアはやっぱり素直な子だ。きちんと現状と向き合えている。
この半年、自分の足りないものを得るためにノルアは頑張っていた。

そしてノルアはこの半年で少年っぽさがなくなり、大人の容姿になっている。
もう私より見た目は年上に見える。
神としての自覚が出れば、力が大きくなり容姿も変わるとマークバルダ様が教えてくれた。

ノルアはお母さんと私の事を呼ぶ。神様に言われてそう呼びはじめたが、もう半年も経つと自然な感じになって呼ばれたら普通に反応してしまっている私がいる。
私より年上に見える彼にお母さんと呼ばれるのは変な気分なんだけど、仕方がない。

「だいぶ神の力が出せるようになってきたんだ。だから、もっと世界を回ろうと思う。実際に見て感じて答えを出していきたい。ルーマ様も付いてきてくれるって言ってるし。」
ノルアは真っ直ぐに世界を見た。
これからどんどんノルアの世界は広がっていく。

「うん、いいと思うよ!頑張って。」
寂しくなるけど、ノルアの世界が広がるのは良いことだと思う。

「その前にちょっと顔触らせてもらっていい?」
ノルアは真剣な顔で聞いてきた。

「何で?」

「ちょっと気になる事があって‥」
そう言いながら私のほっぺをノルアは両手で包んだ。
ノルアからあたたかいものが流れ込んでくる。ノルアの神気だ。
希望の力は神様の力とは違ったあたたかさで優しい。その優しさに包まれてポーとなっていた。

「‥やっぱり間違いない。」
独り言のようなノルアの低い声。

「何が?」

「希望の力が使えるようになってきて‥わかった事がある。お母さんの中にある希望の力には少し別の力が介入しているんだ。希望の力の中にうまく混ぜ込んであるから希望の神じゃないと気づかない。」

どういう事だとノルアは真剣な顔でつぶやく。

「でもキースお父さんは希望の力だって言ってたよ?」

「キースはリーナが生まれた頃にはもう力がほぼなかったのなら気づかないのも無理がない。俺もこないだまで気づかなかったくらいだから。」

「そうなんだ、だけど何の力だろうね?」
神の力はよくわからないけど、ノルアが真剣な顔をしているからきっと大変な事なんだ。

「そうだな、俺にもよくわからないけど、お父さんとマークバルダ様には伝えておくよ。」

「なら神様の部屋に行くといいよ。一緒にいるから。私はラリーン先生と浄化の打ち合わせしてくるね。」
神様とマークバルダ様の居場所を教えた。

「おー、ありがとう。」
ノルアは笑いながらそう言って離れた。





「ノルア、それは本当か?」

「はい、お母さんの中の希望の力には別の力が入っています。その力はお父さんの力に似ていますが、違うものです。」

ノルアが説明してくれた内容は驚きでしかない。ありえない‥
隣を見るとヴォルティス様も呆然としている。
ノルアが今ひとつ状況を理解していないのがわかり、早口だが、説明をする。

「何の力が働いているかはわからないが、それが本当だとしたら大変な事だ。神の力には他の神の介入は受けない。もし、ぶつかり合えば力の大きな方が勝つ。ヴォルティス様だけは他の神に直接介入はできるが‥」

チラッとヴォルティス様に目配せをする。お父さんは真っ青な顔で首を横に振った。自分は何もしていないというように。

「キースの全力でないにしろ、希望の力は強力だ。それに介入できるとすれば‥ヴォルティス様と同等の力があることになる‥希望の力に介入できるほどの力とは何だ?」

ヴォルティス様を見ると真っ青な顔のまま、私達などそこにいる事を忘れているように独り言をつぶやいている。
「そんな‥そんな事はありえない‥」

そんな事はありえない?思い当たる事があるのか?

「ヴォルティス様‥何か知っているのですか?」
そう聞くが、ヴォルティス様はは言葉を発する事ができない。そんなヴォルティス様をノルアは心配そうに見つめている。


トントン
乱暴にノックの後すぐにバーンと扉が開かれる。
「失礼します!」

普段落ち着いた言動のラリーンがノックの返事も待たず、部屋に飛び込んできた。
息切れをしているその様子を見れば皆、何かがあった事がわかってしまう。

「ラリーン‥何があった?」
恐る恐る聞く。この部屋にラリーンが来たのだ、誰に問題が起こったのかすぐにわかった。

隣を見るとヴォルティス様はガタガタと震えている。最高神として威厳を持つ神の姿はそこにはもうなかった。

「リーナさんが行方不明になりました!」
それこそあり得ない話だ。
ヴォルティス様の加護で守られたリーナ様が消えるなんて‥

ヴォルティス様より力が強い力が働いているのか?

「まさか‥本当に復活したのか?私に復讐しに来たのか?私からリーナを奪うのか?」

復活?復讐?なんの話だ?
ヴォルティス様は取り乱しており、話を聞けそうになかった。


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