【完結】闇落ちした聖女候補は神様に溺愛される

みやちゃん

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第3章

ヴォルティスの喜びと罪悪感(ヴォルティス視点)

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ヴォルティスはリーナの浄化の力の強さを知った。リーナの力は自分が想像していた以上で恐れていた闇落ちはもうない。
リーナを失う理由の1つがなくなった‥

そう思うだけで心が落ち着くのを感じる。
後は自分の力で何とでもなる。
寿命以外でリーナを失う事はなくなり、ヴォルティスは喜びを隠せなかった。

今日、明日という近い未来でリーナを失う心配をしなくても良くなり、世界はさらに明るくなった。
明日はリーナと何を話そう。何をして過ごそう。
明日が来るのが楽しい。

リーナはいつも元気でかわいい。
人を助けたいという思いが強く無理するのは難点だが、それだけ優しい子なのだ。
そんなリーナとの明日を考えるだけで今、生きている意味が見出せる。

私はリーナと結ばれて幸せだ。



そう思えば思うほど罪悪感もあった。

「お前は永遠の孤独がどれだけ辛いのかわからないだろう。それはお前への罰だ。いつか辛くなった時に思い出せ。私を忘れるな。」
冷たい視線の中に悲しみが見えた。その時の愚かだった私でさえ、しでかした事の大きさに気づいた。
悲しませた事はわかったが、その時はその意味をよく理解はしていなかった。

今ならよくわかる。
孤独の中ずっと生きていかないといけない事がどれだけ辛いのか、大切な者ができた後に失う絶望感がどれだけ大きいのか。

リーナという存在が私に見せてくれた希望。
あの方はそれを私に見ていたのだ。

どうしてあの時、もう少し思いやれなかったのだろうか。
いくら後悔してももう時は戻せないが、会えたのなら謝りたい。

世界の理の中に組み込まれた私への罰にすら希望の力はうち破ってしまった。
あの方の力に勝つものがこの世にあるのだろうか。
リーナを私に与えたのすら罰なのかもしれないと思うのは深読みしすぎだろうか。

幸せというものを教えてから失わせる。
私に絶望を与えるために‥
それがかつて私がした事への返しなのだとしたら。

そこまで考え首を横に振る。

出てこられるはずがない。リーナに危害を加える心配はない。
私の力が通じない唯一の相手‥




もう遠い遠い昔の記憶。もうどのくらい前なのかもわからない。

「ヴォルティス‥ヴォルティス‥」
フワフワした感触を感じる。ここはどこだ?真っ暗で何も見えない。

「私のかわいい子、ヴォルティス。」
そう呼ばれると胸があたたかくなるのを感じる。
ヴォルティスとは私の名前か?

「早くうまれておいで、私の分身。お前に私の半分をやろう。私とずっと一緒にいておくれ。」
周囲のフワフワしたものが優しく揺れる。私を呼ぶその声に合わせて喜びを表しているように優しく私を包んでくれているのを肌で感じる。

私を待っているのか?
何故、楽しそうなのだ?
私がうまれるのはそんなに嬉しい事なのか?

「私のかわいい子、ヴォルティス。」

ここから出る日はそんなに先ではない。
私を呼ぶ者‥もう少しまっていてくれ。
あなたと会う日はそんなに遠くないはずだ。
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