【完結】闇落ちした聖女候補は神様に溺愛される

みやちゃん

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第3章

リーナの初仕事は最高神つき

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聖女の儀からしばらくしてリーナの初仕事が決定する。
これが決まるまでにリーナの知らないところで色々な駆け引きが行われていた。

その結果‥

ヴォルティス、マークバルダ、ラリーンという神々のトップ2と神殿一の聖女が補助につくという異例のデビューだった。

初仕事なので聖女の補助はつくのは当たり前だが、神がついていくなどありえない。
ヴォルティスがついていくというのを聞き、マークバルダは焦った。
神は穢れを嫌う。神々の中でも一番穢れへの抵抗力がなく溜め続けるヴォルティスがその現場についていくなんて。
リーナの浄化が間に合わなければ、世界が滅ぶ。そんな脅威を見過ごせない。

しかも今、石の力でヴォルティス様はリーナと直接繋がっている。リーナに穢れが入れば、ヴォルティスに流れ込む可能性がある。
リーナとヴォルティスの間で希望の力が働いているので取り越し苦労かもしれないが、少しでもリスクがあるのなら避けたいのだ。

マークバルダが行ったところでヴォルティスよりマシにしても役には立たない。
そこでラリーンに頼み、補助についてもらったのだ。本来ならラリーンクラスの聖女が新人聖女の補助につくなどあり得ない事だった。

ヴォルティスは「リーナに何かあれば‥」と神殿に圧もかけ、簡単な浄化を勝ちとった。本来、補助があるうちに大物の仕事をしなければならない。
大物にも一人で対応できるようにならないと、ひとり立ちができなくなるから。対応できないと判断したなら、引き際を見定めるのも聖女に必要なスキルだ。

リーナにはそんなスキル必要ない。
なぜなら、この浄化はリーナを納得させる為のただのポーズ。
今後、リーナに大きな穢れを浄化させるつもりなど、さらさらないヴォルティスはリーナが浄化するという事実さえあればよかったのだから。

ヴォルティスの溺愛ぶりに皆思った。
リーナを手に入れればこの世の支配もできのではないか‥
ただ、その考えを行動に起こすにはリスクが大きすぎるとすぐにわかってしまう。溺愛しすぎて、常にヴォルティスはリーナと一緒におり、誰も近づけないのだ。

そしてその周りをマークバルダ、ラリーン、ラハールで囲まれており、鉄の城壁となっていた。

リーナはそんな事が周りで起こっているなど一切知らずに浄化の復習をしていた。

「神様、私立派な聖女になれますか?」
日が近づくごとにリーナは心配になってきていた。

「今でも十分立派な聖女だ。」
ヴォルティスは微笑む。
自分だけの為に浄化する聖女ならもっと良かったのに‥という心の中で思う。

「まだまだです。聖女となって経験を積めばさらに浄化の力が増します。神様の穢れももっといっぱい浄化できる筈ですから待っててくださいね。」

ヴォルティスの手を握り、ヴォルティスの中の穢れを浄化する。
ヴォルティスはリーナによって穢れを浄化されていたが、水を吸うスポンジのように穢れを吸収し続けていた。
それだけ人がうむ穢れが多いのだとリーナも実感している。

「このくらい大丈夫だ。リーナがいない時はため続けるしかなかったんだから。今で満足している。」
そう、本気でヴォルティスはそう思っていた。


リーナの初仕事は穢れの残留物の浄化。
亡くなった者の残留で穢れはうみ続けるが、穢れの量なども把握できるし、対応はしやすいためだ。

穢れをうみだしている土地に行き、染み付いている穢れを見た。
事故で亡くなった者の苦痛でうみ出された穢れだった。
リーナは、死にたくないという若者の心の悲鳴が聞こえていた。助けてあげたいと心の底から思った。
「ごめんね、死んだ人は生き返らせる事はできないの。次は幸せになって。」
リーナはポツリと穢れに向かって話しかけ祈った。

村人全員の穢れを浄化したリーナだ、一人の者がうんだ穢れなど一瞬で浄化してしまった。
いや、正確には浄化したのではなく、リーナが近寄るだけで勝手に浄化されたのだ。

若者の魂が穢れから解放されて天に昇る。
「ありがとう」
リーナにはその声がはっきり聞こえた。
キラキラした魂、あたたかいもので包まれる土地が目の前に広がった。

「えっ?」
リーナ自身も戸惑ったが、それは周囲の者達にとっても同じだった。

穢れって近づくだけで勝手に浄化されるものなのか?歩くだけでこんな風に魂も土地も全て綺麗に浄化できるのか?
皆、目の前で起こった光景が信じられなかった。

なぜリーナにそんな事をできたのかはわからない。
だが、この光景はその後の浄化の際にも起こり続けていく。



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