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第3章
マークバルダは悩まされて続ける(ラリーン&マークバルダ視点)
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ラリーンは神殿に戻り聖女兼教師をしていた。ラハールはラリーンの神官となっている。
それは聖女候補達への授業中に起こった。
ラリーンの外見は聖女候補達と変わらない年頃の少女だ。だが、一度若返りをしているラリーンからでる圧は10代の少女が出せるものではなく、聖女候補達から怖がられている存在だ。
今も教室内はピリピリした雰囲気の中、授業が進んでいる。
バンと扉が開かれる。
「ラリーン助けてくれ!」
眉間にしわを寄せたマークバルダ様が部屋に飛び込んできた。
「マークバルダ様?どうされました?」
ラリーンは慌てて駆け寄る。
「マークバルダ様だわ!」「かっこいい!」という聖女候補達の悲鳴のような熱い声が飛び交う。
そんなのはどうでもいいというようにマークバルダ様は無視をして私に近づいた。
「私にはどうしようもできない。もう限界だ。助けてほしい。」
ゴクリと唾をのむ。
マークバルダ様ほどの神をここまで追い込む事がなるなんて‥また、大きな問題がおこっているの?
「私でできる事ならば‥」
授業はそのまま中止しマークバルダ様の話を聞くことになった。
「それで何があったのですか?」
私の部屋に移動しマークバルダを聞く。
「職務中に申し訳なかった。」
自分がやってしまった失態に後悔しているのかシュンとしているマークバルダ様を少しかわいらしいと思った。
冷静沈着な守りの神、もう何十年も一緒にいたのにそのイメージが壊れたのはここ最近のことだ。
私も皆と同じくマークバルダ様の表面しか見ていなかったと思う。
「いえ、マークバルダ様は神様です。私になど謝らなくても構いません。」
「他の神はそうかもしれないが、ヴォルティス様もやりすぎてリーナ様にいつも謝っているぞ。私達しかいないし、問題ないだろう。」
真面目な顔をしてマークバルダ様は返してくる。
マークバルダ様から聖女候補と呼ばれていたリーナさんがリーナ様と呼ばれている。
リーナさんを取り巻く環境はだいぶ変わっている。大丈夫だろうか?
それにしても最高神に謝らせるリーナさんは大物ね。その場面が容易に想像できてしまう。
「それで相談というのが‥をどうするのか教えてほしい。」
普段は声が大きくはっきりした発音をするマークバルダ様がモゴモゴと言う。
「えっ?すみません、聞こえませんでした。」
「口づけの仕方を教えてほしいと言ったのだ!」
完全に頭が真っ白になる。
聖女候補も入れたら14歳の時から神殿で過ごしている。
結ばれるのは神様であり、口づけどころか手を繋いだ事すらない。
マークバルダ様を見る事ができない。
「すみません、口づけをした事がなくわかりません。」
「‥そうだな、お互いにあるわけでないな。」
ヴォルティス様が「キース達のように口づけをしてみたい」と言ったとマークバルダ様は頭を抱えた。
それがリーナさんの憧れだと言ったのを聞き逃さなかったらしい。
あれは夫婦としての仲の良さが憧れと言ったのではないかと思うのだけど‥
「ルーマ様なら何か知っているかもしれません。もうそろそろ会う予定があるので聞いてみますか?」
「情報の神なら確かに知っているかもしれないな。はぁ。」
マークバルダ様‥前にあった時より疲労の色が濃くなっている。仕事が忙しいのだろうか、心配だ。
———————-
「何故お前達がいる?」
ラリーンの後ろにルーマだけではなく、ニヤニヤしたメビールとミラージュもいた。
「こんなおもしろい‥いえ、マークバルダが困っているなら手助けしたいと思い‥プクク、アハハ!」
メビールはお腹を抱えて笑っている。
いつも静かなミラージュも笑いを堪えているのがわかる。
「マークバルダ!喜んで、あなたの為にしっかりと情報を集めてきたわよ。」
ルーマはガッツポーズだ。
「いや、そんなにしっかり調べたのなら、そのままヴォルティス様に伝えてもらえたら良いのだが‥」
もう笑われているのも限界だ。
「何を言っているの!ヴォルティス様はあなたに聞いたのでしょう?あなたがちゃんと返さないと!」
ルーマの意気込みに圧倒される。
何故、こんなに張り切っているのだ?
よくわからないが、諦めて教わる事にした。
「さっさと映像をだせ」
やると決めたらさっさとやって終わらせたい。
「何をいっているの?実演で教えるのよ?」
ルーマは何当たり前の事をという顔をした。
「実演?誰と誰がするのだ?」
言っている意味がわからない。
「そんなのマークバルダとラリーンに決まっているでしょう?私、マークバルダと口づけするなんて絶対に嫌よ。」
「はぁ?」「えっ?」
ラリーンと声がはもる。
「ルーマ様、そんな話聞いていません!」
ラリーンも慌てて抵抗している。
「今初めて話したし。」とニヤニヤと笑うルーマ。
しばらく私とラリーンはごねたが、ヴォルティス様の為だと言い切られたら諦めるしかなかった。
「はい、そこで向き合って見つめて。もうちょい体を近づけて!」
ルーマの熱い指導が入る。
ラリーンと向き合って抱き合うなど初めての事だ。胸が高鳴るのがわかる。
ラリーンも私を見つめてくれている。
「はい、そこで顔を近づける。目を閉じて。雰囲気出して。」
お前の声で雰囲気なんか出せるわけがないだろうと言いたいが、早く終わらせたい私はその指示に従う事にした。
後ろで笑い転げているメビールと肩を震わせているミラージュが見える。
後で覚えておけよ。
指示通り目を閉じて顔を近づける。息が届く距離まで近づいた。
唇に柔らかいものが当たった。
これがラリーンの唇‥
「そんな一瞬じゃダメです。もっとしっかりと時間をかけて!」
ルーマの声がする。
「マークバルダ様‥」
すぐ近くでラリーンの声がする。
ルーマに従う振りをして口づけをした。
もっとラリーンと口づけをしたい、あの柔らかなものに触れたいと強く思ってしまった。
長い口づけを離すと次の指示が出た。
「まぁ、いいわ。次は深い口づけよ。口を開けて‥」
その内容を聞いた私達は唖然とし断固として拒否をしたが、結局はヴォルティス様の為と押し切られた。
あの時みたキース達のような熱い口づけができるまでルーマの指導は続いた。
「ラリーン、すまなかった‥」
ラリーンは涙目になり私を見上げている。
ヴォルティス様の為といいながら途中から本気で私自身がラリーンの唇を欲しがった。
涙目になっているラリーンは可愛らしいが、その罪悪感でいっぱいとなる。
「いえ、お役に立てたのなら良かったです。」
そう言って目に涙を浮かべたまま微笑んでくれた。
そんなラリーンがとても愛おしくなりギュッとラリーンを抱きしめた。
「マークバルダ様‥」
ラリーンも戸惑いながら抱きしめ返してくれた。
口づけとはこんなに相手を愛おしくさせるものだと初めて知った。
今まで以上にラリーンへの気持ちは強くなるのを自分でも感じた。
キース、お前の気持ちが少しわかる‥
ヴォルティス様に口づけをお教えした後もラリーンと口づけをするようになった。
ヴォルティス様には振り回させる事も多いが、今回の口づけは良かったと心底思う。
それは聖女候補達への授業中に起こった。
ラリーンの外見は聖女候補達と変わらない年頃の少女だ。だが、一度若返りをしているラリーンからでる圧は10代の少女が出せるものではなく、聖女候補達から怖がられている存在だ。
今も教室内はピリピリした雰囲気の中、授業が進んでいる。
バンと扉が開かれる。
「ラリーン助けてくれ!」
眉間にしわを寄せたマークバルダ様が部屋に飛び込んできた。
「マークバルダ様?どうされました?」
ラリーンは慌てて駆け寄る。
「マークバルダ様だわ!」「かっこいい!」という聖女候補達の悲鳴のような熱い声が飛び交う。
そんなのはどうでもいいというようにマークバルダ様は無視をして私に近づいた。
「私にはどうしようもできない。もう限界だ。助けてほしい。」
ゴクリと唾をのむ。
マークバルダ様ほどの神をここまで追い込む事がなるなんて‥また、大きな問題がおこっているの?
「私でできる事ならば‥」
授業はそのまま中止しマークバルダ様の話を聞くことになった。
「それで何があったのですか?」
私の部屋に移動しマークバルダを聞く。
「職務中に申し訳なかった。」
自分がやってしまった失態に後悔しているのかシュンとしているマークバルダ様を少しかわいらしいと思った。
冷静沈着な守りの神、もう何十年も一緒にいたのにそのイメージが壊れたのはここ最近のことだ。
私も皆と同じくマークバルダ様の表面しか見ていなかったと思う。
「いえ、マークバルダ様は神様です。私になど謝らなくても構いません。」
「他の神はそうかもしれないが、ヴォルティス様もやりすぎてリーナ様にいつも謝っているぞ。私達しかいないし、問題ないだろう。」
真面目な顔をしてマークバルダ様は返してくる。
マークバルダ様から聖女候補と呼ばれていたリーナさんがリーナ様と呼ばれている。
リーナさんを取り巻く環境はだいぶ変わっている。大丈夫だろうか?
それにしても最高神に謝らせるリーナさんは大物ね。その場面が容易に想像できてしまう。
「それで相談というのが‥をどうするのか教えてほしい。」
普段は声が大きくはっきりした発音をするマークバルダ様がモゴモゴと言う。
「えっ?すみません、聞こえませんでした。」
「口づけの仕方を教えてほしいと言ったのだ!」
完全に頭が真っ白になる。
聖女候補も入れたら14歳の時から神殿で過ごしている。
結ばれるのは神様であり、口づけどころか手を繋いだ事すらない。
マークバルダ様を見る事ができない。
「すみません、口づけをした事がなくわかりません。」
「‥そうだな、お互いにあるわけでないな。」
ヴォルティス様が「キース達のように口づけをしてみたい」と言ったとマークバルダ様は頭を抱えた。
それがリーナさんの憧れだと言ったのを聞き逃さなかったらしい。
あれは夫婦としての仲の良さが憧れと言ったのではないかと思うのだけど‥
「ルーマ様なら何か知っているかもしれません。もうそろそろ会う予定があるので聞いてみますか?」
「情報の神なら確かに知っているかもしれないな。はぁ。」
マークバルダ様‥前にあった時より疲労の色が濃くなっている。仕事が忙しいのだろうか、心配だ。
———————-
「何故お前達がいる?」
ラリーンの後ろにルーマだけではなく、ニヤニヤしたメビールとミラージュもいた。
「こんなおもしろい‥いえ、マークバルダが困っているなら手助けしたいと思い‥プクク、アハハ!」
メビールはお腹を抱えて笑っている。
いつも静かなミラージュも笑いを堪えているのがわかる。
「マークバルダ!喜んで、あなたの為にしっかりと情報を集めてきたわよ。」
ルーマはガッツポーズだ。
「いや、そんなにしっかり調べたのなら、そのままヴォルティス様に伝えてもらえたら良いのだが‥」
もう笑われているのも限界だ。
「何を言っているの!ヴォルティス様はあなたに聞いたのでしょう?あなたがちゃんと返さないと!」
ルーマの意気込みに圧倒される。
何故、こんなに張り切っているのだ?
よくわからないが、諦めて教わる事にした。
「さっさと映像をだせ」
やると決めたらさっさとやって終わらせたい。
「何をいっているの?実演で教えるのよ?」
ルーマは何当たり前の事をという顔をした。
「実演?誰と誰がするのだ?」
言っている意味がわからない。
「そんなのマークバルダとラリーンに決まっているでしょう?私、マークバルダと口づけするなんて絶対に嫌よ。」
「はぁ?」「えっ?」
ラリーンと声がはもる。
「ルーマ様、そんな話聞いていません!」
ラリーンも慌てて抵抗している。
「今初めて話したし。」とニヤニヤと笑うルーマ。
しばらく私とラリーンはごねたが、ヴォルティス様の為だと言い切られたら諦めるしかなかった。
「はい、そこで向き合って見つめて。もうちょい体を近づけて!」
ルーマの熱い指導が入る。
ラリーンと向き合って抱き合うなど初めての事だ。胸が高鳴るのがわかる。
ラリーンも私を見つめてくれている。
「はい、そこで顔を近づける。目を閉じて。雰囲気出して。」
お前の声で雰囲気なんか出せるわけがないだろうと言いたいが、早く終わらせたい私はその指示に従う事にした。
後ろで笑い転げているメビールと肩を震わせているミラージュが見える。
後で覚えておけよ。
指示通り目を閉じて顔を近づける。息が届く距離まで近づいた。
唇に柔らかいものが当たった。
これがラリーンの唇‥
「そんな一瞬じゃダメです。もっとしっかりと時間をかけて!」
ルーマの声がする。
「マークバルダ様‥」
すぐ近くでラリーンの声がする。
ルーマに従う振りをして口づけをした。
もっとラリーンと口づけをしたい、あの柔らかなものに触れたいと強く思ってしまった。
長い口づけを離すと次の指示が出た。
「まぁ、いいわ。次は深い口づけよ。口を開けて‥」
その内容を聞いた私達は唖然とし断固として拒否をしたが、結局はヴォルティス様の為と押し切られた。
あの時みたキース達のような熱い口づけができるまでルーマの指導は続いた。
「ラリーン、すまなかった‥」
ラリーンは涙目になり私を見上げている。
ヴォルティス様の為といいながら途中から本気で私自身がラリーンの唇を欲しがった。
涙目になっているラリーンは可愛らしいが、その罪悪感でいっぱいとなる。
「いえ、お役に立てたのなら良かったです。」
そう言って目に涙を浮かべたまま微笑んでくれた。
そんなラリーンがとても愛おしくなりギュッとラリーンを抱きしめた。
「マークバルダ様‥」
ラリーンも戸惑いながら抱きしめ返してくれた。
口づけとはこんなに相手を愛おしくさせるものだと初めて知った。
今まで以上にラリーンへの気持ちは強くなるのを自分でも感じた。
キース、お前の気持ちが少しわかる‥
ヴォルティス様に口づけをお教えした後もラリーンと口づけをするようになった。
ヴォルティス様には振り回させる事も多いが、今回の口づけは良かったと心底思う。
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