【完結】闇落ちした聖女候補は神様に溺愛される

みやちゃん

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第2章

ラリーンの回想2(ラリーン視点)

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「聖女をやめるって本当ですか?若返りはするとききましたが‥」
ラリーンはマークバルダから聞いた話をマリーに確かめにきていた。

ラリーンと出会ってから30年、マリーは聖女として活動していくのが難しい年になっていた。

若返りをし、聖女を継続する。
誰しもそう思っていた。

「あら、話が早いわね。マークバルダ様ったら口が軽い。」
まだ、口外が許されない状況なのだろう。誰からの情報なのかすぐにバレてしまった。

「なぜですか?あなたほどの聖女が失われるなんて‥」

「キース様が希望の神なのは知っているわよね?」

「もちろんです、キース様を知らない者はいません。」

希望の神キース様と守りの神マークバルダ様は人々から一番、崇められている神だ。

「希望の神なのに私の望みが叶えられないのが辛いって譲らないの。結局私が熱意に負けたって事になるのかしら?」
マリーさんは悲しそうに笑う。

「マリーさんの望みですか?」
聖女として最前線でずっとやってきたマリーさんの叶えられない望みって‥

「そう、好きな人と結婚して赤ちゃんを産んで幸せな家庭を作ること‥」
少し照れたようにマリーさんは下を向く。

そんな話30年間一度もしたことがなかった。
ずっと我慢してきたのだろうか。
聖女であるうちは結婚も子を作る事もできない。神様と結ばれているのだから。
そのため、聖女を早々に引退する者がいるのも事実だ。

「好きな人とですか‥」
マリーさんの周りには男性の影などない。
この30年隠してきたの?
今までのお礼にキース様がその男性も一緒に若返らせるの?
私の視線に気づきマリーさんは答える。

「キース様が人になり、私と夫婦になってくれるのよ。」

マリーさんは簡単に言ったが、それが本当なら前代未聞の大事件になる。
神が人になるなんて。しかも、人々を守る希望の神だ、反対されるどころの騒ぎではない。

「ごめんね、きっと大変なことになるけど、私達はもう決めたの。明日ここから離れるわ。最後にあなたに会えてよかった。」
マリーさんはいつもの笑顔を向けてくれるが、目に涙が浮かんでいる。

だから、マークバルダ様は私に話してくれたのだとわかった。マリーさんを慕っていた私を気遣って最後に会わせてくれたマークバルダ様に感謝した。


それからの神殿はしばらく神と聖女のスキャンダルで大騒動していた。
それは神の世界でも同じだったらしい。

穢れをうむ人をよく思っていない神も多い。キース様の決断は神々に受け入れられず、無理やり人に落とす人落ちさせようとした。
神と人は全く違う。人落ちは罪神に行われるもので、いきなり人になるのは死にたいと思うほどの苦しみが伴うそうだ。
それを最高神がキース様を認め、人にすると決定したのだ。周りの神も何も言えなくなり、徐々に神から人に移行できるようになったと聞いた。

どこにいるかはわからないけれど、幸せになってほしいと願うばかりだった。


そう、マリーさんとリーナさんはよく似ていた。顔がというより性格がそっくりだった。
真っ直ぐで常に誰かの事を思って動いていた。
一緒にいてとてもあたたかいものを感じた。

だから、リーナさんの夢の話ですぐにマリーさんが浮かんだ。ラハールから聞いたリーナさんの母の特徴もマリーさんと重なる。

あのまま、無事に夫婦になれていたら‥リーナの父親はキース様という事になる。
リーナさんは最高位の元聖女とマークバルダ様と同等の力を持つ元神の子。

そう考えると色々と不思議だったリーナさんの力の謎が解けるかもしれない。

「マークバルダ様が会えたら話さなくては‥」

神の世界に人が足を踏み入れるのは難しく、時間がかかる為、その準備をしにマークバルダは命の泉に行っていた。
3女神も自分の仕事の為、離れている。

ラリーンのペンダントに加護を追加し、何かあればペンダントに祈るだけですぐに来ると何度も何度も念押しをしているマークバルダ様は相当リーナさんの事がこたえているのだろう。

明日には命の泉に到着する‥マークバルダ様に話す時間はあるのだろうか。
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