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第2章
ラリーンの聖女復活(マークバルダ視点)
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マークバルダはヴォルティスの意図がわからず混乱していた。
何がしたいのかわからない。
もう長い間、側で仕えていた。そんなマークバルダでも今回のヴォルティスの言い出した賭けの意図が全くわからずにいた。
聖女候補を連れて行けたとして、本当に彼女を処刑するつもりなのだろうか。そんな事をヴォルティス様はできるのだろうか。
それでもヴォルティス様の命令ならば聖女候補を連れていかなければならない‥
聖女候補からは穢れが出る可能性もあった為、神殿の特別室に一泊し、次の日の朝出発する手はずになっていた。その護衛を兼ね、特別室の前室に私はいた。
その前室の扉がノックされる。
「マークバルダ様‥話は聞きました。」
ラハールを連れてラリーンがやってきた。
「あぁ」
なんと答えたら良いのだろう。
私が闇落ちした聖女候補を命の泉まで連れて行く事ができるのだろうか。
穢れを持つ彼女に触ることすらできないのに‥
「私達も一緒に行ってはいけませんか?マークバルダ様の手助けをしたい。」
ラリーンは同行の意思を伝えてきた。
後ろにいるラハールをチラッとみると目があい、いきなり頭を下げる。
「すみませんでした。私の浅はかな行為が招いた事態‥いくら謝っても許されるものではありませんが、手伝わせてください。お願いします。」
顔色は悪く、強く握られた手は震えている。ラリーンから全てを聞いたのか。
手助けしてもらえるのはありがたいが、正直知らなかったとはいえ闇落ちに関わった彼の事をよくは思っていない。
「マークバルダ様、ラハールは本当にリーナさんの事を思っています。私達は協力するべきだと思います。」
私の心を見透かすようにラリーンはいう。
「わかった、一緒についてきてくれ。」
「はい、よろしくお願い致します。本当に申し訳ありませんでした‥」
ラハールはさらに深々と頭を下げる。
今後の予定をラリーンとラハールに説明する。説明が終わったが、ラリーンから話があるという事でラハールは先に部屋を出てもらった。
「話とはなんだ?」
「前に仰っていた私の若返りはまだ有効でしょうか?私が聖女に戻り、できる限りリーナさんの穢れを浄化し、少しでも闇落ちを延ばしましょう‥」
ラリーンは真っ直ぐに私を見ていう。
私は驚きを隠せない。その話は前に断られていたはずだ。
「それは助かるが‥あの時、人の寿命を全うしたいと延長を断っただろう。いいのか?後何十年かは寿命が伸びて元には戻せない。」
聖女は人である為、歳をとる。仕方がないが、神力により一度だけ細胞を活性化させ若返らせる事ができる。
細胞に無理やり刺激を与えて行う処置の為、何度もすれば脆弱な人の細胞はもたない。だから一度限りと決められている。
「ええ、あの時もすごく悩みましたから。それに関する事はよく知っています。」
ラリーンは微笑む。
「悩んだのか。初めて聞いた。」
あの時、断られた事が辛くなかったといったら嘘にはなるが、人には人の生き方がある。神であってもその生き方を否定する事はできないと諦めたのだ。
「あの時、あと何十年か一緒にいるのは耐えられないと思いました。神と聖女の関係を維持していけるのか、私自身わかりませんでした。」
「どういう事だ?」
「マークバルダ様はどうして私の他に聖女を迎えなかったのですか?」
なぜか?そんな事はわからない。
私の穢れはラリーンに除いてもらい少なくなっていたし、しばらくは新たに聖女を迎える気にもならなかった。
私の返答に困っているとラリーンがフフフと笑う。昔を思い出すように。
「私はあの時マークバルダ様に惹かれていました。あなたの特別になりたい。あなたが他に聖女を迎えるのは嫌‥しかし、私と一緒に死んで欲しくもない。あなたの手を離せる最後のチャンスでした。」
聖女と一緒に眠りにつく神もいる。あの時はそんな事を考えてはいなかったが、もし後何十年か一緒にいれば‥私もラリーンと共に眠ったかもしれない。
「全て過去形だな。」
ラリーンが私への想いを全て過去形で話している事に胸の痛みを感じていた。
「そうですね、あの時マークバルダ様との絆は切れて諦めがついたのかもしれません。」
「そうか‥」
それ以上話を続ける事はできなかった。
もう過去を振り返っても変えられない。
ならば、今は聖女候補の為にラリーンに協力をしてもらおう。
守り切れず闇落ちさせ、ヴォルティス様から聖女候補を離したのに‥
聖女候補を命の泉に連れて行く‥それを建前にしてラリーンをまた私の聖女にできると喜ぶ自分に嫌気がさす。
何がしたいのかわからない。
もう長い間、側で仕えていた。そんなマークバルダでも今回のヴォルティスの言い出した賭けの意図が全くわからずにいた。
聖女候補を連れて行けたとして、本当に彼女を処刑するつもりなのだろうか。そんな事をヴォルティス様はできるのだろうか。
それでもヴォルティス様の命令ならば聖女候補を連れていかなければならない‥
聖女候補からは穢れが出る可能性もあった為、神殿の特別室に一泊し、次の日の朝出発する手はずになっていた。その護衛を兼ね、特別室の前室に私はいた。
その前室の扉がノックされる。
「マークバルダ様‥話は聞きました。」
ラハールを連れてラリーンがやってきた。
「あぁ」
なんと答えたら良いのだろう。
私が闇落ちした聖女候補を命の泉まで連れて行く事ができるのだろうか。
穢れを持つ彼女に触ることすらできないのに‥
「私達も一緒に行ってはいけませんか?マークバルダ様の手助けをしたい。」
ラリーンは同行の意思を伝えてきた。
後ろにいるラハールをチラッとみると目があい、いきなり頭を下げる。
「すみませんでした。私の浅はかな行為が招いた事態‥いくら謝っても許されるものではありませんが、手伝わせてください。お願いします。」
顔色は悪く、強く握られた手は震えている。ラリーンから全てを聞いたのか。
手助けしてもらえるのはありがたいが、正直知らなかったとはいえ闇落ちに関わった彼の事をよくは思っていない。
「マークバルダ様、ラハールは本当にリーナさんの事を思っています。私達は協力するべきだと思います。」
私の心を見透かすようにラリーンはいう。
「わかった、一緒についてきてくれ。」
「はい、よろしくお願い致します。本当に申し訳ありませんでした‥」
ラハールはさらに深々と頭を下げる。
今後の予定をラリーンとラハールに説明する。説明が終わったが、ラリーンから話があるという事でラハールは先に部屋を出てもらった。
「話とはなんだ?」
「前に仰っていた私の若返りはまだ有効でしょうか?私が聖女に戻り、できる限りリーナさんの穢れを浄化し、少しでも闇落ちを延ばしましょう‥」
ラリーンは真っ直ぐに私を見ていう。
私は驚きを隠せない。その話は前に断られていたはずだ。
「それは助かるが‥あの時、人の寿命を全うしたいと延長を断っただろう。いいのか?後何十年かは寿命が伸びて元には戻せない。」
聖女は人である為、歳をとる。仕方がないが、神力により一度だけ細胞を活性化させ若返らせる事ができる。
細胞に無理やり刺激を与えて行う処置の為、何度もすれば脆弱な人の細胞はもたない。だから一度限りと決められている。
「ええ、あの時もすごく悩みましたから。それに関する事はよく知っています。」
ラリーンは微笑む。
「悩んだのか。初めて聞いた。」
あの時、断られた事が辛くなかったといったら嘘にはなるが、人には人の生き方がある。神であってもその生き方を否定する事はできないと諦めたのだ。
「あの時、あと何十年か一緒にいるのは耐えられないと思いました。神と聖女の関係を維持していけるのか、私自身わかりませんでした。」
「どういう事だ?」
「マークバルダ様はどうして私の他に聖女を迎えなかったのですか?」
なぜか?そんな事はわからない。
私の穢れはラリーンに除いてもらい少なくなっていたし、しばらくは新たに聖女を迎える気にもならなかった。
私の返答に困っているとラリーンがフフフと笑う。昔を思い出すように。
「私はあの時マークバルダ様に惹かれていました。あなたの特別になりたい。あなたが他に聖女を迎えるのは嫌‥しかし、私と一緒に死んで欲しくもない。あなたの手を離せる最後のチャンスでした。」
聖女と一緒に眠りにつく神もいる。あの時はそんな事を考えてはいなかったが、もし後何十年か一緒にいれば‥私もラリーンと共に眠ったかもしれない。
「全て過去形だな。」
ラリーンが私への想いを全て過去形で話している事に胸の痛みを感じていた。
「そうですね、あの時マークバルダ様との絆は切れて諦めがついたのかもしれません。」
「そうか‥」
それ以上話を続ける事はできなかった。
もう過去を振り返っても変えられない。
ならば、今は聖女候補の為にラリーンに協力をしてもらおう。
守り切れず闇落ちさせ、ヴォルティス様から聖女候補を離したのに‥
聖女候補を命の泉に連れて行く‥それを建前にしてラリーンをまた私の聖女にできると喜ぶ自分に嫌気がさす。
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