【完結】闇落ちした聖女候補は神様に溺愛される

みやちゃん

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第1章

公爵の怒り(公爵視点)

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アリーティナが穢れをうんだ事は神殿からレフーガン公爵家にも伝えられた。

父親である公爵は立腹し、母である公爵夫人はその場で倒れた。
公爵は神殿の責任を追及したが、神殿側からアリーティナのいじめや相手が神にも認められた聖女候補であったことを言われるとそれ以上は表面だって追及できなかった。

聖女とは公爵家と言えども簡単には口出しできないほど身分の高いのだ。たとえ、元が平民であっても。

そう、リーナの身分が平民である。それが余計に公爵の苛立ちを大きくした。
アリーティナは療養目的で実家に帰されたが、神殿に置いておきたくないというのがありありとわかる。

神殿はアリーティナではなく、その娘を選んだ。その事実は公爵の受け入れられるものではなかった。
「過去最高の聖女になる娘をいじめたから何だというのだ。平民の娘だろう。そんな卑しい存在が、私の娘を追い詰めるなどあり得ない。そんな娘が聖女となるなど許せるものか。」

目覚めた後のアリーティナは気の持ちようで穢れをまたうむ可能性はあったが、目覚めてからボーとして過ごしていた。
あの時のあたたかいものに包まれた感覚から抜け出せなかったのだ。嫌悪感や苛立ちがすっぽ抜けてしまっていた。

それを見た公爵は余計に腹を立てた。
いつでも自身たっぷりで公爵令嬢としてのプライドと美貌をもつアリーティナをこんな風にするなど、許せるものではない。

医者からはアリーティナはもう元に戻せないかもしれないと言われた。穢れの浄化でこのような副作用は聞いたことがなく、経過を見るしかないと‥
その娘が何かアリーティナにしたのだ。自分にとって邪魔なアリーティナを排除するために。
そう考えるとアリーティナは穢れをうむよう仕向けられたのかもしれない。

だが、元のアリーティナに戻った際に穢れをうむのは困る。
なら、アリーティナが元の状態に戻る前に穢れの元を絶っておけばいい。その娘さえいなければ、アリーティナは穢れをうむような事はないはずだ。

「忌々しい。あの娘だけ聖女になどさせるものか。」

神殿で口止めがされていても穢れをうんだという噂はついて回る。
アリーティナは聖女になれないだけでなく、もう良家へ嫁入りする事も難しいだろう。

公爵はボーと窓の外を眺めるアリーティナを見ながらギリギリと歯ぎしりをする。

許さない、平民などに我がレフーガン公爵家が傷つけられるなど認められるものではない。

神も神殿も後悔させてやる。
自分達が大切にしようとしたものを壊してやる。私達をないがしろにすればどうなるか思い知るがいい。

だが、神と神殿が相手となると慎重にやらないとな。
まずは神殿内部を調べなければ。まだ、聖女の儀まで一年近くある。
じっくり調べ上げ、一気に叩き落としてやる。

どうすれば、神や神殿を出し抜いてその娘を地獄に落とすことができるのか公爵はその事ばかり考えていた。
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