【完結】闇落ちした聖女候補は神様に溺愛される

みやちゃん

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第1章

リーナとアリーティナ(リーナ&マークバルダ視点)

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アリーティナはリーナを追い出すために思いつく限りの嫌がらせをしていた。
嫌味を言ってきたり、存在を否定したり、令嬢に言ってリーナを無視したり。
悪質なものではご飯に虫が入れられたり、持ち物がなくなったりもしていた。

だが、リーナ自身、元々令嬢とは仲が良くないし、嫌味に嫌がらせは前からだし、そんなに気にしていなかった。

それが余計にアリーティナの負の感情を大きくしているとわかってからは傷ついた演技をする事にした。

「どうしてこんな事するの?私が何したの?」
涙は出ないし棒読みだった。
演技指導など受けた事がないのだから当たり前だが、その嘘くさい演技が余計にアリーティナをイラつかせた。

適当に流してもダメ、悲しい振りもダメ‥
私にどうしろっていうのよ!

これ以上アリーティナを刺激したくない。
穢れをうむまでもう余裕がない。
だが、こちらから関わらなくても向こうから関わってくるのだ。

私が神殿を出たらいい?
でも、そうなると聖女にもなれないし、神様にも会えなくなる。逃げたと思われるのも嫌だ。

リーナは頭を抱えていた。




「聖女候補様が悩まれているのはこのことのようですね。」
ルーマからヴォルティス様に報告が入った。しっかり証拠映像もある。
ルーマは知ったものを映像化する事もできるのだ。
仕事ができるというか‥余計な事をしてくれたというか‥

チラッとヴォルティス様をみると映し出された映像をみてプルプルと震えている。

「ヴォルティス様‥」

「私のかわいい子がこんな辛い目にあっていたのか‥」

いや、今の映像をちゃんと見ていたかと聞き返したい。
適当に流してたし、気にしてなさそうだった。それが相手を刺激してるのに気づいて傷ついたフリをしただけだ。
だが、その演技はいただけない。聖女候補は真剣だろうが、めちゃくちゃバカにしているように見えるぞ。

その明らかに嘘っぽい演技にヴォルティス様もルーマも憤っていた。
色眼鏡を外してちゃんとみてみろと言いたい。裁きの神と情報の女神だろう。

このままだと確実におかしな方向に向かう事だけはわかる。ため息しか出ない。

「ヴォルティス様、聖女候補の事は私にお任せください。神官長に注意しておきましょう。絶対にヴォルティス様は出ないでください。」

冷静でないヴォルティス様が私情で人を裁くなど許される事ではない。

その事はヴォルティス自身わかっているようで「なんで裁きの神なんだ‥私のかわいい子がやられているのに助ける事ができないなんて。」とボヤいている。

大人しくしておいてください。

もう聖女候補にルーマをつけなくもいいのではと言うと「まだ、何かあるかもしれないし継続する。」と聞く耳を持たなかった。

確かにヴォルティス様は聖女候補を心配をしている。
だが、ルーマを聖女候補につけることで自分の知らない表情や様子を知る事ができるとわかった。
命の泉でもその映像を繰り返し見ている。特に笑った顔がお気に入りだ。

聖女候補本人の知らない隠し映像をニヤニヤと笑いながら見つめるその姿は‥もう立派な犯罪者になっていますよと言いたい。

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