【完結】闇落ちした聖女候補は神様に溺愛される

みやちゃん

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第1章

リーナの負の感情

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「じゃあ、今日はここまでにしましょう。質問はありますか?」
ラリーン先生はとても熱心に教えてくれた。
たぶん、こんなに手のかかる生徒はいないと思う。
わからないところは何度も教えてくれる。

「一つ聞きたい事があります。」
私はどうしても気になる事があった。

「何でしょう?」
ラリーン先生は真剣な眼差しを向けてくれる。
先生はとても厳しい。
人にも自分にも。
でも、きっと優しい人だ。
こんな風に私の話にも真剣に耳を傾けてくれるのだから。

神様と会っているのは内緒の事じゃないよね‥

「心を強く持ちなさい。神は穢れを嫌います。あなたのその劣等感が大きくなれば、穢れにつながる。」
先生が言った言葉が頭の中をグルグルと回っている。

私は今、負の感情がある事を自覚している。
穢れを持っていないだろうか。
神様を不快にしたりしないだろうか。

神様には嫌われたくない‥

「今の私は神様に会っても大丈夫だと思いますか?穢れはないと思いますか?」

令嬢達に対し、今もモヤモヤしている。
穢れを持っているかもしれない私が神様と会っても良いのだろうか?

その質問を聞いたラリーン先生は目を大きく見開いて驚いた表情をした。

「‥その言い方だと神に会う予定があるようですね。」
ジロリとラリーン先生は私を見る。

言ってはいけなかったのかと後悔したけど、先生に嘘をつくだけの演技力なんてない。
素直に言うしかない。

「はい‥ダメでしたか?」
私は恐る恐る聞く。

「いえ、少し驚いただけです。そうですね、そう言う事ならこれをあげましょう。」

首に手を回すと服の中から石のついたペンダントを取り出し、はずして私に渡してきた。

その石は選定の時に見た水晶と同じように吸い込まれそうな綺麗な青色をしていた。

「綺麗‥」
リーナは思ったまま呟いた。
その色は神様の瞳の色‥
ウットリとその石を見つめる。

「触ってみなさい。」
ラリーン先生に言われるまま石に触る。

石の色は変わらない。
澄んだ青い色をしている。

「それが答えよ。」
ラリーン先生が微笑む。

答え?
何でこれが答えになるの?

「それは水晶と同じものでできています。浄化の力をみる水晶とは違って、触った人の心の色を映し出すもの。心が澄んでいれば青、負の感情が強ければ赤、そして穢れをまとえば黒に色がかわります。」

じゃあ、私が触っても青のままだったから、大丈夫だ。

今日も神様に会いに行ける。
そう思うと嬉しくて今までのモヤモヤしていた感情も消し飛んでしまった。

「これから感情のコントロールや浄化の方法を学んでいきます。でも、今のあなたにはまだ難しいと思う。だから、神と会う前には必ず心の色を確認しなさい。どのような神かは知らないけれど、その縁を大切にした方が良いわ。」

「はい、ありがとうございます!いつかこの石のお礼を必ずしますね。」

今の私には返せるものが何もない。
感謝しか伝えられない。

「それなら立派な聖女になりなさい。一人でも多くの聖女を育て穢れを減らす。私の大切な神との約束なのです。」
そう言って微笑むラリーン先生はとても優しくて素敵だった。
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