5 / 87
第1章
聖女候補の選定2
しおりを挟む
リーナは村を出て聖女になるために神殿にいる。
そのはずだった。
周りを見れば見るほど‥
うーん、どう見ても平民は私だけじゃない?
これでどう自信を持てと神官さんは言うのかさっぱりわからない。
みんな、綺麗なお嬢様ばかり。
さすがにアリーティナの様なお姫様みたいな人はいないが、着ているものからして私と違う。
「みすぼらしい。」
アリーティナの言葉が思い出される。
その言葉に私は怒っていた。
これは、お母さんが私の為に作ってくれたワンピースだもん!
かわいいし、動きやすいし。
そんなみすぼらしいなんて言われる覚えはないわ。
怒っていて大事なことを忘れていた。
一番重要なことを‥
そうリーナはこれからの内容を全く知らないのだ。
これから聖女候補の選定があるといっていたけど‥
何をするのか具体的には聞いていない。
私が村を出てから到着までの日程がギリギリだったので、先を急いでいた。
その為、神官さんともゆっくり話をできていなかった。
みんな勉強してきてるのかな‥
ぶっつけ本番でくる人なんていないよな。
まさか読み書き?
村のオババが教えてくれた簡単な単語しか書けない。
運動とかならこのメンバーに勝てそうなんだけど。
これから行われる選定について考えていたが、自信があるのは体力くらいだった。
「では、聖女候補の選定を行う!まずは聖女に必須の浄化の力があるかどうかをみる。」
リーナに付き添った神官さんより煌びやかな衣装を着ているのをみるとえらい立場の神官さんなのだろう。
そう宣言し、パンと手を叩くと大きな水晶が4人がかりで運ばれてきた。
両手で包み込むのは難しいくらいの大きな青い綺麗な水晶だ。
リーナはジッと睨みつけるようにその水晶を見ていた。
綺麗‥と見つめているわけではない。
あれ、いくらするんだろう。割ったら弁償できないかも‥
壊さないように気をつけようと一人違うこと考えていた。
1人ずつ名前を呼ばれ、水晶の前に立つ。
水晶の中がポァと光る。
人によって光り方が違う様だ。
全く光らない者たちもいた。
どうなれば良いのかさっぱりわからないが、みんなの反応を見る限り、光った方が良いみたいだった。
リーナの名が呼ばれる。ドキドキしながら水晶に近づく。
見れば見るほど青く澄みきった水晶‥
見つめているだけで何故か涙が出てきそうになる。
リーナも皆がしているように右手をかざす。
その瞬間、水晶から光が部屋中に放たれた。
部屋が光で真っ白となり、眩しすぎて目を開けておくこともできなかった。
目を閉じていても、光を感じるくらいに強い光だった。
「私のかわいい子‥」
声が聞こえる。
いや、正確には声というより頭の中に直接訴えかけるような響きだった。
あたたかい‥なんで涙が出るの‥
リーナは涙を流していた。
あたたかく大きな何かに包み込まれているような幸せを感じていたから。
リーナが水晶から手を離すと光は消える。
あたたかいものも消えてしまった。
それでもリーナは放心状態だった。
生まれて初めて味わう感覚から抜け出すことができない。
「‥‥」
しばらく誰も何も話さない。
静まり返る部屋。
誰かがポソリと呟く。
「聖女様の力‥」
その次の瞬間、神官達はワァと歓喜の声をあげリーナを囲んだ。
「間違いなく聖女様のお力です!こんなに強いのは初めて見ました!」
皆、興奮しすぎていて怖い‥
リーナは神官達に揉みくちゃにされていた。
だから気付かなかった。
その様子をギリギリと歯ぎしりをし、睨むように見ている人物がいたことを。
そのはずだった。
周りを見れば見るほど‥
うーん、どう見ても平民は私だけじゃない?
これでどう自信を持てと神官さんは言うのかさっぱりわからない。
みんな、綺麗なお嬢様ばかり。
さすがにアリーティナの様なお姫様みたいな人はいないが、着ているものからして私と違う。
「みすぼらしい。」
アリーティナの言葉が思い出される。
その言葉に私は怒っていた。
これは、お母さんが私の為に作ってくれたワンピースだもん!
かわいいし、動きやすいし。
そんなみすぼらしいなんて言われる覚えはないわ。
怒っていて大事なことを忘れていた。
一番重要なことを‥
そうリーナはこれからの内容を全く知らないのだ。
これから聖女候補の選定があるといっていたけど‥
何をするのか具体的には聞いていない。
私が村を出てから到着までの日程がギリギリだったので、先を急いでいた。
その為、神官さんともゆっくり話をできていなかった。
みんな勉強してきてるのかな‥
ぶっつけ本番でくる人なんていないよな。
まさか読み書き?
村のオババが教えてくれた簡単な単語しか書けない。
運動とかならこのメンバーに勝てそうなんだけど。
これから行われる選定について考えていたが、自信があるのは体力くらいだった。
「では、聖女候補の選定を行う!まずは聖女に必須の浄化の力があるかどうかをみる。」
リーナに付き添った神官さんより煌びやかな衣装を着ているのをみるとえらい立場の神官さんなのだろう。
そう宣言し、パンと手を叩くと大きな水晶が4人がかりで運ばれてきた。
両手で包み込むのは難しいくらいの大きな青い綺麗な水晶だ。
リーナはジッと睨みつけるようにその水晶を見ていた。
綺麗‥と見つめているわけではない。
あれ、いくらするんだろう。割ったら弁償できないかも‥
壊さないように気をつけようと一人違うこと考えていた。
1人ずつ名前を呼ばれ、水晶の前に立つ。
水晶の中がポァと光る。
人によって光り方が違う様だ。
全く光らない者たちもいた。
どうなれば良いのかさっぱりわからないが、みんなの反応を見る限り、光った方が良いみたいだった。
リーナの名が呼ばれる。ドキドキしながら水晶に近づく。
見れば見るほど青く澄みきった水晶‥
見つめているだけで何故か涙が出てきそうになる。
リーナも皆がしているように右手をかざす。
その瞬間、水晶から光が部屋中に放たれた。
部屋が光で真っ白となり、眩しすぎて目を開けておくこともできなかった。
目を閉じていても、光を感じるくらいに強い光だった。
「私のかわいい子‥」
声が聞こえる。
いや、正確には声というより頭の中に直接訴えかけるような響きだった。
あたたかい‥なんで涙が出るの‥
リーナは涙を流していた。
あたたかく大きな何かに包み込まれているような幸せを感じていたから。
リーナが水晶から手を離すと光は消える。
あたたかいものも消えてしまった。
それでもリーナは放心状態だった。
生まれて初めて味わう感覚から抜け出すことができない。
「‥‥」
しばらく誰も何も話さない。
静まり返る部屋。
誰かがポソリと呟く。
「聖女様の力‥」
その次の瞬間、神官達はワァと歓喜の声をあげリーナを囲んだ。
「間違いなく聖女様のお力です!こんなに強いのは初めて見ました!」
皆、興奮しすぎていて怖い‥
リーナは神官達に揉みくちゃにされていた。
だから気付かなかった。
その様子をギリギリと歯ぎしりをし、睨むように見ている人物がいたことを。
0
お気に入りに追加
230
あなたにおすすめの小説
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
黎
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

【完結】婚約破棄寸前の悪役令嬢は7年前の姿をしている
五色ひわ
恋愛
ドラード王国の第二王女、クラウディア・ドラードは正体不明の相手に襲撃されて子供の姿に変えられてしまった。何とか逃げのびたクラウディアは、年齢を偽って孤児院に隠れて暮らしている。
初めて経験する貧しい暮らしに疲れ果てた頃、目の前に現れたのは婚約破棄寸前の婚約者アルフレートだった。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
【完結】追放された元聖女は、冒険者として自由に生活します!
蜜柑
ファンタジー
レイラは生まれた時から強力な魔力を持っていたため、キアーラ王国の大神殿で大司教に聖女として育てられ、毎日祈りを捧げてきた。大司教は国政を乗っ取ろうと王太子とレイラの婚約を決めたが、王子は身元不明のレイラとは結婚できないと婚約破棄し、彼女を国外追放してしまう。
――え、もうお肉も食べていいの? 白じゃない服着てもいいの?
追放される道中、偶然出会った冒険者――剣士ステファンと狼男のライガに同行することになったレイラは、冒険者ギルドに登録し、冒険者になる。もともと神殿での不自由な生活に飽き飽きしていたレイラは美味しいものを食べたり、可愛い服を着たり、冒険者として仕事をしたりと、外での自由な生活を楽しむ。
その一方、魔物が出るようになったキアーラでは大司教がレイラの回収を画策し、レイラの出自をめぐる真実がだんだんと明らかになる。
※序盤1話が短めです(1000字弱)
※複数視点多めです。
※小説家になろうにも掲載しています。
※表紙イラストはレイラを月塚彩様に描いてもらいました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる