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ノルディは頭を抱えていた。
レピアから面会は拒否され、彼女唯一の侍女からは意味のわからない事を言われてしまった。

どうしたらレピアと会うことができる?
アリアと何の関係があるのかいくら考えてもさっぱりわからなかった。

「どうしたらいいんだ?」
ノルディは頭を抱えていた。

自分はどうしたい?
レピアと結ばれたい。愛し合って自分の妃としたかった。
それはノルディの子供の頃からの夢見てきたこと。
レピアの横に自分がいて笑いかけられたらどれだけ嬉しいだろう。

今のレピアをどうしたいか?
もちろん、幸せになってもらいたい。
いつも笑顔で安らかな人生を歩んでもらいたい。
聖女である以上レピアの性格では難しいかもしれないが、そばで支えるのが自分であってくれれば尚更いい。

では今面会が叶わないのはなぜか。
私の事が嫌いになった?
アールへの罪悪感が増した?
このまま一生会えないのか?

ノルディは首をブンブンと横に振った。

「いくら考えてもわからないのなら、レピアに聞こう。本当に嫌われているのなら…これからもずっと会いたくないのなら…」

そのレピアの想いを優先するべきだ。
妃とし、皇都に連れてこられただけでもレピアへの危険は減っている。
この皇城内なら別居だってできる。
いや、今も部屋は別だし会えていないから別居の様なものだが、一切関わりたくないと言われると調整が必要となってくる。

レピアの本音が知りたい。
それがどんなものであっても受け止めよう。
ノルディはそう覚悟を決めてノアに会いに行った。


「ノルディ…どうしてここに…」
レピアが庭の散歩をしていると途中の休憩所でお茶の準備をして待ち構えているノルディを見つけた。

ノアが散歩に誘ってくれた。
そのコースと時間を把握しているのはノアしかいない。
レピアは後ろについてきていたノアを振り返ってみた。

「ノア…あなた…」
レピアがノルディとの面会を拒否している事を知っているノアがどうしてこんな騙し討ちの様な行動をするのかわからなかった。

「申し訳ありません。ですが、いつまでも逃げ回れないのですよ?それならば早めに話し合われた方が良いと思いました。」
ノアは悪びれる様子もなくレピアに言った。

レピアだってわかっている。
いつまでもノルディの面会を拒否などできない事を。

だけどまだ心の準備ができてない。
レピアは胸がドキドキと速くなるのを自覚した。

「レピア、ノアを責めないでくれ。私が時間を作ってくれないかと頼み込んだんだ。」
ノルディは嫌がるレピアの態度に心を痛めたが、表面には出さずレピアを休憩所の椅子に座らせた。

ノアがノルディの希望に沿ったようにみせてはいるが、このお茶会はノアがアリアと考えた計画だった。

ノルディとレピアが素直に話し合える場をどうすれば作り出せるのかを考えた上でお茶会がよいとの結論になった。
アールとレピアが出会うまで、レピアとノルディの思い出の場所だったのだから。

ノルディは自らレピアにお茶を入れる準備し始めた。
「ノルディ、あなたお茶を入れられるの?」
レピアは自分でお茶を入れた事もなかった。
いつもノアがいたし、入れ方もわからなかった。
それなのに皇子であるノルディがお茶をいれられる事に驚いた。

「ああ、レピアがよく飲んでくれる物を探していたからな。レピアの好みなら任せておけ。」

ノルディは優しく笑った。
レピアが大怪我を負った後反応がなかった頃の事を言っているのだろう。
感情を失い生きる気力さえなかったレピアにとって辛い辛い時間。

レピアは手がプルプルと震えているのがわかった。
あの時の辛い記憶が戻ってきていた。

そんな中、ノルディがカップにお茶を注ぐととても良い香りが一気に広がった。

「このお茶は…」
レピアの記憶の中でもこのお茶の香りと共に優しい言葉や体温に包まれて安心した事を思い出した。

「レピアは好きだろう?このお茶のお陰でレピアはこちらに戻ってきてくれた。」
ノルディは嬉しそうにカップをレピアの前に出した。

ノルディにとってはとても大切な思い出のお茶だった。
レピアが生きたいと思わせてくれたのだと信じていた。

だからこそ、そのお茶を飲めばレピアがまた元気になってくれると考えたのだ。

目の前のレピアに目を向けるとお茶を飲む様子もなく固まっているのがノルディの目に入った。

会いにきてはいけなかったか…
ノルディは今回の行動もレピアは嫌だったのかもしれないと顔は青ざめた。

「レピア?」
レピアの目から涙がポロリとこぼれたのを見たノルディは余計に焦った。
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