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レピアは水分を取ることができるようになった。
ノルディが栄養のあるものを美味しく飲めるように頑張ったおかげ。

「今日はよく飲んでくれて嬉しい。レピア様の好きなマールの果実も入れたから美味しいのだろうな。」
ノルディは上機嫌だった。

最近はレピア様の顔色がいい。
表情は相変わらず変わらないが、体は生きようとしているのがわかる。

明日はどんなジュースが良いだろう?
スープでもいいな。
レピア様も美味しいと感じているはず。

ノルディは料理の本を眺めながらレピアが好きそうなジュースやスープをピックアップしていた。

レピアの事件の真相を調査もしているが、今ではノルディはレピア専用の治癒師&料理人になっていた。

トントン。

「入れ」
ドアを叩く音がし、ノルディが入室を許可した。

数人の聖騎士達がノルディとレピアの前にきて敬礼をした。

「どうした?」
ノルディが問うと聖騎士団長が一歩前に出て頭を下げる。

「聖騎士団の会議でアールの除名処分が決まりましたのでその報告に参りました。」

「そうか。除名処分だけか?」
アールの起こした事件の大きさを考えればもっと重い罰が必要だとノルディは考えている。
それは神殿側も同じだった。

「聖女様、そしてこの国を危険に陥らせた罪は重いです。アール自身は亡くなっていますが、罪人として名を国内に公表することになりました。」

一族も巻き込まれる処分となる。
アールがレピア様、そしてこの国にした事は聖騎士団として恥。
いや、絶対に犯してはならない。
その処罰は当然だと会議に参加した者達の一致意見で決まった。

「アールには家族はいたのか?」

「はい、両親が健在です。そして将来を誓い合った幼馴染も…」

「将来を誓い合った?」
その言葉にノルディは反応した。

レピア様の夫となることが決まっていたはずだ。
どうして他の者と将来を誓い合っているのか?

「アールはその街の有力者の息子です。幼馴染との結婚を反対されていたようです。しばらく頭を冷やすため神殿に出されたといったところでしょうか。」

「は?意味がわからない。レピア様以外に想うものがいたのか?それならなぜレピア様と婚約をしたのだ!」
私が望んでも手に入らなかった場所にいたのにレピア様を想ってはいなかったのか?

「状況を見る限り聖女様の夫という立場が必要だったと思われます。幼馴染の家はアールの父親の罠によって借金を背負わされてました。アールは幼馴染を人質に取られていたのです。」

レピア様の夫となればもうアールの父ではアールに手が出せない。
幼馴染を救うための借金もすぐに返せる。

「その為にレピア様と婚約をしたのか…」
あんなに幸せそうな二人だったのに…
ノルディはレピアへの想いを断ち切ることに必死になっておりアールを調査しなかった自分の愚かさに腹が立って仕方がなかった。

その後はどうするつもりだったのか?
レピア様を利用するだけ利用して別れる?
それともレピア様に隠れてその幼馴染を愛妾にでもするつもりだったのか。


ノルディの隣にいる無表情のレピア様の目から涙がこぼれた。
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