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「アールは私のそばにずっといてくれる?護衛としてではなく夫として。」
レピアとアールと出会って一年。
一年前に出会った日、出会った場所でレピアはアールにプロポーズをした。
アールからは結婚など申し込めるわけもない。だから、レピアが動くしかなかったのだが…
レピアは断られたらどうしようと心臓をバクバクさせながら何日もノアと一緒に考えたプロポーズの言葉を言った。
「レピア様…もちろんです。私などでよろしいのでしょうか?」
アールの照れたような優しい微笑みを浮かべた。
その表情を見たレピアは舞い上がった。
「もちろんよ!あなたしかいないわ。様付もいらないからレピアと呼んで。」
レピアはアールに敬称をつけない事を許した。
いや、呼んでもらいたかったのだ。
「レピア…抱きしめてもよいですか?」
「ええ。」
アールはレピアを優しく包み込むように抱きしめた。
「アール…」
レピアは幸せの絶頂だった。
アールが自分の夫となる。
「レピア」と名前を呼んでくれる。
そばにいれもらえる。
ここに来るまでレピアは不安だった。
アールが自分を拒否することはないとわかっていた。
いや、できないといった方が良い。
なぜならアールにはレピアを拒否する権利などないに等しいのだから。
レピアは命令でアールと結婚したいわけではない。
だから少しでもアールが戸惑いを見せれば、諦めようと思っていたのだ。
自分のためにアールを不幸になどしたくないから。
だが、アールは嬉しそうに笑いかけてくれてその上、迷いもなく了承してくれた。
「アール、もう一度名前を呼んでもらえる?」
「ええ、何度でも言いましょう。レピア。」
アールはクスクスと笑いながら言った。
目を細めて微笑むアールの表情がレピアは大好きだった。
初めて呼ばれた呼びきりの名に心の中はあたたかいものでいっぱいになった。
アールはずっと自分のそばにいる。
誰かの夫ではなくて自分の夫として。
夫婦として対等の立場になれるはず。
レピアはそう疑わなかった。
レピアは聖女であり皆が敬う存在。
ずっと孤独だった。
でももう違う、アールがいてくれるのだから。
早く皆にこの事を知らせたい。
まずはノアね、あとは神殿と…皇室にも言わないといけないわ。
こんなにカッコいいアールだもの。
グズグズしていると誰かに奪われてしまうかもしれない。
聖女の想い人など奪う者がこの国にいるはずはない。
誰もがそう思っているが、レピアは違った。
早くアールとの関係を公にしたい。
レピアはそのことしか考えられなくなっていた。
レピアとアールと出会って一年。
一年前に出会った日、出会った場所でレピアはアールにプロポーズをした。
アールからは結婚など申し込めるわけもない。だから、レピアが動くしかなかったのだが…
レピアは断られたらどうしようと心臓をバクバクさせながら何日もノアと一緒に考えたプロポーズの言葉を言った。
「レピア様…もちろんです。私などでよろしいのでしょうか?」
アールの照れたような優しい微笑みを浮かべた。
その表情を見たレピアは舞い上がった。
「もちろんよ!あなたしかいないわ。様付もいらないからレピアと呼んで。」
レピアはアールに敬称をつけない事を許した。
いや、呼んでもらいたかったのだ。
「レピア…抱きしめてもよいですか?」
「ええ。」
アールはレピアを優しく包み込むように抱きしめた。
「アール…」
レピアは幸せの絶頂だった。
アールが自分の夫となる。
「レピア」と名前を呼んでくれる。
そばにいれもらえる。
ここに来るまでレピアは不安だった。
アールが自分を拒否することはないとわかっていた。
いや、できないといった方が良い。
なぜならアールにはレピアを拒否する権利などないに等しいのだから。
レピアは命令でアールと結婚したいわけではない。
だから少しでもアールが戸惑いを見せれば、諦めようと思っていたのだ。
自分のためにアールを不幸になどしたくないから。
だが、アールは嬉しそうに笑いかけてくれてその上、迷いもなく了承してくれた。
「アール、もう一度名前を呼んでもらえる?」
「ええ、何度でも言いましょう。レピア。」
アールはクスクスと笑いながら言った。
目を細めて微笑むアールの表情がレピアは大好きだった。
初めて呼ばれた呼びきりの名に心の中はあたたかいものでいっぱいになった。
アールはずっと自分のそばにいる。
誰かの夫ではなくて自分の夫として。
夫婦として対等の立場になれるはず。
レピアはそう疑わなかった。
レピアは聖女であり皆が敬う存在。
ずっと孤独だった。
でももう違う、アールがいてくれるのだから。
早く皆にこの事を知らせたい。
まずはノアね、あとは神殿と…皇室にも言わないといけないわ。
こんなにカッコいいアールだもの。
グズグズしていると誰かに奪われてしまうかもしれない。
聖女の想い人など奪う者がこの国にいるはずはない。
誰もがそう思っているが、レピアは違った。
早くアールとの関係を公にしたい。
レピアはそのことしか考えられなくなっていた。
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