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聖女レピアと聖騎士アールが出会ったのは花が咲き乱れる春。
レピアは春が大好きだった。
でもいつもより景色が綺麗に見えたのはレピアの気のせいではない。
急にキラキラと輝き出したのだ。
一人の青年が自分の前に立った瞬間から…
レピアは目の前に立つ青年に目を奪われていた。
「初めまして、聖女様の護衛を努めます聖騎士のアールと申します。」
優しくレピアに微笑みかけた。
サラサラした黄金色の髪に真っ青な瞳。
レピアはその優しく美しい瞳をした聖騎士の微笑みに胸の高まりを自覚した。
生まれて初めての感覚。
レピアを敬う者は多い。
皆、レピアを丁寧に扱う。
稀代の聖女である彼女にとってアールの向ける微笑みは皆から向けられるものと同じ。
当たり前の反応なはすだった。
それなのにレピアは会ったばかりのアールと名乗った聖騎士の瞳から視線を外す事ができなかった。
吸い込まれそうなその瞳と笑顔に釘付けになっていた。
「私はレピアと申します。よろしくお願い致します。」
そう声を絞り出すのがやっとだった。
声が震えていたかもしれない。
そう思うとレピアの顔は真っ赤になってうつむいてしまった。
「聖女様、ひょっとして体調が悪いのでしょうか?」
アールがレピアを心配そうに覗き込んだ。
アールとの距離がさらに近くなる。
顔から火が出ているのではないかと思うくらいレピアは真っ赤になっているのを自覚していた。
レピアはアールから離れたかった。
そうしないとすぐにバレてしまうから。
アールにバレまいとレピアは焦った。
「レピアと呼んでください!」
いきなりレピア大きな声を出し後ずさった。
アールは一瞬驚いた表情をしたが、すぐに優しく微笑んだ。
「光栄にございます。これからレピア様と呼ばせていただきます。」
聖女の事をレピアと名で呼べる者はものすごく少ない。
レピアが許さない限り皇族ですらレピアの名を呼ぶ事が許されないから。
それにも関わらず、アールは初日から名を呼ぶ事を許された。
これは神殿、皇室に大きな衝撃を与える事になる。
幼い時からレピア付の侍女のノアですら名を呼べるようになったのは出会ってから数年経った時だった。
「レピア様、今日はノルディ様とのお茶会があります。準備ができましたら一緒に向かいましょう。」
アールの優しい微笑みにレピアは胸の高鳴りとともにとてもあたたかなもので胸がいっぱいになった。
「ええ、準備するから少し待っていてくれるかしら。」
「もちろん、私はいつまでも待ちますよ。ただ、お茶会の時間は決まっていますので間に合うようにお願いします。」
アールはニコリと笑い頭を下げた。
レピアは春が大好きだった。
でもいつもより景色が綺麗に見えたのはレピアの気のせいではない。
急にキラキラと輝き出したのだ。
一人の青年が自分の前に立った瞬間から…
レピアは目の前に立つ青年に目を奪われていた。
「初めまして、聖女様の護衛を努めます聖騎士のアールと申します。」
優しくレピアに微笑みかけた。
サラサラした黄金色の髪に真っ青な瞳。
レピアはその優しく美しい瞳をした聖騎士の微笑みに胸の高まりを自覚した。
生まれて初めての感覚。
レピアを敬う者は多い。
皆、レピアを丁寧に扱う。
稀代の聖女である彼女にとってアールの向ける微笑みは皆から向けられるものと同じ。
当たり前の反応なはすだった。
それなのにレピアは会ったばかりのアールと名乗った聖騎士の瞳から視線を外す事ができなかった。
吸い込まれそうなその瞳と笑顔に釘付けになっていた。
「私はレピアと申します。よろしくお願い致します。」
そう声を絞り出すのがやっとだった。
声が震えていたかもしれない。
そう思うとレピアの顔は真っ赤になってうつむいてしまった。
「聖女様、ひょっとして体調が悪いのでしょうか?」
アールがレピアを心配そうに覗き込んだ。
アールとの距離がさらに近くなる。
顔から火が出ているのではないかと思うくらいレピアは真っ赤になっているのを自覚していた。
レピアはアールから離れたかった。
そうしないとすぐにバレてしまうから。
アールにバレまいとレピアは焦った。
「レピアと呼んでください!」
いきなりレピア大きな声を出し後ずさった。
アールは一瞬驚いた表情をしたが、すぐに優しく微笑んだ。
「光栄にございます。これからレピア様と呼ばせていただきます。」
聖女の事をレピアと名で呼べる者はものすごく少ない。
レピアが許さない限り皇族ですらレピアの名を呼ぶ事が許されないから。
それにも関わらず、アールは初日から名を呼ぶ事を許された。
これは神殿、皇室に大きな衝撃を与える事になる。
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「レピア様、今日はノルディ様とのお茶会があります。準備ができましたら一緒に向かいましょう。」
アールの優しい微笑みにレピアは胸の高鳴りとともにとてもあたたかなもので胸がいっぱいになった。
「ええ、準備するから少し待っていてくれるかしら。」
「もちろん、私はいつまでも待ちますよ。ただ、お茶会の時間は決まっていますので間に合うようにお願いします。」
アールはニコリと笑い頭を下げた。
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