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22アルフード視点
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「アルフード様、本日の面会の約束はないはずですが。」
アメリアの屋敷の執事はスケジュールが書かれた紙を見ながらアルフードに確認する。
まだ婚約者でもない私が先触れもなしにいきなりやってくるなどあり得ない事なので、警戒されているのがわかる。
「連絡をしなくて申し訳ない。急ぎの用がアメリア嬢にあるのだが、面会の許可をもらいたい。」
王族といえ、この訪問はかなり失礼…
断られてもおかしくない。
執事もかなり渋っていた。
公爵が戻った時に出直した方が良いかとアルフードは思い直し退室しようとした。
「アルフード様…」
アメリアの声が階段の上から聞こえた。
アメリアは無表情でただこちらを見つめている。
私に会いたくなかったのだろうか?
そう思うと不安が強くなる。
だが、ここで逃げ出したら…きっともう二度とアメリアとは会えなくなってしまう。
「アメリア嬢…」
言葉が出てこない。
「ラーク、構わないわ。応接間に通してちょうだい。」
アメリアは執事に指示を出した。
この屋敷に何度も通ってきた。
だが、応接間で対応された事は一度もなかった。
視線も合わない。
アメリアから見て他人だと言われている様で胸が痛むのを感じた。
「それでお話とは何でしょう?」
応接室に通されてアメリアとはアルフードは向かい合って座っている。
執事とメイドが控えているのを私はチラッと見た。
アメリアと二人になりたい。
そうでなければ、話せない話だ。
「執事とメイドを退室させてくれませんか?」
私はアメリアに聞いた。
「そんな事はできません!」
執事が口を挟む。
執事がこのタイミングで口を挟むなど不敬もいいところ。
それでもそうしなければいけないと思わせるほど、私は完全に不審者なのだ。
黙ったままアメリアは私をしばらく見つめたが、小さくため息をつき頷いてくれた。
「…わかりました。あなた達は出ていなさい。」
「ですが、お嬢様は体調が…」
「ラーク、従いなさい。」
アメリアに言われ渋々執事とメイドは外に出た。
「アルフード様、私の家の者が申し訳ございません。」
アメリアは無表情なまま頭を下げる。
お茶会の時と同じ態度。
「いえ、当たり前の事だと思っています。ですが、彼らがいたら私がしたい話はできません。」
王族とはめんどくさい。
執事やメイドの前で謝ることもできない。
「…」
アメリアは黙ってアルフードの話を聞いている。
「アメリア嬢、本当にすまなかった。」
私はアメリアに向かい頭を下げた。
その様子にアメリアが目を大きくして驚いていた。
前ほどではないが、こうやって表情があることにホッとした。
「何に謝っているのかはわかりませんが、アルフード様が私に謝る必要などありません。」
アメリアは首を横に振った。
「いや、全ては私が悪いのです。どうしてもアメリア嬢と婚約破棄をしたくなかった。私のわがままであなたを傷つけてしまいました。」
私はアメリアに今までの全てを話した。
アメリアの屋敷の執事はスケジュールが書かれた紙を見ながらアルフードに確認する。
まだ婚約者でもない私が先触れもなしにいきなりやってくるなどあり得ない事なので、警戒されているのがわかる。
「連絡をしなくて申し訳ない。急ぎの用がアメリア嬢にあるのだが、面会の許可をもらいたい。」
王族といえ、この訪問はかなり失礼…
断られてもおかしくない。
執事もかなり渋っていた。
公爵が戻った時に出直した方が良いかとアルフードは思い直し退室しようとした。
「アルフード様…」
アメリアの声が階段の上から聞こえた。
アメリアは無表情でただこちらを見つめている。
私に会いたくなかったのだろうか?
そう思うと不安が強くなる。
だが、ここで逃げ出したら…きっともう二度とアメリアとは会えなくなってしまう。
「アメリア嬢…」
言葉が出てこない。
「ラーク、構わないわ。応接間に通してちょうだい。」
アメリアは執事に指示を出した。
この屋敷に何度も通ってきた。
だが、応接間で対応された事は一度もなかった。
視線も合わない。
アメリアから見て他人だと言われている様で胸が痛むのを感じた。
「それでお話とは何でしょう?」
応接室に通されてアメリアとはアルフードは向かい合って座っている。
執事とメイドが控えているのを私はチラッと見た。
アメリアと二人になりたい。
そうでなければ、話せない話だ。
「執事とメイドを退室させてくれませんか?」
私はアメリアに聞いた。
「そんな事はできません!」
執事が口を挟む。
執事がこのタイミングで口を挟むなど不敬もいいところ。
それでもそうしなければいけないと思わせるほど、私は完全に不審者なのだ。
黙ったままアメリアは私をしばらく見つめたが、小さくため息をつき頷いてくれた。
「…わかりました。あなた達は出ていなさい。」
「ですが、お嬢様は体調が…」
「ラーク、従いなさい。」
アメリアに言われ渋々執事とメイドは外に出た。
「アルフード様、私の家の者が申し訳ございません。」
アメリアは無表情なまま頭を下げる。
お茶会の時と同じ態度。
「いえ、当たり前の事だと思っています。ですが、彼らがいたら私がしたい話はできません。」
王族とはめんどくさい。
執事やメイドの前で謝ることもできない。
「…」
アメリアは黙ってアルフードの話を聞いている。
「アメリア嬢、本当にすまなかった。」
私はアメリアに向かい頭を下げた。
その様子にアメリアが目を大きくして驚いていた。
前ほどではないが、こうやって表情があることにホッとした。
「何に謝っているのかはわかりませんが、アルフード様が私に謝る必要などありません。」
アメリアは首を横に振った。
「いや、全ては私が悪いのです。どうしてもアメリア嬢と婚約破棄をしたくなかった。私のわがままであなたを傷つけてしまいました。」
私はアメリアに今までの全てを話した。
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